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Zauber Karte

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猜疑心


Christmas…。
それは、イエス・キリストの降誕(誕生)を祝うキリスト教の記念日。
"神の子が人となって生まれて来た事"を祝うイベント。
ここ日本では、クリスマス=恋人と過ごすイメージだけど、アメリカのクリスマスは日本でいうお正月みたいな感じで、離れた家族や親戚がみんなで集まってパーティするのが一般的。
そういえば…。
叔母さんが亡くなってから、毎年ラディッシュ一家と一緒にさせて貰ってたんだよね…。
ま、そういう過ごし方も素敵だなって思うし、恋人と過ごすクリスマスも、きっと素敵なんだなって思う。
所謂、どっち付かず…な自分だけど。

人生の半分は欧米で出来ています。by優月

でも何だかんだ言って、毎年クリスマスってウキウキしちゃう!
街並みは綺麗なイルミネーションに包まれ、辺りからはクリスマスソングが流れる…。
もう素敵っ!!
それで今は、クリスマスソングを流しながらクリスマスツリーの飾り付け中!
……気だるそうな人が隣にいるのは敢えてスルーする事にする。
鶴の一声ならぬ、有希ちゃんの一声で飾り付けを頼まれた私たち。
……さすが工藤家。
クリスマスツリーの大きさが半端じゃない…!
脚立がないと無理です…。
優作さんと有希ちゃんは夏休み以来会ってないから、帰ってきたらパーティしたいな!


「Last〜Christmas I gave you my heart〜But the very next day〜you gave it away〜♪」
「……」
「This〜year〜To save me form tears〜I'll give it to someone spesial〜♪」
「おい」
「…え?なぁに新一?」
「この曲止めろよ…」
「え?何で?」
「…歌詞が縁起悪ぃだろ!」
「えーいい曲じゃん!」
「俺は気になんだよ!!」
「ぶー…」


確かに失恋の歌だけどさ?
曲調が好きだから気に入ってるのにっ!
新一って何気に神経質よね!


「ねぇ新一?」
「あ?」
「クリスマスは有希ちゃん達も一緒でしょ?」
「…は!?」
「えっ!何!?」
「あ…いや…」
「??」
「…あの2人なら毎年どっか行ってていねぇよ」
「…えぇっ!?」


わ、私のChristmas Party with工藤夫妻の計画が…!


「じゃあ今までずっと1人だったの?」
「いや。蘭と一緒に出掛けたり、後はうちで飯食ったりしてた」
「……そっ…か」


また胸がズキッてした。
NYでも感じた痛み…。
なんか、こういうの聞いちゃうと、私って何でアメリカ行っちゃったんだろ、とか。
何で帰ってきちゃったんだろ、とか…。
グルグルと醜くて黒い感情が渦巻いてきて…。
NYで再会したのは偶然?
それとも運命?
もしも、前者だったとしたら…。
私は、新一と再会したらいけなかったんじゃないの?って思う。
だって新一は、私と再会してなかったら…。
きっと、蘭と………。


「おい優月!!」
「…っ!!?」
「何で泣いてんだよ!?」
「あ…」


泣いてたなんて知らなかった…。
ダメだなぁ私…。
いつからこんな弱くなっちゃったんだろ?



「…ううん、何でもないよ」
「なに嘘言ってんだよ?」
「嘘なんかついてないって。ほ、ほら!早く飾り付け終わらせよ?」
「……」


新一にだけは知られたくない。
こんな醜くてどす黒い気持ちだけは…。
知られたらきっと…。
2人を、傷つけてしまうような言葉を言っちゃうかもしれない。
私にとって新一と蘭は…同じように大切だから…。
それだけは…。


「…クリスマス」
「…え?」
「2人でどっか行くか?」
「……」


今、私が泣いてたから?
だからそんな事言うの?
…なんて言える訳、無いよ。


「…うん」
「じゃ約束な!」


新一がキラキラ笑顔で私の頭を撫でる。
その度に毎回、胸がキュッてなってポカポカする。
そうやって私の心を掴んで離さないなんて、新一は狡いよ。
ねぇ新一…。
私はあなたの心、掴めてる?


bkm?

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