あれからどの位経っただろう…
私と新一の間であんな事があったけど、普段通りに日常は過ぎていってるワケで…。
まぁ、そんなの当たり前だよね。
だって地球は常に廻ってるんだから……。
「優月!」
「うん?」
「セリフちゃんと覚えてる?」
「…セリフって?」
「だから!この前渡した劇の台本よ!覚えた?」
「…全然」
「ちょっとー、真面目にやらなきゃ赤っ恥かくわよ?」
こっちはそんな気分じゃ無いわよ。
「ねぇ優月…この前から気になってたんだけど、新一と何かあった…?」
「え?」
「だって、ずっと指輪してないから…」
「…」
私の薬指から指輪が無くなって、早1ヶ月以上が経った。
左手をぎゅっ、と握っても妙にスカスカする。
この感覚には、いつ慣れるのだろう…
「ねぇ、何で指輪外してるの…?」
「……別れたから」
「「…えーーっ!?」」
あれから新一は何も行動してこない。
それはつまり、私の事なんて別に快斗に盗られても構わないっていう意志の表れなワケで…。
何かもう…
別に、いいかなって思う。
冷静に考えればそんなの当たり前。
だって最低呼ばわりしてひっぱたいて…
指輪を投げつけた挙げ句、極めつけは大嫌いだなんて吐き捨てたんだから…
私が新一の立場だったら、もう無理…って思うだろうし。
でも…
あんな後味の悪い終わり方は、避けたかったかも…。
「ア、アンタ!別れたってどーゆー事よ!?」
「…2人には関係無い事だから。それに色々と複雑なのよ…」
「「……」」
あの出来事を話したって、2人から返ってくる答えはただ1つしかない。
−早く謝ればいい−
でも私は快斗の言う事に従って新一を待ってた。
そう…待ってたの。
「…ねぇ優月?」
「…?」
「今日うちで劇の練習しない?私のお父さんに相手役やってもらおうよ!お父さんも最近優月に会ってなくて寂しがってたよ?」
「…!」
そうだ、すっかり忘れてた!
蘭はコナンを新一だと気付き始めてるんだった!
今の発言とこの表情からして…
多分、蘭は新一と私を仲直りさせようとしてるんだ…。
…でも、事務所に行くのは正直言って拒否したい。
行ったら新一いるだろうし…
同じ空間に居なきゃいけないとか絶っっ対に気まずいし…。
でも断ったら、コナン=新一です、ってバラしちゃってるようなモノだし…
えーっと、えーっと…
「…い、いいの?じゃあ、お言葉に甘えよっかな!あ、そういえば最近忙しくてコナンくんとも全然会ってなかったなぁ。コナンくん、元気にしてる?」
「え…?あ、うん…」
「じゃあ久しぶりに会うし、何かお菓子でも買って行ってあげようかなっ!」
「…そう、ね」
これで少しは誤魔化せたかな?
それにしても行きたくないなぁ…
はぁ〜…気が重い。
でも、そんな事言ってられないよね!
とにかく、新一が事務所にいない事を祈るしかない!