smaragd | ナノ

Zauber Karte

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golden appleD


《じゃあ、まさか犯人は…》
《そう…そんな事が出来るのは…》
《あの場面で鏡の横で倒れていた…》
《《ローズ…》》
《貴女だけよね?》


私と新ちゃんは、トリックや証拠を並べ立て、今回の殺人事件の犯人を曝した。
でもまだクライマックスとなる動機は曝していない。
新ちゃんが、「ここはアメリカだからシメんのはオメーにやらしてやる」って意味不明な事を言ってきたので、その時を待ってる途中。
……アメリカとか日本とか関係あるの?
よくわかんないけど、まぁ彼の厚意に甘えちゃった自分がいたり…。
ちなみに新ちゃんに、「推理披露は観客席で座りながらしようか」って提案したら見事に却下された。
そしてラディッシュにも言ったら苦笑いされた。
なので、ツラい体に鞭打って立っている可哀想な私…。
ってゆーか、アメリカに住んでもないのに英語ペラペーラな所が嫌味ったらしいんだけどっ!
ま、あの夫妻が両親なら理解できるけどさ。
昔はよく一緒に海外行きまくってたなぁ…。
でも、今は蘭と一緒か…。
そう思うと、なんだか寂しくなる…。
何でだろ…?
蘭と新ちゃんが仲良く話してるとこ見ると、胸が苦しいっていうか…。
うーん、わかんないや…。
……あ、そろそろかな。


《リラもアカネも、ヒースと仲良く写ってる写真を貼っていたわ。でも、貴女が貼っていたのは…》


そこまで言って私はローズを真っ直ぐに見た。


《エンジェル…》
《……》
《貴女が愛していたのは彼じゃなく、彼が演じていた天使…》
《…ええ。だからミカエルのまま封印してあげたの。彼以外の男があのミカエル役をやるなんて、私にはとても耐えられなかったから…》
《……》
《でも彼があの役を降りるのは、映画の話が来たからで…》
《でも決めたのは彼…。あのミカエルを殺したのは彼自身よ!私が狂おしいほど、彼のミカエルを愛していたと知っていながら…》


俯いてたローズが、私を不敵に笑いながら見つめてきた。
…なに?


《でも神様はちゃんと、私の事を見守ってくれたみたいだわ》
《…どういう意味?》
《だって、鎧を落とした時に偶然釘が引っ掛かって逃げられなかった私を、貴女が助けてくれたんだもの》
《……っ!!》
《ありがとう、可愛い天使さん。おかげで想いが遂げられたわ…!》
《……ローズ、1ついいかしら?》
《え…?》
《…例え、貴女が殺人を計画してた事を私が最初から解ってたとしても、私は貴女を助けたわ》
《なっ…何故!?》
《…人が人を助ける理由に、論理的な思考は存在しないからよ!》


気付いたら涙が頬を伝ってた。
何故かは解らない。
もしかしたら、無意識に自分を責めているのかもしれない…。
そんな私の手を、新ちゃんが握ってくれた。
気付いたら私は、新ちゃんの温かい腕の中で、子供のように声を出して泣いてて。
そんな私を、新ちゃんは強く、強く抱き締め続けてくれた。


bkm?

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