甘い時間を過ごした私達は、有希ちゃんが一方的に押し付けていった新一の荷物(ヴィトンのバッグとか嫌味？)を取りにホテルへ寄った。
その後うちに帰って、夕飯を作ろうとエプロンを着た。のだけど…。
♪〜
げっ！！
この曲はダースベーダー！
「優月、携帯鳴ってるぞ」
「…わかってます」
出たくない！
絶対出たくない！
…でも出ないと後がめんどくさい。
「…またですか？」
「ＨＡＨＡＨＡ！さすが優月は勘が鋭いなぁ！」
「…私、明後日から日本だから色々忙しいの。さよなら」
「頼むよ優月！君しかいないんだ…。ううっ」
「……」
なに大の男が頼りない事言って泣いてんのよ…！
「…1分以内に迎えに来なかったら行かないから」
「ああ、それなら問題ない！もう君の家の下まで来ているからな」
「…ちっ」
来てんのかよあのヘタレ海坊主！
もし明日も電話寄越してきたら絶対に出てやんないんだから！
「…誰からだ？」
「…私が一番会いたくなかった人よ」
「…は？」
……さて、と。
警部が待ってるから行かないと。
新一は…。
まぁ、ついてくるなって言っても無駄ですよね。
「いや〜助かったよ優月。それに新一も！」
「いえ！今日で最後ですし！」
「ん？明日までだろう？こっちにいるのは」
「…明日事件が起きるとは限らないじゃん」
「いや〜わからんぞ？何てったって犯罪大国だからな！ＨＡＨＡＨＡ！」
その犯罪大国で起こる事件を迷宮入りにしないようにどーにかするのがあんたの仕事でしょーがっ！！
15歳の女の子に任せっぱなしにしないでよっ！
「ラディッシュ警部」
「何だね？新一」
「明日、何かあったら僕が行きますよ！優月のやつ、嫌がってるみたいですし」
「なっ…！」
「おお、そうかそうか！それなら安心だ、ＨＡＨＡＨＡ！でももう顔はつねらないでくれよ？」
こんのバカ新一ぃーっ！！
警部を甘やかさないでよ！！
大体さっきも現場でチョロチョロしてて邪魔くさかったし真相話してる時だって割り込んでくるし！
お陰で口喧嘩になるわ警部に泣いて止められるわ、今後新一と現場で一緒になりたくないっ！
……でも、日本に帰ったら新一がいるから私の出番は無いから安心かな。
やっと…。
やっと多忙だった日々から解放されるっ…！
「も、もうダメ…」
警部に送ってもらった後、そのままベッドにダイブした。
新一が何か言ってたけどそんなのスルー。
チラッと時間を見たら夜中の1時。
ドアを開ける音がしたけど、私はそのまま深い眠りに落ちていった。
♪〜
…うん？
遠くて、ダースベーダーの曲が鳴ってる…。
ああ、警部か…。
そういえば昨日、テーブルにケータイ、置いたままだったっけ…。
今、何時かなぁ…？
ああ…いいや。
時計見るの、めんどくさい…。
もう一眠り…。
「く〜〜〜っあーー！よく寝たぁ！」
時計を見たらなんと昼の2時。
我ながらよく寝たなぁ、うんうん。
でも寝すぎて腰が痛ぁ…。
後で新一に全身マッサージしてもらおっと。
とりあえずお風呂、お風呂！
「…あれ？新一？」
新一がいない…。
何処行ったんだろ？
買い物かな？
…あ、そういえば私のケータイが鳴ってたような…。
「…あ」
きっと新一、警部に捕まったんだね。
ま、アイツの事だから楽しくやってるんだろうけど。
さて、お風呂行こっと！
「新一！ねぇ新一？」
「………」
「……寝てるの？」
お風呂から出ると、いつの間に帰ってきたのかソファでグッタリと爆睡してる新一の姿。
とりあえず風邪ひくといけないからタオルケットをかけてあげたけど、あなた息、してる？ってぐらい静かに眠ってる。
「…寝顔は昔と変わらず可愛いんだけどなぁ…」
…ここでちゅーしちゃいたい！
そう思う私は変態でしょうか。
………ってゆうか、よくよく考えたら昨日、キス、しちゃったん、だよ、ね？
だあーっ！
今更ながら恥ずかしくなってきた！
しかもめちゃくちゃ激しかったし！
新一も新一よっ！
なんで普通にしていられるの！？
………さ、家の中整理して明日の用意して気分変えよ。
うん、それがいい。
「うわ、何これいつ買ったっけ？いーらない！」
要らない物が出てくる出てくる、クローゼットの中。
よくぞここまで溜め込んだよね、自分。
まぁずっと学校→現場→寝る。の毎日だったから仕方ない。
……それもこれもみーんな！
あのヘタレ海坊主のせいよっ！
「もしもしラディッシュ？」
「やあ珍しいな。優月からかけてくるなんて」
「ちょっとお願いがあるんだけど」
「ん？食事のお誘いかい？」
「ううん。ゴミ捨てのお誘い」
「…ご、ごみ？」
「そう、ゴミ。今夜車で取りにきて。じゃ」
さて、片付け片付けっと……。
あっ！
私のストバリちゃん発見！！
最近忙しくて全然弾いてなかったなぁ…。
日本に帰ったら時間たっぷりあるだろうし、持ってこうっと！
あれよあれよという間にようやく準備も終わり、夕飯の準備をしていたら新一がフラフラしながら起床。
何でソファで死んでたのか聞くと、気だるそうに説明してきた。
要約しまくるとこーゆー経緯。
ヘタレ警部が私に電話→私寝てる→新一を呼び出す→事件解決→調子にのって未解決事件の捜査→予想外に数が多すぎる→でも推理楽しすぎる→寝れない→でも推理優先→12時間後帰宅。
つまり新一は、約30時間ぶっ通しで起きてたっていう事になる。
…ああ、もう何処から突っ込んでいいのか分からない。
でもこれだけは言える。
彼はアホ。
言ってやったよもちろん本人に。
あの新一が涙目になる程けちょんけちょんにね。
新一をコキ使った警部はゴミ捨てでチャラにしてあげようと思う。
私ってやっさしー！
そんな、アメリカ滞在最終日。