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Zauber Karte

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動き出した名探偵


「な、何とか間に合った…」


みんなより一足遅れてパーティー会場に着くと、既にいつものメンバーはウェルカムドリンクを飲みながら仲良く談笑していた。


「あ、やっと来たわね優月!」
「ごめんね、遅くなっちゃって…」


相変わらず私の具合は悪いまま。
正直立ってるのもツラい。


「…ねぇ優月、顔色悪いよ…?」
「ホント…部屋で休んでたら?」
「ううん…大丈夫よ。ありがとね2人共…」


コップにジュースを注いで一気に飲み干す。
熱があると喉が渇いて仕方ない。


「さぁ、楽しもう!園子なんて半日潰れちゃったじゃない、その分取り返さないとね!」
「ふふっ、さっき園子からも同じ事聞いたよ?」
「えっ、私って園子と同じ脳みそなの…?」
「あら何よ!嫌だっていうの!?」
「べ、別に…」


正直言うと嫌かも。


「優月姉ちゃん、ちょっと…」
「あ、コナン君…」


離れた場所まで移動して、私はポケットからICレコーダーを取り出した。


「はい、入れといたよ」
「サンキュ…オメー大丈夫か?」
「あは、正直今にも倒れそうです…」
「じゃあ部屋に戻れよ!」
「絶対やーだ」
「オメーなぁ、我が儘ぶっこいてる場合じゃ」
「だって、1人になりたくないんだもん…」
「…ったく、何かあったらすぐ言えよ?」
「うん、わかった…」


フッ…


「皆さん!アフロディーテ号へようこそ!私は、今夜の司会を担当させて頂きます、辻本夏帆と申します!初めにメインスタッフの紹介を…」


あ、そういえば新一は犯人わかったのよね?
さっき詳しく聞けばよかったな…
この推理オタク、単純な所でミスするんだもん。
あ〜あ…
私も解きたかったなぁ…


−キャプテン!貴江社長が殺害されたというのは本当なんですか!?
−八代会長も行方不明という噂があるんですが…
「そ、それは…」


ちょ何で関係ない人が知ってるの!?
……あっ!
新一が私に軽く説明してるとこ、誰かに聞かれたんだわ!
チラッと新一を見るとバッチリ目が合った。


(…バーカ)
(わ、わりぃ…)


「皆さん落ち着いて下さい!!」
「えっ?」


舞台を見ると小五郎ちゃんがマイクを持って立っていた。


「この凶悪な連続殺人を犯した犯人は、既にこの毛利小五郎が特定しております!」
「待ってました名探偵!」


…ホントに〜?
いつもの当てずっぽう推理じゃないでしょうね?


「貴江社長を殺害し、そして会長をも殺害した犯人…それは…秋吉美波子さん、アンタだ!」
「えっ…」


秋吉さんが…?
でも新一は日下を疑ってたよね?


「動機は半月前に交通事故で亡くなった八代英人氏の復讐…その事故は実は八代父娘による殺人だったのです!」
「し、しかし…どうして秋吉さんが八代さんの復讐を!?」
「それは恐らく、美波子さんが英人氏と恋人同士だったからでしょう…」
「ちょっと待って下さい!確かに八代先生の事は、偉大な先輩として尊敬してました。でも恋愛感情などは…それに私には、事件の時部屋で日下さんと電話で話していたというアリバイが…」
「だが実際は、途中の20分間ほど日下さんに一方的にストーリーを読ませて、アンタは一言も話していない。つまり、その間のアリバイは無いんですよ!」
「いい加減にして下さい!もし日下さんが途中で読むのを中断して何か話しかけてきたら、電話口にいないのが分かってしまうじゃないですか!そんなアリバイ工作をするほど、私は愚かではありません!」


うわー、小五郎ちゃんタジタジ…


「それでも私が犯人だとおっしゃるなら、今すぐ証拠を見せて下さい!」
「う…」
「おい、あるんだろ?毛利くん、証拠が…」
「あ、いや…あれぇ?」


えっ、証拠も無いのに罪を擦り付けたの!?


「まさかお父さん、美波子さんがお母さんに似てるからって疑ってるんじゃ…」


えっ!?


「どうなんです毛利さん!」
「す、すみません!ちょっとトイレタイム!!」
「……」


蘭がかわいそすぎて涙出てくる…!


「蘭も大変ね…」
「うん…」
「「はぁ〜…」」


こんな事になるなら新一から聞いとけば良かった。


「優月の具合が良かったら、今頃犯人なんてわかってたのにねぇ〜…」
「ご、ごめんね?」
「仕方ないよ、優月だってわざと風邪ひいたワケじゃないし…」
「蘭好きっ!」
「私もよっ!」
「はいはい、勝手にやってて…」


うんうん!
やっぱ蘭にぎゅーしてもらうと安心する!


「警部、みんなが笑ってる内に何か手を打たないと」
「心配いらんよ目暮警部…」
「え!?」
「真犯人はわかっておるから…」


おっ、新一が動き出した!


「ホントですか阿笠博士!」
「今度は博士の推理ショーですね!」


わぁ、ワクワクしてきちゃった!
早く聞かせて聞かせて!


bkm?

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