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Zauber Karte

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謎の発砲


1人ルンルン気分で夜景を見てると、突然新一からイヤホンを突っ込まれた。
……新一さん、突っ込むの大好きですね。


「よーし!奴は焦って警官の変装を解いた!4階及び3階の各員は階段付近に集中!奴を逃がすな!!」


うわっ!!
うるさいなぁこのオヤジ!
…ってゆーか天下の大泥棒が警官が沢山いる中で、簡単に変装解くわけないでしょーよ!
自殺行為に等しいよ!
こいつ、そんな事もわかんないで警察やってんの!?


「しかし何であの少年はこの時計台の構造を熟知しているんだ?」


…どうせあなたの部下か誰かが、新一のパソコンにデータ送ったんでしょ?
……あ、やっぱり。


「妙ですね…」
「え?」
「警官が密集するあの空間で変装を解くのは、ヤドカリが殻を捨て海中を彷徨いているようなもの…。僕には理解できない…」


だからそのセリフはどこから湧いて出てくるワケ?
私にはそこが一番理解できないよ。
ってゆーか…。
同じようにこーゆーキザなセリフ言う男、以前にも何処かで会ったような…?
あれ?
誰だっけ?


リーンゴーン リーンゴーン


「お、時間みてぇだな…」
「…え!?」


と、時計台から煙が!
………え!?
は、針が無くなってる!
すごい…!!
…あれ?
なんか揺れて、る…?


「ふふっさすがね…」
「お、優月も解ったのか?」
「ええ。さすが、月下の奇術師だわ…。やる事が華麗で大胆ね」
「……」


さすが人々を虜にするだけあるわね、怪盗さん…。


「ど、どういう事だね!?優月君!」
「煙幕と共に文字盤を照らすライトを切り、予め仕掛けていた巨大スクリーンで文字盤を覆って、そこに時計の針が消える映像を工事中の足場に取り付けておいた映写機から映したのよ…」
「しかしそんなトリックすぐにバレるんじゃ…」
「そのトリックはフェイクよ警部。多分彼は今、スクリーンの裏で短針についているターゲットを…」
「警部、ちょっとお借りしますよ」
「え?あ…!」
「ちょ、新一!?」


バンバン!!


こ、こいつ撃ちやがった…!!
何してんのよ!?
ってか銃なんて撃てたっけ!?
…あ!
そういやハワイで…。


−行きつけの射撃場があるんだ!−
−優月君もどうかね?いつの日かきっと役に立つと思うよ−


…って新一と優作さんに強制的に連れてかれた覚えが!!


「お、おい工藤君!?」
「大丈夫!とある人物以外には絶対に当てませんから…」
「き、キミは何を言ってるんだね!?」


…何ワケわかんない事言ってるのよこの男は。
あーあ。
警部かわいそ…。


「さぁ、マジックショーのフィナーレだ…。華麗で大胆な座長の姿を拝見するとしまし
ょうか…」


…んん?
なんか今の言い方…。


ぶわっ!


あーあ…。
どっかの誰かさんが銃刀法違反しちゃったせいで、折角の仕掛けが壊れちゃったー。


「な、何て奴だ!スクリーンと共に人混みの中に落ちるとは…」
「……(あの人混みの中じゃ狙えねーな)」


その後、私達は警視庁に戻る為、ライトアップされた街並みを再び眺めながら、帰路についた。


「いや、撃ったのはワシじゃなくて…」
「ところで警部さん、彼は何か言ってませんでしたか?」


まーた他人のケータイ奪っちゃって…。


「…暗号?」
「え?暗号!?見たい!」
「…ああ、オメー昔からこーゆーの好きだったよな?」
「うん!大好きっ!」


私は、目暮警部が書いてくれた時計の文字盤の様な暗号を見た。


「………へぇ」
「え、優月もう解ったのか?」
「…彼、相当思い入れがあるみたいね」
「へ?」
「……どんな人なのかな」
「……」


この鐘の音は渡せない、か…。
月下の奇術師さんに愛されてるお相手はどんな人なのかな。
…きっと、とっても素敵な女性なんだろうなぁ。
ふふっ!
恋って素敵ね!!


bkm?

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