「さ、自由にご覧下さい!」
へー…。
随分とシンメトリーに拘るんだな…
「あれ…?」
「うん?」
「蘭姉ちゃん、これこの前の…」
「あら、そうよ!黒川さんのお宅だわ!」
森谷教授が設計したのか…。
「2人共、知ってるの?」
「うん!この前の黒川さんが殺された事件、お父さんが解決したの!」
「ああ、眠りの小五郎ね…」
まぁ、その真相は俺だけどな…。
「そう言えば黒川さん、殺されたんでしたね…」
「ええ…」
「この家は、私が独立して間もない頃の作品でしてね。この先のものはみんな、30代の頃のものですよ。若い頃はまだ未熟でね…。あまり見ないでくれたまえ…」
へぇー、橋まで設計してんのか…。
「ところで…優月さんは工藤君とは親しいのですか?」
「ええ、お付き合いさせていただいてますが…」
「ほう…。名探偵カップルとは、素晴らしい組合せですな」
「実はそうでもないんですよ?」
「え?」
はぁ!?
「今度の日曜日、新一の誕生日なんで一緒に映画を見る約束なんですが、なーんか行きたくなさそうにしてて…。多分、来ないと思います…」
ははは、さすが名探偵…。
洞察力に優れてんな…。
「そんな事は無いですよ!きっと恥ずかしいんじゃないでしょうか?」
「あはは…」
こんな姿だからある意味恥ずかしいかもな。
「ではプレゼントももう買ってあるんですね?」
「あ、それはまだ…。新一…と、私のラッキーカラーが赤なんで、赤い物を買おうかなって思ってるんですけど…」
あ、この前電話で言ってたな。
こいつも赤がラッキーカラーだったのか…。
「それは素敵ですね!工藤君もきっと喜ぶでしょう!」
「そうだと良いんですが…」
それにしても誕生日どうすっかなー…。
今更断るのは気が引けるし…。
「あら?これ米花シティビルですよね?」
「そうですが…?」
「私達、ここのシネマ1で映画観るんです。3日の夜10時に待ち合わせて。来るかわかりませんが…」
あークソッ!
どうすりゃいいんだよ…!
「じゃ、今から急いで夕飯作るから待っててねコナンくん」
「はーい」
「今日も人参残しちゃダメよ?」
「あ、あはは…」
ヴーッ ヴーッ
げっ!
優月からだ!
「よぉ、優月か?」
「土曜日!忘れてないわよね?」
「ったく…毎日かけて来なくても覚えてるよ!」
「だってー!新一すぐ忘れそうなんだもん!」
毎日言われてたら嫌でも忘れねぇよ…!
「あ、そういやパーティーはどうだった?」
「もう最悪!森谷帝二って生理的に無理!」
「そ、そうだったか?」
ははは…。
まぁ顔に出てたしな…
「クイズをやるって言うから張り切ってたのに3秒でわかるほど簡単だったし、ギャラリーに連行されるし…。まぁ、話しやすい感じはしたけどね?」
「ハハハ…オメー暗号は得意分野だもんな」
「暗号はって何よっ!学年末テスト、オール満点だった私にその接続詞は要らないわっ!」
認めたくねぇが頭脳だけは昔とは180度違うんだよなぁ…。
「…オメーは完璧すぎなんだよ」
「フフッ!ありがと!じゃあ土曜日来てね?」
「…ああ、わかった。じゃあな」
「ばいばい」
ピッ
はぁ…。
土曜日どうすっかなー…。