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Zauber Karte

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向こう見ずな隠れんぼ


ミルクティーを取りに行って、蘭と園子と学校の話をしたり、鈴原先輩とのノロケ話を聞いたりガールズトークを繰り広げてたんだけど…。


「あ、そういえば優月、体調は大丈夫?」
「うーん…まだちょっとダルい感じはするかも…やっぱり海の上って夏とはいえ少し寒いね…」
「優月」
「うん?」
「ほら、お前これ着てろ。悪化したら大変だからな…」
「あ、ありがとう小五郎ちゃん…」


やっぱり小五郎ちゃんて新一に似てるなぁ…。
えっ、じゃあ私達も結婚したら別居決定!?
……そんなワケないか。
私は料理ヘタじゃないし。
しっかしこの不景気真っ只中で、ご丁寧に乗船記念で上着作るなんてさすが八代グループ…。


「…あれ?」


ポケットに何か入ってる…。


「えっ、何?これ…」


ポケットの中には、赤いリボンで可愛くラッピングされた袋が入っていた。


「優月お姉さん!」
「え?」
「「「コンクール優勝おめでとう!」」」
「…えっ!?」


ちょっ、なにこれ!
どーゆー事!?


「僕達で昨日作ったんです!」
「早く開けてみて!」
「あ…うん!」


中を開けると、貝殻で作ったネックレスが入っていた。


「わぁ…素敵!あ、もしかしてこれ…」
「うん!金メダルだよ!」
「さすがに貝殻でトロフィーは作れないので…」
「でも優勝した事には変わりねーからよ!」
「みんなありがとう!とっても嬉しいわ!大切にするね!」
「なぁ、今つけてみろよ!」
「うん!つけるね!」


快斗から貰ったやつはポケットに入れといて、っと…。


「……どう?似合うかな?」
「なかなか似合うじゃねーか!」
「うんうん!サイズもピッタリだし、よく似合ってるよ!」
「よかったぁ!探偵団のみんな、ありがとう!」
「「「えへへへ…」」」


うふふっ!
もうみんな可愛いなぁ〜!


「さて、俺はそろそろ着替えねーと…」
「え?着替えるって?」
「実は麗姉妹からお誘い受けてるんだ!名探偵毛利小五郎の話を聞きたいそうだ…」
「あはは…行ってらっしゃい…」
「なかなかやるわね、おじさま!」
「ほっときましょ…それよりみんなは何して遊びたい?」
「私、隠れんぼしたい!」
「あ、隠れんぼしたいしたい!やろうよみんなで!」
「懐かしいなぁ…優月と子供の頃よくやったよね?」
「うん!あ、小学校でもやった事あるよね?」
「悪いけど、俺パス…」
「付き合い悪いぞオメー…」


もう!
こういう協調性が無いとこは相変わらずなんだから…。


「そう言えばその時も新一に断られたな〜」
「さぁやるぞ!隠れんぼ!」
「フフッ!」


最初からそう言えばよかったのよ。


「はい、園子が鬼!」
「わーい!」
「まっ、待って!無理よ無理!この広い船内で30分で7人も見つけんの絶対無理!」


まあ、確かに言われてみればそうか…。


「じゃあここは慈悲深い優月ちゃんが、もう1人鬼を作るという特別ルールを設けてあげましょうか…」
「…どうも」


もう1度ジャンケンした結果、園子と哀ちゃんという異色のコンビが結成された。


「そうだ!アンタの探偵バッジ、ちょっと貸しなさいよ!」
「え?何でだよ!」
「2人が鬼だと誰を見つけたかわかんなくなるでしょ?」
「いいけど…無くすなよ!」


園子お嬢様の威厳にはいくら元太くんでも太刀打ち出来ないよね。
気持ちは痛いほどよくわかるよ、うん…。


「…じゃあ、5分後の9時50分から探し出す事にして、10時20分までに6人全員を見つけたら鬼の勝ちって事で…」
「よし、負けないわよ!」
「あら、残念ながら…」
「私たちの勝ちね!だって」
「こっちにはコナン君がいるもん!」
「……」


蘭…。


「よし!行こうぜ!」
「はい!」


私は隠れる場所を早々と決めてあった為、スムーズに隠れる事に成功した。


「うん、ここなら絶対見つからないわね…」


あ、そういえば昨日、新一のあのセリフ言った後の蘭の言った事、気になるな…。


「……」


前から思ってた。
新一と蘭はふとした時にお互いを思い出すって。
この前だってそう。
私が転校した後の、2人だけしかわからない事を思い出して蘭はクスクス笑ってた。
そりゃあ17年間離れずに一緒だったから、色々重なる場面とかあると思うけど…。
そういうトコ見ると、寂しくなるってゆーか…。
すごく孤独感に苛まれる。
同時に、NYの家で毎日感じてたあの感覚も思い出す。
新一から愛されてるって感じてはいるけど、やっぱり女っていうのはそれだけじゃ満足しない生き物なのかもしれない。
…なんで、蘭は新一を好きにならなかったんだろう。
タイプじゃないのかな?
まぁ鈴原先輩とは真逆な気もするけど。
う〜ん、気になるなぁ…。


「あ…」


もしかしたら好きになってたのかもしれない。
でも私っていう存在がいたから、遠慮して気持ち抑えてたっていうのも考えられる…。


「っ…」


あーダメダメ!
何考えてんのよ私ったら!
去年からちっとも成長してないじゃん!
大切なのは今よ!
蘭には鈴原先輩がいるし、新一と私は相思相愛!
何も心配する事ないって蘭も言ってたし!


「……最悪」


幼なじみって本当に厄介だ。
蘭が私の幼なじみじゃなくてただのクラスメートだったら、きっと嫉妬心から関わりたくなくて避けると思う。
でも現実はそうじゃない、大事な幼なじみだ。
だから嫌いになんてなれない。
蘭はとっても良い子だし、嫌いなとこなんて1つもないんだから…。


bkm?

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