smaragd | ナノ

Zauber Karte

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宝石箱の上で


「いやー久しぶりだな!優月君!」
「目暮警部!今日はありがとうございます!」


うわぁ!
警察のヘリなんて久しぶり!
NYにいた時はラディッシュにアメリカ全土連れ回されててヘリなんかもうイヤ!って感じだったけど、久々に乗るとやっぱり良い!


「工藤君も相変わらず元気そうだな!」
「お久しぶりです。目暮警部」


……この人、昨日私を凌辱してた同一人物だとは思えないっ!
なにそのキラッキラな笑顔!!


「警部!騙されないで!」
「ん?優月君、突然どうしたんだね?」
「この男、明け方まで私を拷も……」
「……」


や、やばい…!
これ言っちゃったら後が怖すぎるっ…!
只でさえ今歩くのが困難な状態なのにっ…!


「いえ…別に…」
「はぁ?」
「……」


うぅ…。
隣からの視線が痛い…。


――――――


「…素敵ねぇ」


キラキラと輝く星空の下をヘリで飛ぶのは癒されるなぁ…。
心がこう、澄んでいくような感覚になる…。


「直ちに時計台の出入口を封鎖して下さい!」


…さっきから隣に座ってる新一が煩いのが耳障りなんだけど。
まぁ、天下の大泥棒を捕まえたい気持ちは分かるけどさ?
少しは一緒にこのロマンチックな夜景を見てくれたっていいじゃん…。


「もう一度言います!直ちに時計台の出入口を封鎖して下さい!」


何よ!事件があると1人で突っ走っちゃってさ…。


「こちらの指示があるまで絶対に開けないように…」


新一、探偵でしょ?
少しは私の気持ち、察してよ…。


「これで彼は穴の中で両手をもがれたモグラ同然だ…」


…今、サラッとグロテスクな事言わなかった?


「落ち着いて…彼はまだあなた方のそばにいるはずです…。そのトイレの奥に設置されてる通風口、ネジが外れていませんか?」


はぁ…。
なんか気分が沈んじゃうなぁ。


「だったら彼はその中です!追跡を続行して下さい!」


…帰ったら即行寝よっと。


「おい優月」
「…ん?」
「元気ねぇみてーだけど、どうした?」
「……別に何も?」
「はぁ〜。んなワケねーだろ?さっきから目に涙溜めて泣きそうな顔してんじゃねぇか…」
「え…なんで分かるの?」
「バーロ、大事な彼女が隣にいるんだ、目で見なくたって分かるっつーの。そんなオメーの状態に気付かねぇ程、俺はダテに高校生探偵やってねぇよ!」


……もう、何よ!
新一のバカバカ!
何でそんな嬉しい事言ってくれるのよっ…。


「……新一ぃ」
「ん?どうした?」
「…帰ったら一緒にお風呂入ろ?」
「…へいへい。ったく…」
「…えへへっ」
「…お、機嫌直ったみてぇだな!」
「うん!」


ああ、あたしって単純…。


「ねぇ新一?」
「んー?」
「ちゅうして?」
「…はぁ!?オメー此処がどこだか分かって言ってんのか!?」
「……工藤家出ていこっかな」
「…さっさと終わらせるぞ」
「えへへっ」


キスした後、新一は「後で沢山構ってやるからもう少し待ってろ」って言いながら頭を撫でてくれた。
ら、突然警部のケータイを引ったくるように奪い…。


「警部さん!失礼ですがこの後僕は予定が入ったので、あなたと議論してる時間はありません…。その泥棒を捕まえたければ僕の指示に従って下さい」


…まぁその"予定"ってのは女とお風呂に入る事なんだけどねー。
ってゆーか、新一が僕って言ってるの、レアかも。


「彼は今、犯行前に正体を暴かれ動揺を来し、彼の計画の歯車は狂い始めている…」


…そんなセリフ、脳ミソのどこの部分から出てくるのかしら?


「工藤新一、探偵ですよ…」
「……」


皆様、バカップルでごめんなさい。
かっ、かっこいい!!
新一めちゃくちゃかっこいいよぉー!


bkm?

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