あれから3日が経ち、私がとうとう火あぶりの刑に処される日が来てしまった。
校門の上には、"帝丹高校学園祭"…なーんて看板がデカデカと掲げてあったりして、朝起きた時から本っ当に気分が重かったりするワケで…
「園子さん、園子さん」
「どう?やる気出た?」
「やる気も何も…」
お昼を済ませた後、劇が始まる前に念の為どれくらいお客さんが来てるかをコッソリ覗くと…。
「何なのよこの観客の多さは!こんなに集まるだなんて聞いてないってば!」
体育館の中は超満員なんてモンじゃない。
椅子が足りなくて先生達が慌てて用意してるぐらいの異常な大盛況ぶり。
こんなにいっぱい集まるだなんてっ!
「それだけ前評判が高いのよ!ね?園子!」
「何たってあのロミジュリを凌ぐ超ラブロマンスって銘打っちゃったもんねー!」
「そ、そ、園子のバカー!!」
余計な事しないでよっ!!
「優月ちゃん!」
「あ、和葉ちゃん!」
「やっぱり来てもーてん!平次は、"迷惑かけるから行くな"ゆうてんけど…」
「じゃあ服部君、来てないんだ?」
「ふーん…」
事件で忙しいのかな?
でもまだまだね、平次くんは…。
ちっともジェントルマンじゃないわ。
女の子を1人で東京に送り出すなんて、紳士のやる事じゃないでしょ。
「なんだー、密かに狙ってたのに…」
「え?」
「じ、冗談よ冗談!」
「そうよ和葉ちゃん!園子は別の色黒貴公子に夢中なんだから!ねっ!」
「悪かったわね、色黒好きで…」
「…ほんで?」
「うん?」
「工藤君はどこにおんの?あれからとっくに仲直りして呼んでんねやろ?」
「あー、実はまだ…」
「えっ!?まだ仲直りしてへんの!?」
「う、うん…」
「そーなのよ!いっくら言っても聞かないんだから。いい加減早く仲直りしちゃいなさいよ!」
そ、そんな事言われても…。
「そっかぁ…」
「えっ?」
声がする方を見ると…。
「まだ新一兄ちゃんと仲直りしてないんだね、優月姉ちゃん…ゴホゴホ…」
「コッ、コッ、コ、コナン君…?!」
な、何で普通に話し掛けてくるのよ!?
「コイツ、まだ風邪が治ってねーから今日は家で寝てろって言ったのに、蘭が無理矢理連れてきちまってよー…」
「だってコナン君、優月のハート姫見たいかなーって思って!あ、でもツラかったら無理しなくていいのよ?」
「ううん、平気だよ蘭姉ちゃん。僕、優月姉ちゃんのヒロイン役どうしても見たいから…」
「っ!?」
は?
えっ、ちょ、ななな、何で何で!?
私達ケンカしてたよね!?
何で普段通りに戻ってるワケ!?
まさかあのケンカは夢!?
いやそんなはずは…!
「優月さん、ちょっといいですか?」
「え?」
「ラストのセリフのきっかけですが…」
「あ、はい…」
新出先生って人気らしいけど、私はタイプじゃないのよね…。
あーあ、騎士役が新一だったら感情移入出来たのになぁ…。
「じゃあ僕、席で見てるから…」
「あっ…」
「じゃあな優月!あがるんじゃねーぞ!」
「頑張ってなぁー!」
「…」
何か…。
いつもの新一と雰囲気が違うような…。
「ヤバッ!もう15分前じゃん!」
「えっ、もうそんな時間なの!?」
「そろそろドレスに着替えて優月!早くしないと間に合わないわよ!」
「う、うん…」
それにしても新一ったら何考えてるんだろ…。
まっ、まさか!!
もう私の事がイヤになって自己完結しちゃったとか!?
えっ、じゃあ私この後どーゆー対応したらいいの!?
ビーーーー…
「ちょ、アンタ何ボーッとしてんのよ!」
「あっ、ご、ごめ」
「いーから早く舞台に行きなっっ!」
「わぁっ!」
暴力的な園子に背中を思いっきり押された私は、とりあえず劇が終わってから考えようと無理矢理結論付け、自分のポジションに立った…。