俺、優月、蘭はタクシーで森谷邸にやってきた。
「優月姉ちゃん、早く!」
「待って!コナン君!」
実は結構今日が楽しみだったんだよなー!
「うわぁー大きいおうち!英国17世紀、スチュアート朝時代の建物ね…」
「優月すごい!さすが名探偵だね?」
「ありがと!ちなみにほら、周り見てごらん?」
「え?…わぁ〜!庭も建物も、みんな左右対称!」
「こういうのを左右対称シンメトリーって言うのよ」
へぇー。
さすが優月、昔とは大違いだな…。
俺よりも色々知ってんじゃねぇか?
ってゆうか、この建築家のおっさんほとんど病気だな…。
ま、名前まで左右対称にしちまうぐらいだしな。
「こんな素晴らしい庭見たの初めて!」
「お褒めに預かって恐縮です。初めまして、森谷帝二です」
この人が森谷帝二か…。
「工藤新一の代わりに来ました。花宮優月です。こちらは友人の毛利蘭と江戸川コナン君です」
「おや、そうですか…。工藤君、来られないのですか…」
「あ、でもこのお姉ちゃんも名探偵だよ!」
俺の右に出るぐらいのな!
「おお!どこかで聞いた事があると思ったら…。貴女が米国で有名な名探偵ですか!どうぞよろしく」
「ど、どうも…」
はは…。
優月の顔があからさまにひきつってる…。
「さ、遠慮なく午後のひとときをおくつろぎ下さい!」
へぇ…
さすが有名建築家先生のパーティーだな。
音楽家にモデル、大企業の社長や評論家…
そして芸能人…
テレビでよく知られてる有名人ばかりだ。
「あ!美味しそうな料理!見た目もキレイ…」
「ティーパーティーには全て手作りの物を出すのが正式なのです!どうぞお召し上がり下さい!」
このジィさん、完璧主義者なのか?
「いかがですか?お味は…」
「美味しい!」
「おお!それは良かった!昨夜から手間かけて作った甲斐がありましたよ!」
げっ!
このジィさんの手作りかよ!?
まぁ独身なら当たり前か…。
んー、俺も料理の練習しとくか…?
「私は何でも自分でやらないと気が済まないタチなんですよ…」
「なるほど!その精神がいくつもの美しい建築を生み出すんですね!」
「私は美しくなければ建築とは認めません!今の若い建築家の多くは、美意識が欠けています!もっと自分の作品に責任を持たなければいけないのです!」
な、何だよこのジィさん…!
マジで完璧主義者なんだな…。
「ところで花宮さん!クイズを1つ出しても構いませんか?」
「クイズ?」
「はい!3人の男が経営する会社の、パソコンのキーワードを推理するものです。名探偵の花宮優月さんなら、すぐにおわかりになると思うのですが…」
暗号は優月の得意分野だからなー。
教授、後で文句言われても知らねーぞ?
「私を甘く見ないで下さいよ?」
「おお、威勢がいいですね!期待してますよ」
俺は3人のデータが書かれてる紙を、優月と一緒に見た。
えーっと…名前に共通する文字は無さそ
「森谷帝二さん!簡単すぎますね!!」
「えっ!?」
は、早すぎだろ!?
こいつの脳みそどーなってんだ!?
「なっ!もうおわかりになったんですか!?」
「私を甘く見ないでちょうだい!これでも犯罪大国でダテに探偵やってないわ!桃太郎…でしょ?」
「え…!?」
あ…なるほど!
そういう事か!
「干支よ。申年、酉年、戌年…。簡単すぎるから違うの無いですか?」
「優月姉ちゃん凄いねっ!一瞬でわかるなんて!」
「あら、ありがとコナン君!」
やっぱさすがだな!
俺よりも優秀なんじゃねーか!?
「さすが名探偵だ!数秒で解くなんて大したものだ!それじゃ、正解したご褒美に私のギャラリーを特別にお見せしましょう。コナン君もどうだい?」
「うん!」
優月は興味無さそうだな…。
教授が嫌いなのか?
「じゃあ蘭もいいですか?」
「ああ、もちろんだよ」
「ありがとう!優月!」
「皆で仲良く見よ!」
頭脳は昔と比べて大違いだが、こういう優しいトコは変わんねーな…。