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Zauber Karte

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大怪盗の思惑


「…え?」


何でこの人は私の腕を掴んでるの?


「まぁ待て待て!そう焦ったっていい事無いぜ?ここはアイツの出方見てみねぇか?」


…なぜ笑顔で言う。


「快斗、もしかして楽しんでない?」
「あ、バレた?」
「…やっぱり謝りに」
「だぁー!冗談だってば!とりあえず俺の意見聞いてからどうすっか考えろよ!」
「快斗の意見…?」
「俺が思うに、アイツは俺に100%妬いてるな!」
「それは私も感じたけど…」
「んでもって、俺がオメーを奪おうとしてると名探偵は勘違いしてんな!」
「……は?何で?」
「あれー?オメー知らなかったのか?ローズクォーツを異性に贈る時に含まれる意味」
「意味…?」
「ズバリ!愛を伝えるー!」
「……」


じゃじゃーん!っていう効果音がピッタリな笑顔で言ってのける快斗を見て、一気に血の気が引いた。


「な…な…何でそんな物選ぶのよっ!快斗のバカバカバカ!!しかもアホみたいな笑顔で言わないでよっ!」
「痛てててっ!だって仕方ねぇだろ!?あれじゃなきゃダメだったんだから!それに俺はアホじゃねーよ!」
「あ、そういえば…」
「ん?」
「ネックレス引きちぎった直後に新一言ってた…これのせいで俺はずっと…って。でも私、すぐに叩いちゃったから続き聞いてない…」
「あー、その先は大体予想がつくな」
「……」


私が叩かなかったら、こんな事にはならなかった…
私が冷静にしてたら、新一を傷つけずに済んだのに…


「…あんま自分を責めんじゃねーよ」
「…そんな気休めはいらないです」
「気休めなんかじゃねーって」
「…え?」
「さっきの続き、聞きてぇか?」


さっきの続きって、快斗の意見の事だよね。


「…うん」
「アイツが本気で優月を俺に盗られたくねぇって思ってんなら、必ず何かしら行動に出てくると思うんだ。中森警部みてぇにな!」
「…」


最後のは余計だけど…


「まぁ…確かに言われてみればそうかも…」
「だろ?まずは名探偵の動きを見てみたらどうだ?謝んのはそれからでも別に遅くはねぇと思うぜ?」
「なるほど…」


さすがキッド。
盗みがキーワードになってる事については的確なアドバイスだ。


「…うん、わかった」
「よし、決まりだな!んー、帝丹名探偵バカップル、初の難事件ってヤツか…果たして迷宮入りにならずに済むか…へへっ、これからあのボウズがどう動くか見物だなっ!」
「…」


ニカッと笑う快斗は絶対に楽しんでると思う。
でも快斗はすごいなって改めて思った。
新一と出会ってなかったら、絶対に快斗を好きになってたと思う。


「あ、もうこんな時間か…オメー今日、1人で平気か?」
「…うん、大丈夫。快斗が励ましてくれたお陰でだいぶ楽になった」
「そっか!じゃあ俺帰るな。何かあったらまた連絡しろよ?」
「うん、ありがと…」


にっ、と笑うと快斗は玄関のドアを開けた。


「あ、そうだ…」
「うん?」
「さっき俺、オメーの事好きだって言ったけど強ち嘘じゃねーからな?」
「…うん、わかってるよ。青子ちゃんの次に好きなんでしょ?」
「さっすが名探偵!」
「私もだよ?私も新一の次に快斗が好き」
「へへっ、サンキュ!じゃまたな!」
「うん、ばいばい」


bkm?

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