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Zauber Karte

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祝!入学


「有希ちゃん見て!」
「あら!優月ちゃんよく似合ってるわよ!」
「本当!?」
「ええ!」


今日は待ちに待った入学式。
帝丹高校1年生となった私。
高校の制服に身を包み、やっぱり制服っていいなと実感する。
中学は私服だったから(さすが自由の国!)なんだか新鮮!
これで毎日コーデに悩む必要も無くなった事だし、女子高生、満喫してやろうじゃないの!!


「あ、有希ちゃん?」
「ん?なぁに?」
「これ…受け取って?」


これからお世話になるから、これ位はちゃんとしとかないとね。


「優月ちゃん!こんなの受け取れないわ…」
「ううん。受け取って」
「何言ってるの!こんな大金…」
「ダメ!これからお世話になるんだから」
「でも、私達は別にお金が欲しいからとかじゃなくて…」
「何言ってるの有希ちゃん!優作さんや有希ちゃんがそんな人達だなんて思ってないよ」
「え…?」
「…これは、私なりのケジメよ。天国にいるパパとママ、それに叔父さんや叔母さんだって、私にこうする事を望んでると思う…」
「優月ちゃん…」
「だからお願い、受け取って」
「……わかったわ、ありがとう」


受け取ってくれなかったらまた寂しい1人暮らしする羽目になってたわ…。


「ほんと、あの優月ちゃんがこんなに立派になるなんて…」
「ゆ、有希ちゃん泣かないでよ!」
「…あなたのご両親達も、きっと喜んでるわね」
「有希ちゃん…」
「……さぁ!入学式行きましょ?」
「うん!」


ここが帝丹高校かぁ…!
さすが私立なだけあって綺麗な校舎…!


「お、おい優月!」
「なぁに?新一」
「オメー入学式にピアスなんかしてくんなよ!」
「え?ダメなの?」
「ったりめーだろ!?」
「えーー」
「えーーじゃねーよ!早く取れ!」


あ、そっか。
ここは日本だからアメリカみたいに自由じゃないのか。
めんどくさいなぁ…。
えーと私のクラスは…
1年A組ね!
あ、蘭と新一も一緒だ!
神様ありがとう!


「新一!一緒のクラスだよ!」
「ああ。よかったな!」
「うん!」


新一のキラッキラな笑顔って本っ当カッコいいなぁ…!


「あ!優月!新一!」
「蘭!クラス一緒だね!」
「そうだね!1年間よろしくね!…新一は余計だけど」
「オメー、ケンカ売ってんのかぁ!?」
「まぁまぁ2人とも〜…」


この2人、昔よりも口喧嘩多くなってる気がするのは私だけ?
それにしても蘭の制服姿、可愛いなぁ〜!


「ねぇ蘭。この子誰?」
「あ、ごめん園子。紹介するね!優月、こちら鈴木財閥令嬢の、鈴木園子。で、この子は私の親友の花宮優月よ」
「私の事は園子って呼んで!よろしくね優月!」
「こちらこそよろしくね!あ、私の事も優月でいいよ!」


へぇー!
この子があの鈴木財閥の令嬢さんかぁ。
サバサバしてる感じだし、仲良くなれそう!


「ねぇ蘭。優月ってもしかして…」
「そうそう!この子が新一の婚約者よ!」
「やっぱり!!」
「げっ…!!」
「え?何で蘭と園子が知ってるの!?」
「ううん!前にちょっと…ね?新一?」
「余計な事言うなよ!」


有希ちゃんに続いて蘭も知ってるなんてビックリした…。
でも何でだろ?


「まさか新一くんのウワサの婚約者がこんなに美人な子だったなんてね!」
「えー?園子の方が美人だと思うよ?」
「…あんたに言われると嫌味にしか聞こえないわよ」
「へ?」


園子の方が可愛いと思ったから正直に言ったのに何で睨まれるのさっ!?


「あ!ねぇ皆!桜が咲いてるよ!!」
「「「え?」」」
「桜なんて久しぶりに見たなぁ…」
「…ああ。優月はアメリカ暮らしが長かったからな」
「あ、そっかぁ!」
「へぇ…。優月、帰国子女なんだ?」
「うん!」


そんなこんなで入学式も無事に終わり、学校内で1番大きな桜の木の下に立ってみた。
……ほんと綺麗。
久しぶりに登ってみようかな!


「よいしょ…っと。…わぁ!」


目の前に飛び込んでくるピンク色の桜に胸が躍る。
満開の桜の中にいるなんてすっごい幸せ!
新一から木登り教わっといて良かった!


「優月!!」
「あ!新一!」
「ったく、式が終わった後急にいなくなったから、まさかと思って来てみたけどよー」
「あら、何でわかったの?」
「オメーの事なら何でもお見通しなんだよ!」
「ふふっ!さすが新一ね!」
「ほら!帰っから降りてこいよ!」


と、新一に言われて降りようと体を動かした。
のだけど……。


「し、新一ぃ…」
「…んだよ?」
「…怖い」
「はぁっ!?」


降りる時の事考えてなかった…!


「はぁ…。ほらよ!」
「…へ?」
「だーかーら、飛び降りろって言ってんだよ!」


…あれ?
これって…


「で、でも怖い…」
「俺が受け止めてやっから心配すんな!」
「……」


ま、迷ってたらいつまで経っても降りられないし、ここは思い切って…!


「……っと」
「…あれ?」
「な?だから言ったろ?」
「あ…」


そうだ…。
前にも同じ事…。


「…ありがとう」
「おー」
「………し、新一?」
「……」


何でずっとギュッてしてるんだろ…?


「フッ…オメーはさ、」
「うん?」
「やっぱ俺がいなきゃダメだな!」
「…え?」
「オメーを守れる奴は、俺しかいねぇって事だよ」
「…ふふっ!そうだね!」
「…あんま心配かけさせんじゃねーよ…」
「うん。ごめん、ね…」


桜の下でするキスは、この前とはまた違って優しくて、とっても甘くて。
ああ、私はこの人じゃなきゃダメなんだ、って。
改めて、そう感じた。


bkm?

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