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Zauber Karte

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初メールは恋の予感?


キーンコーンカーンコーン


「よっしゃー!お弁当食べよー…って、ちょっ、どうしたのよあんた!?」
「杏大丈夫?何だか顔色悪いよ?保健室行く?」
「う、ううん大丈夫…。ちょっと頭がオーバーヒートしただけだから…」
「「…え?」」


ややこしい数式、理解不能な英語の文法。
歴史上に名を残した会った事すら無い偉人達の武勇伝の数々。
それらを延々と聞いているうちに、とうとう私の脳は悲鳴をあげてしまった。
ちゅ、中学ってこんなに難しい事やってたっけ?


「…あれ?」


鞄の中に入れていたケータイのランプがチカチカと点滅していた。
メール…?
誰からだろう…。


From:黒羽 快斗
Sub:やっほー!
本文
昨日の約束、覚えてるよな?
どこか行きたい所とかある?


────END────


メールを読んだ瞬間、心臓がビクッ!って跳ね上がったのが自分でも分かった。
「黒羽快斗」の文字を見てると、心臓の動きがどんどん速さを増して、顔もどんどん熱くなっていく様な……。
何か、まるで、これ…。
…………いやいやいや、ちょっと待て。
有り得ない。
絶っっっ対有り得ないから!!
だってここはコナンの世界だよ!?
所詮二次元だよ!?
しかもしかも原作通りに新ちゃんはお姉ちゃんが好きでお姉ちゃんも新ちゃんを意識し始めてるかもしれないわけで…!
えっと、こーいうのって両片思いっていうんだっけ?
と、とにかくそれはこの目でハッキリと見て認識したし!
それに確か黒羽快斗にも幼なじみのガールフレンドがいてお互いに意識し合ってるってゆー設定があった……はず、だよ、ね?
あれ?
違ったっけ?
いやいや、絶対そうだって!
確かナントカ警部の娘の……。


「ちょっと杏ってば!!」
「ひょえっ!?」
「何よその驚き方…。あんたさっきからなーにブツブツ1人で喋ってんのよ?」
「えっ、あ、ああ…ごめん。ちょっとね…」


ああどうしよう…。
ここに来る前はちゃんと登場人物の名前覚えてたはずなのに、何故か全っ然思い出せない…!
ええっと確か中山…いや、中里だっけ?
いや違うな…。
うーんと、えーっと…。


「あ!なるほどそーゆー事ね?」
「…は?」
「新一くんからデートのお誘いでしょ〜?まったくアイツも相変わらずの奥手ねー!直接話すのが恥ずかしいからってわざわざメールなんか使って誘うなんて」
「あ、ごめんその事なんだけどさ園子」
「え?」
「別れたから。私とあの人」
「……えーーーっ!!?」


教室のど真ん中で目玉を有り得ないほど飛び出して大絶叫する園子。
…そんな騒ぐ事なの?


「ど、どうしてよ!?何があったのよあんた達!!」
「え?別に何も無いけど…」
「嘘おっしゃい!あんたずぅーーっと新一くんの事好きだったじゃないの!」
「あー…えーっと」
「あのね園子?実は杏、他に好きな人が出来たんだって!」
「す、すす好きな人ぉ!?」
「ね?そうでしょ?」
「あ、そ、そう!そうなの!好きな人出来ちゃったの!新ちゃんよりもすーっごく素敵な人が現れて…」
「……蘭、ちょっと」


何やら閃いた様子の園子が、ニヤニヤしながらコソコソとお姉ちゃんと一緒に内緒話をし始めた。


「ははーん?…ねぇ杏」
「うん?」
「私と蘭の目を誤魔化そうたってそうはイカの刺身よ!」
「…は?イカの刺身?」
「さっきあんたにメールを送ってきた相手こそが好きな男ね!?」
「…え…ええっ!?ち、違うし!全然だし!ななな何言っちゃってんのさ園子のバカ!」
「もう杏ったら、とぼけなくたっていいじゃない!どんな人かお姉ちゃんに話してごらん?ね?」
「い、いや、だ、だから違」
「ケータイを開いた瞬間、顔をポッと赤くして乙女な顔つきになったのを見れば一目瞭然!さ、どんな人なのよ?白状しなさいって!」
「だ…だから違うってばー!!ただの友達だって!!」


私がどんなに否定しても、お姉ちゃんと園子はお昼が終わった後もずーーっとしつこく食いついてきた。
あ、あ、有り得ないから!
私が怪盗キッドになる人を好きになるなんて絶っっっ対有り得ない!
100%、いや200%無いしっ!!
アイツは泥棒だよ!?
犯罪者になっちゃうんだよ!?
ってゆーかそれ以前に別の世界の人じゃん!
そんなの絶対に有り得ないし、あってはいけない事だよ!!


「あ、ほ、ほら2人共!午後の授業体育なんだから早く校庭行かないと先生に怒られるよ!?他のみんなもういないし!」
「げっ、マジ?!行こう蘭!」
「じゃあ杏はいつもの様に教室で待っててね」


パタン、と扉が閉まると、あんなに賑やかだった教室がシーーン、と静まり返った。


「ふぅ…」


息をついて、窓際の席に座り、何とか逃げられた安堵感にホッと安堵する。
何となく校庭を見下ろすと、今日の体育はサッカーの様で、新ちゃんが華麗なボールさばきをみんなに披露してるところだった。


「…サッカーねぇ」


私にとっては体が弱くて良かったかもしれない。
ボールなんかうまく扱えないし、そもそも運動とか大っ嫌いだし。
…それにしても暇だなぁ。
快斗くんに、メール返そう…かな。
そう思いついた私は、ケータイを開いて返信画面を開く。
えっと会う場所は…あ、そうだ米花町にしとこ。
何かあって江古田で倒れちゃったら迷惑かけちゃうし…。
授業中なのに返信がやたら早い快斗くんと何回かメールのやり取りをして、結局週末、米花シネマに映画を観に行く事になった。
……快斗くん、たまたまペアの無料招待券を持ってるみたいだけど、噂の幼なじみと行くために用意していた物だったら、何だか悪い事をしてしまったかもしれないな。
でも今更断るのも何だか気が引けるし……。


ヴーッ、ヴーッ


from:黒羽 快斗
sub:じゃあ土曜日の11時!
本文
米花駅前のでっかい花時計の前で待ち合わせな!

















ドタキャンしないでね?
(´・ω・`)


────END────


「っ…」


快斗くん……。
な、ななな、なんか、可愛いんだけど!
ってゆーかこんなメール貰ったらドタキャンなんか出来るわけないじゃんか!
…ああ、やっぱり女に慣れてる感ハンパないわ。
まぁそれもそうか。
何てったって未来の怪盗キッドになる人だし。
適当に返事を打ってる最中、ふと気付いた。
………米花駅って、どこ?
後でお姉ちゃんにでも聞こ……いやいやダメだって。
毛利杏が「米花駅はどこですか?」なんて聞いちゃったらお姉ちゃんに変に思われるし絶対病院送りされるに決まってる!
仕方ない、ケータイで調べよ…。


bkm?

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