「皆さん、クルーズの元々の意味をご存知かな?海賊行為じゃそうじゃ!獲物を求めて、クロス状にジグザグ航海する事から来たらしい…」
いつも思う。
何で新一が真相を話す時っていつもこんな出だしなのかと。
もっと普通に話せばいいじゃない。
格好つけちゃって…
「そしてこの船の中にも海賊がいた…他人の財産ではなく、命を奪う殺人者という名の海賊がな!」
でも何だかんだ言ってカッコいいよ新一ぃーーっ!!
「ちょっと優月…」
「え?」
「なにニヤニヤしてんのよ?」
「あ、あはは…」
「まさかアンタ…阿笠博士の事好きに」
「んなワケないでしょっ!!」
園子ったら、急に何言い出すのよ!!
「その海賊とは…シナリオライターの日下ひろなりさん!アンタじゃ!」
「妙な事言うなぁ…美波子さんの話、聞いてなかったんすか?事件があった時、俺電話で企画書のストーリー読み上げてたんすよ?」
「ストーリーというのはこれかな?」
−岡崎七海は、海が大好きである。生まれた時から玄海灘を見ながら育ったせいか、何よりも海の広大さが好きだった−
あ、そっか!
だから新一ったら私に録音させたのね!
「バ、バカな!それはちゃんと消したはず…」
「消した?いや、消したと思った…ところが消えてなかったんじゃな。こういう大事なものは、ちゃんと確認せんと命取りになるからのう…」
「……」
あのー、新一さん?
証拠を捏造するのはいけません。
私を共犯にしないで下さい…
「け、けどさ…それがイコール殺人の証拠にはならないんじゃないの?」
ここで小五郎ちゃんみたいな展開になったら、新一との今後を考え直そうかな…
「証拠ならあるじゃろ。ほら、そこに!」
「え…?」
「ほっ…」
よかった…
「あれれ〜?どうしたのお兄さん?赤い髪の毛の中に、黒っぽいのが混じってるよ?それってもしかして血じゃない?」
「っ!?」
なるほど。
灯台下暗し、ってとこね。
「そっか!お兄さん、悪い事した後鏡を見たけど、髪の毛が血の色に似ていたから気が付かなかったんだね!」
もうホント、コナンモードの新一って可愛いなぁ!
無邪気な子供!って感じで!
「でも覚えておいた方がいいよ…?血液は時間が経つと、固まって色が変化するんだから…」
うん、これは少し新一スイッチ入ったから可愛くない。
「ついでにその首に巻いたスカーフ、外してもらえんか?」
スカーフ…?
ああ、そういう事ね。
「ワシの推理が正しければ、まだアザが残っておるはずじゃ。アンタに襲われて必死に抵抗した、八代会長の爪痕か指の跡がの…」
高木刑事がスカーフを取ると、やっぱりアザが付いていた。
「日下さん、別室で詳しい話を聞かせて頂きましょうか…」
「ま、待って下さいよ!やだなぁ、僕にはまだこういう…切り札が残ってるんだぜ!!」
「!?」
あ、あれってもしかして!
「動くな!動くと爆弾を爆発させる!!」
「「「爆弾!?」」」
やっぱり…!
ここで爆破されたら大変な事に…!
「船を沈ませたくなきゃ言うことを聞け!!」
どうしよう…!
背後から取り押さえるにしたって、もしスイッチを押されたら…
「あっ!」
「え?」
「その人よ!私を襲ったのその人!!」
なるほどね。
会長を殺そうとマリーナに呼び出したけど、予定外に園子がいたから襲ったってワケか…
「とにかく落ち着きなさい!なぜキミはこんな事…」
「親父の復讐さ!15年前、八代商船の貨物船事故で死んだ乗組員は、俺の親父だったんだ!」
「……」
そうだったんだ…
だからレストランで船長を見た時に…