「いやぁ、本当に優月君が無事で良かったなぁ、毛利くん!!」
「はい!ありがとうございます!!」
「感想を一言!」
「日売テレビです、お話を!!」
「名探偵は今回、どのような活躍を?」
「そもそも今回の爆弾事件は、私の名探偵としての名声を汚そうと、娘同然の優月にトラップを仕掛けたものでありまして…」
…おっちゃんのやつ、俺が優月の無事を伝えた途端に泣き出すなんてな…。
ま、ガキの頃は娘である蘭と同じように可愛がってたから当たり前っちゃあ当たり前か…。
おっ、噂をすれば…
「優月姉ちゃん!」
「あ!コナンくん!ど、どうしたの!?その包帯!?」
「あ…ちょっと転んじゃって…」
オメーの知らねぇ間に俺は必死にチャリ走らせてたんだよ…!
「もう!危ない事しちゃダメよ?」
「う、うん…」
「それより新一見なかった?」
「あ、あれ?さっきまでここに…」
「折角プレゼント買ってきたのに…しかも爆弾まで解体したのにっ!褒めて欲しいのにーっ!プレゼントどうしよう…」
えーっと…何かフォローしねぇとまずいよな…。
「あ、新一兄ちゃん言ってたよ!プレゼントは俺の部屋のクローゼットに入れておいてくれって!」
「…そっか。直接渡したかったのになぁ…」
「あ…あとこれも言ってたよ!さすが名探偵、花宮優月だなって!」
「あら、本当?」
「うん!怖がらないでよく解体できたなって!」
「ふふっ、怖かったわよ!」
「え?」
「いくらアメリカで解体経験があるって言ったって、やっぱり怖いものは怖いよ…。でも、新一が傍にいたから平気だったの」
「…そっか」
そりゃそーだよな…。
頑張ったな、優月…。
「あ、あとね?」
「うん?」
「何で赤のコード切らなかったのかって不思議がってたよ!」
「ああ…ふふっ!」
ん?
なに笑ってんだ?
「新一には内緒だよ?」
「…え?」
「森谷教授のギャラリーで、教授に新一と私のラッキーカラーは赤って言ったじゃない?」
「う、うん」
「あれね、嘘なんだ!」
「…ええっ!?」
はぁ!?
意味わかんねぇんだけど!!
「本当は、私の星座のラッキーカラーは青だったの!」
「そ、そうだったの!?でも何で嘘なんか…」
「…あのジジィ、なーんか嫌な予感がしたの」
「え?」
「この人、何か仕出かすんじゃないかなって…。アメリカで色んな犯罪者見てきたからなのかは分からないけど、そーゆー人物って何となく分かるのよ。探偵の勘…ってヤツかな?正直に色を伝えたらいけないって直感で判断したの!」
「……」
「でもまさか、私の言った事を鵜呑みにするとはねぇ〜…」
こいつ…すげぇよ…
「…真の」
「…え?」
「真の名探偵だよ、優月姉ちゃんは…」
世界のどこを探しても、オメーほどの名探偵はいねぇよ…。
「…ふふっ!新一には負けるわ!」
「え?新一兄ちゃん、言ってたよ?優月姉ちゃんの方が名探偵だって」
「まさか!あのエラソーで常に上から目線でホームズ信者のアイツが?んなワケないない!」
「ハハハ…」
おいおい…
ホームズ信者って…。
「さ、もう帰ろうかな…」
「優月!!」
「あ、小五郎ちゃん!」
「お前大丈夫だったか!?」
「大丈夫よ!心配してくれてたの?」
「当たり前だろう!お前は娘同然の存在なんだ!け、怪我はないか!?」
「大丈夫よ。ありがとう」
そういや、おっちゃんがあんなに取り乱した所、初めて見たな…。
「あ、おじさん!」
「ぁん?何だ?」
「今から優月姉ちゃんちに泊まりに行ってもいい?」
誕生日だからってわけじゃねぇけど、今日ぐらいいいだろ。
優月と一緒にいてぇし…。
「俺は別に構わねぇが、優月に聞いてみなきゃ」
「勿論いいわよ!あ、そうだ!コナンくんにうちの合鍵あげる!」
「えっ、いいの?」
「だってコナンくん可愛すぎるんだもーん!」
「わっ!」
ラッキーと感じた瞬間、顔が柔らかい感触に包まれた。
む、胸がっ…!
「コアラのマーチ食べたくなったら、合鍵でいつでもうちに来ていいからね?」
「あ、ありがと…」
ま、まぁ…久しぶりの感触も味わえたし?
食べてやらねぇ事も…無い、かな。