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Zauber Karte

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火の女神


夏休み。
その響きだけで若者は浮足が立つ。
私も例外ではなく、工藤家の皆様と、常夏の楽園ハワイに来てます!
ハワイには1度来た事があるけど、私はとても好きだなぁ。
ちなみにハワイの工藤邸は、本家と同じ位大きい。
エレベーター付き、総大理石リビング、螺旋階段。
金持ちはすごいなって改めて関心した。
その金持ち息子である新一は、ご両親の有り難みがわかってないみたいで、所々でムカつく発言を平気で言ってくる。
その度に怒ると、"息子を放って海外で道楽してる親の方がどうかしてる"って言ってくる。
まぁ一利あると思うけどさ…?
さっき私は優作さんから、飛行機の操縦を教わってきた。
何で教えてくれたのか聞いたら、「いつか役にたつさ」って言われ…。
……一体どんな時に役立つの?
で、今は部屋で新一とテレビを見ているところ。


「…ねぇ、新一?」
「ん?」
「…さっきから何でベッタリなの?」
「…ダメか?」
「ダメじゃないけどウザい」
「…オメーたまにひでぇ事言うよな…」


さっきから新一は後ろから私を抱っこしたまま。
最近彼の恥じらいが無くなったみたいで、結構イチャイチャするようになった。
……学校では相変わらずだけど。


「…ちょ、ちょっと!」
「あ?」
「どこ触ってんのよ!」
「…オメーさぁ、」
「へ?」
「胸、でかくなったな?」
「…は!?」
「ま、そりゃそーか!俺が毎回頑張ってるからな!」
「…新一って、」
「ん?」
「…胸が大きい方が好みなの?」
「いや!そ、そーゆーワケじゃねーよ…!」
「……」
「あ、いや、俺は優月の胸が好きなんだって!」
「っ!そう…ですか…」


…今なんか妙に挙動不審に感じたのは私だけ?
とにかく、こうやって彼はたまに返事に困る事を平気で言ってくる。


「優月」
「んー?」
「こっち向けよ」
「ん?なに……んっ…」
「……」


新一からの、突然の激しいキス。
…これは新一の"仲良くしたい"の合図だったりする。


「…っ!もうっ!こっち来てから何回したと思ってるのよ!」
「…さぁな」


さぁな、じゃないわよ!
これじゃ帰国する頃には歩けないと思うんだけどっ!


「よっ、と」
「きゃっ!」


彼にお姫様抱っこされた後、私達はこっちに来てから何回目かわからない"仲良し"をした。


「…風が気持ちいい…」


あの後夕飯を食べて、新一と一緒に海辺を散歩中。
結構周りには若い外人がいたりして、賑やかな空気。


「あ…。ちょっと飲み物買ってくるね?」
「おー」


喉が渇いた私は、自販機で飲み物を買って新一の所に行った。
……ら、新一とナイスバディな外人女性が仲良くお喋りしていた。


《キミ、可愛らしい子ね。いくつ?》
《16です》
《あら、16の割にはとってもセクシーでクールね》
《どうも》


……あの野郎やっぱり!


《ねぇ、これから一緒にどうかしら?》
《ちょっとごめんなさい?悪いんだけど、この人私の彼氏なのー!……わかったらその邪魔そーな胸と軽いケツ振ってとっととどっか行けやコラ》
《…ひっ!》


…………ばーか!


「わ、わりーな追っ払ってもらって…」
「ねぇ……新ちゃん?」
「へっ!?」
「今、あのナイスバディな女性の胸、見てたでしょ?」
「みみみ、見てねぇよ!」
「うふっ!まぁ新ちゃんったら!嘘をつく時に目が泳ぎまくる所、昔から変わらないわねー!」
「げっ…!」
「……2学期始まるまで仲良くしないから、じゃ」
「お、おい優月っ!」


このスケベ推理オタク!
やっっぱり巨乳が好きなんじゃない!!
あたしがいなかったらホイホイついてったんじゃないの!?


「……」
「…優月?」
「キラウエアの大噴火」
「へっ!?」
「…それが私の気持ちよ。このスケベ推理オタク!」
「え!?っておい優月待てって!」


ハワイには、とある神話があります。
火の女神のペレは、カウアイ、オアフ、モロカイ、ラナイ、マウイと島を移動し、最後にハワイのキラウエアを住まいとしました。
キラウエアの噴火は、ペレが炎となって姿を現したものだと信じられてきました。
そして、大噴火が起こったときは、ペレの怒りや嫉妬によるものだともいわれています…。


bkm?

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