空の上から見たNYの夜景は、宝箱をひっくり返したように輝いている。
この夜景がすごく大好き。
明日から日本での穏やかな生活が待ってると思うと、凄く楽しみ。
新一と蘭と一緒に登下校…。
うん、いいかも!
ふふっ!
「…優月」
「うん?なぁに?」
「日本でも探偵続けんだろ?」
「ん〜…まだわかんない」
「え?やんねぇのか?」
「今までずっと忙しかったから、少し休みたいなって思ってるんだ」
「…そっか」
「それにね」
「ん?」
「あまりにも忙しすぎて中学校生活が成り立たなかったから、女子高生満喫したいの!」
あの海坊主から解放されると思うと、それだけで気分が軽くなる。
待ってて私のBeautiful School life!
「…なぁ優月」
「うん?」
「またうちに住まないか?」
うちに…住む?
住むって…。
「……え!?」
「あ…いや…」
「い、いいの…?」
「…へ?」
「私、邪魔じゃない?」
「…バーロ、何言ってんだよ」
「だ、だって…」
「オメーは俺の婚約者だろ?別に一緒に住んだってちっとも変じゃねぇじゃねーか」
「…ありがとう」
ず、随分サラッと言えるんだね…。
まぁでもこの人変なとこでズレてるし、不思議じゃないかな。
「じゃあ婚前交渉しちゃう?」
「お、お、オメー何言ってんだよっ!!」
「あら、しないの?残念だなー」
「……俺の事からかってんだろ?」
「私はいつでもどこでも本気よ?ふふっ!」
「…ったく」
新一、顔がタコみたいに赤くなっちゃって可愛い!!
その後は、機内食を食べたり、音楽を聞いたり。
お互いに離れてた8年間、どんな事があったか話したり、また事件の話をしてあげたり、たまーに新一をからかったり。
そんな事をしてるうちに、瞼が重くなってきた。
「…新一」
「ん?どうした?」
「…眠たい…」
「ああ、寝てていいぞ」
「…新一の上がいい」
「…え?」
新一の膝枕、気持ちいいなぁ…。
…あ、また顔が赤くなってる。
ふふっ、可愛くて食べちゃいたい…。
「…新一ぃ?」
「…んだよ?」
「頂きまー…す…」
眠りに入る前、新一が私の頬を撫でてくれた。
手、おっきくなったね…。
あの頃とは、全然違うね…。
「つ、遂に帰ってきた…!」
何年振りかの日本の空港…!!
やっと念願の故郷にっ…!
あーもう感激!
思わずスキップしちゃう位ルンルンな気分!
「あ、新一!有希ちゃんと蘭よ!」
「…はぁ!?何で蘭もいんだよ!?」
…何で嫌がるのかな?
喧嘩でもしてたとか?
うーん、そんな風には見えないけど…。
「優月ちゃーんに新ちゃーん!!」
「おかえり優月ー!!」
「ただいまー!!」
わぁ!
有希ちゃんと蘭がキラキラ輝いてる…!!
こんな美人2人に迎えられるなんて!
もう幸せすぎるっ!
「あれ?優作さんは?」
「優作はLAのホテルに缶詰めになってるわ」
「そっかぁ。売れっ子は大変ねぇ…」
工藤家のご自慢のベンツで帰宅。
助手席に蘭、後ろに新一と私が座ってるんだけど…。
飛行機降りる時からずーーーっと新一と手を繋いでるから、ちょっと恥ずかしい…。
「あら!その様子だと仲良くしてたみたいね!」
「っ!!」
「……ふふっ!」
新一、いきなり手離して顔赤くしてる!
からかいたくなるじゃーん!!
「新一!優月に手出してないでしょーね?」
「し、してねぇよ!」
「優月、ほんと?」
「手は出してないけど唇は出したよ」
「お、おい優月!」
「あら!新ちゃんやるじゃないの〜!ふふっ!」
「ちょっと!私の優月を汚さないでよね!」
「お、お、俺をからかうんじゃねー!!」
新一って見てて飽きないなぁホントに!!
「ねぇ、有希ちゃん!」
「ん?なぁに?」
「新一がね、うちに住まな」
「わああーーっっ!!」
「こら新ちゃん!聞こえないでしょ!」
「そうよ!新一は黙ってて!」
「くっ、そー…」
あー可笑しい!
もう腹筋が爆発しそう!
「ねぇ有希ちゃん!私、また工藤家に住んでいい?」
「もちろんよ!もう部屋も可愛くしてあるから楽しみにしてて!」
「わぁ!ありがとう!」
私が住む前提だったなんてさすが有希ちゃん!
「…おい」
「うん?」
「オメー後で覚えてろよ」
「あら、何の事かしら?折角誤魔化してあげたのに。一緒に住まないかって新一が誘ってくれた事言っちゃダメだったんでしょ?」
「きゃー!新ちゃんったら積極的ねー!!」
「新一やっぱり変な事考えてんでしょ!?」
「……」
ヤバい…!
絶対後でお仕置きされそう!
目が怖いっ…!
そんなこんなで、私たちを乗せたベンツは、工藤邸へと先を急いだ。