「いってきまーす」
待ちに待ったミュージカル当日。
アカネからメールで「開演1時間前に楽屋に来てね」って言われたから早めに家を出た。
そして今日の私は、普段と違って少しお洒落してみたり…。
普段は現場に駆り出されてばかりだから、その時は動きやすくパンツスタイルとアクセは無し。
…うん。
何か新鮮でいいかも!
髪も久々に巻いちゃったし!
有希ちゃんに貰ったネックレスも付けてみたんだけど、15歳の女がこんな高価な物つけてて大丈夫かな…。
これ付けて外出するの初めてだからちょっと怖かったりする。
ただ、私とした事が風邪をひいてしまった…。
まぁでも微熱だし、この程度で折角の舞台を見ない訳にはいかないっ!
……それにしても例の林檎の件。
なんか嫌な予感がする。
所詮勘なんだけどね…。
ま、劇場着いたら聞き込みしよっと!
「えーっと楽屋は…あ、」
ここかな?
《アカネーーっ!!》
「きゃっ!」
「うわっ!」
ん?
今誰かにぶつかったような気が…。
ま、いっか!
《優月っ!来てくれたのね!》
《きゃー!アカネ、すっごく綺麗よ!》
《本当!?嬉しいわ!》
うんうん、やっぱり普段のメイクより濃いけど、とっても似合ってて素敵!!
《優月!久々ね》
《リラ!本当に久々ね!》
《しばらく見ない間に随分綺麗になったじゃない?優月!》
《ローズ!うふふ、ありがとう!もうみんな綺麗すぎて目眩しちゃいそうだわ〜!》
あっ!
シャロンもいる!
《久しぶりね!シャロン!》
《ええ。優月はいつ見ても可愛らしいわね》
《シャロンも相変わらず綺麗よ!》
シャロンとは、ひょんな事から知り合った。
大女優なだけあって、オーラが違うなぁ。
あ、一応さっきぶつかった人達に謝っとこう。
《さっきはぶつかっちゃってごめんね〜!友達がいたからつい走っちゃって…》
《あ、いえ》
《大丈夫ですよ》
うん?
この2人、どっかで見たような…。
でも分かんない…。
《あの…》
《え?》
《俺達の顔に何か付いてます?》
あああっ!
何たる失態っ!
(多分)初対面の人をガン見してしまったっ!
《ごめんごめん!どっかで会った事あるかなって思ったんだけど、気のせいだったみたい!》
《あ、そうなんですか…》
いやでも、この少年かなりのイケメン!
隣の女の子もナイスバディで可愛いし!
いいな〜こういうカップル…。
《《《ナイトバロニス!!》》》
《そうよ!》
…え!?
ナイトバロニス!?
まままままままさか……
「あ、あ、ああーーーっ!!!」
ゆ、ゆ、ゆゆゆ有希ちゃん!!
な、なぜ!?
なぜ此処にいるの!?
えっ!?
じゃあさっきのイケメン&美少女は…!?
「…っ!!」
やっぱり!!
新ちゃんと蘭じゃん!!
そういえば面影がほんのり残ってるけど、全然わかんなかった…!!
「有希ちゃん!会いたかったよぉ〜っ!!」
「えっ!?ちょっ…」
「新ちゃーーん!らーーんっ!」
「うわっ!」
「きゃっ!」
「もうみんなに会えなくて寂しかったよぉ〜!どう?元気してた?私さ〜すっかりアメーリカンになっちゃって〜!もう食べる量もすっかりアメリカンよ〜あはははは!!あ、そういえば私ね」
「ストーーーップ!!」
「……へ??」
「あの…失礼ですけど何処かでお会いしたかしら…?」
………ひ、ひ、酷い!!
有希ちゃん酷すぎるっ!
貴女ナニ言っちゃってんの!!
解ってくれないとか何気にショック…!!
「…新一、知ってる?」
「いや…わかんねぇ…」
うわ酷すぎる!!
この人達鬼だよ!!
多分だけど面影あるはずなのにっ!
「も〜3人共酷いよ!」
「「「え?」」」
「私よ!花宮優月!」
「「「………」」」
あ、あれ?
何故黙る!!
そんなに私って子供の頃の面影無い!?
っていうかそもそも私のこと忘れてる…!?
「ほ、ほんとに優月ちゃん…?」
「もう!このネックレスくれたの有希ちゃんでしょ〜!」
もう全く…。
何で3人共疑うかなー。
蘭は目が点だし新ちゃんは顔赤いし…。
ってあれ?何故赤い?
熱でもあるの?
「優月ちゃーーーん!」
「ぶはっ!!」
「もうっ!あまりにも綺麗になっちゃってるから誰か分からなかったわ!!ちっとも連絡してこないし、行方知れずだったから心配してたのよー!ネックレス大切にしててくれたのね!嬉しいわ〜!!」
そ、そういえばこの人、何かあるとすぐに抱きつく人だったカモ…。
「有希ちゃ…苦しい…離して…」
ふぅ、爆乳で窒息死するかと思った…。
「では改めて…。優月ちゃんお久しぶり!!」
「お久しぶりです、有希ちゃん」
未だに疑いの目を向けてくる新ちゃんと蘭にも挨拶しないとね。
「新ちゃん、蘭。久しぶり!」
「…ほ、ほんとに優月…?」
まだ疑ってるし!
新ちゃんもポカーンってなってるし!
…よし。
「蘭、空港でヘアゴムありがとうね!新ちゃん、私の事待ってるって言ったのは嘘だったのかしら?」
「!……優月ーーっ!!」
やーん!
こんなナイスバディに抱き着かれるなんて感激っ!
「蘭…やっと解ってくれたのねっ…!」
残るは…
「新ちゃんは?分かってくれた?」
「お、おー。久しぶり…」
あれ?
何で顔逸らすの?
あたし何かしたかな?
何か…結構傷つくな。
ってゆうか声めっちゃ低くなってるんだけど!!
あの可愛い声はどこいった!
でも私、こういう声大好きだよ!
声って重大要素だと思うし!
…いやいや、今はそんな事言ってる場合じゃない!
新ちゃんと後でじっくりお話出来たらいいけど…。