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Zauber Karte

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血だらけラプソディー


「博士っ!!」
「優月くん!!」
「コナンは!?コナンはどこなの!?」
「お、落ち着くんじゃ優月くん…」
「何でよ!?何で撃たれたの!?どこを撃たれたの!!」
「銃創の部位は左側腹部…」
「え…」
「弾は貫通してるけど、出血が多く腎損傷の可能性もあるって…危険な状態らしいわ…」
「…そん、な…」


一気に身体から力が抜けていく。
自分の体重を足で支えられなくなって、床に座り込んだ。


ガラガラガラ…


「!?」


ストレッチャーで運ばれる新一の姿が目に入った。


「コナン君しっかりして!もうちょっとの辛抱だから!」
「蘭…」


蘭は落ち着いて新一に声をかけてるのに、私は何やってるの?
1人でパニック起こして…
地面に座り込んで…
呆然としてるだけじゃない…


「先生大変です!」
「ん?」
「前の患者の手術で、坊やと同じ血液型の保存血を使ってしまって、在庫がほとんどありません!」


血液型…!


「何だって!?今から血液センターに発注しても間に合わ」
「私の血を使って下さい!!」
「え?」
「私、この子と同じ血液型です!!だから…だからこの子を助けて下さいっ…!」
「え?」
「なっ!?」
「優月…」
「お前どうして…」


もうどうだって良かった。
新一の命がかかってる時に、組織の事とかみんなに正体がバレるかもしれないとか、そんな事考えてられなかった。


「調べなくたって血液型は100%同じです!だから早く!」
「あ、はい…では採血室へ!」


私は血を採った後、手術室の前で座りながら色々考えた。
浮かんでくるのは、新一に向けての謝罪の言葉と後悔だけ…
こんな事なら、ケンカなんてしなければよかった…
きっと私が、あの時キャンプに行ったまま帰ってくるなって思ったからこんな事になったんだ…
そればかりしか浮かんでこなかった。


「これ…」


顔をあげると、いつの間にか哀ちゃんが目の前に立っていた。


「…工藤くん、あれからもずっと首に下げてたのよ。この1ヵ月間、肌身離さずね…」


そう言うと哀ちゃんは、私に新一がつけてたネックレスを渡した。


「あ…」


チェーンには指輪が2つ、互いに寄り添う様に通されていた。


「ついでに言うと…血だらけだったわよ、それ…」
「えっ…」


そんな形跡なんて全くない…
多分哀ちゃんが、キレイに洗ってくれたのかな…


「おかしいわよね…撃たれたのは腹部なのに」
「あ…」


これがどーいう事かなんて分からないはずがない。


「新、一…」


指輪をぎゅっと握ったその瞬間、無意識に涙が溢れ出てきた。


「彼から大体の話は聞いてたわ…」
「…そう」


謝った方がいいって言うよね…


「今は、まだその時じゃない…」
「…え?」
「意識が戻ったら、何も言わずに部屋から立ち去る事ね…」
「哀、ちゃん…」
「私が言える事はそれだけよ…」


哀ちゃんは私に背を向け、去っていった。


「…新、一…」


私は新一が寝てる病室に入った。
蘭や小五郎ちゃんは、血を沢山採ったんだから帰って休んだ方がいいって私に言ってくれたけど、そんなの嫌だった。
今はどうしても、新一のそばに居たかったから。


「っ…」


手を握っても握り返してこない。
でも久しぶりに感じる新一の温もりに、すごく安心感を覚えた。


「…まだ、持ってて…」


新一の手のひらに、ネックレスを握らせた。


「…ごめん、ね…」


目が覚めたら言ってはいけない言葉を今、吐き出した。


「ごめんなさい…あんな事言って…ホントに…ごめ、なさ…っ…」


快斗や哀ちゃんが言ってくれた事を守るために。


「う…っ、ふぇっ…」


許す許さないの話じゃない。
意地とかももう張ってない。
新一は何かしら考えてくれてる。
私を簡単に手放したりはしない。
そう信じてるから、新一の想いは無駄にはしたくない。
だから私からは謝らないって決めた。


「大嫌いだなんて…そんなの、嘘だよっ…」


左手の薬指に、また新一からこの指輪を通してもらえる日まで、ひたすら待つべきなんだ。
新一を、信じてるから…


「昔も今も…この先もずっと…ずっと…っ、愛してるからね…新一…」


私は新一の手を握りながら深い眠りに落ちていった…。


bkm?

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