smaragd | ナノ

Zauber Karte

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嬉しい変化


「では、飲み物も揃ったところで…」
「あ、私にやらせて!おじさま」
「…え?」
「えー、今回の楽しいクルーズとそれから…優月のエリザベート王妃国際音楽コンクール・ヴァイオリン部門での1位を祝して…」
「えっ?」
「「「かんぱーい!」」」
「ちょっと園子…!」


何でその事知ってるの!?


「優月お姉さん!バイオリンコンクールで1位をとるなんてすごいね!」
「しかも、エリザベート王妃国際音楽コンクールですよ!」
「そんなにすげーのか?そのエリザ何とかって…」
「エリザベート王妃国際音楽コンクールですよ元太くん!」
「ちょ、みんな…」
「ベルギーのブリュッセルで開催される、ピアニストやヴァイオリニスト、それに声楽家や作曲家のためのコンクールさ。ショパン国際ピアノコンクール、チャイコフスキー国際コンクールと並ぶくらい有名な世界的権威のあるコンクールで、世界三大コンクールの1つとされているんだ」
「へぇ〜さすがコナンくん!何でも知ってるね!」
「あ、もしかして新一に聞いたの?」
「えへへへ…」


さ、さすが雑学王…。


「ってゆーか何で園子が知ってるの?」
「ああ、この前アンタの家から帰る途中でね、コナンくんが教えてくれたのよ!」
「えっ!?な、何でわかったのコナンくん!誰にも言わないでベルギーまで行ってすぐ帰ってきたのに…」
「え?だって優月姉ちゃんちのキャビネットに飾ってあるトロフィー、1つ増えてたんだもん」
「あ…」


そっか…。
新一は、私が黙っててもいつも気が付くもんね…。


「もう優月ったら!何でいつも言ってくれないの?」
「だ、だって…」
「そうだよ優月姉ちゃん!新一兄ちゃん泣いてたよ?毎回コンクールに出てもいつも俺にすら言ってくれないって…」
「…」


あなた、泣いたんですか…。


「だ、だって恥ずかしいじゃない…。ただ力試しで出てるだけなのに、優勝したからって才能があるとは限らないし…」


上には上がゴロゴロいる世界なんだよ?
そう簡単には受け入れてもらえるものじゃないし、ただ私は舞台の上で演奏するのが趣味ってゆうか、楽しいってゆうか…。


「じゃあアンタが優勝した事、新一君知らないって事!?」
「えーっと…まぁ、そうかな?」
「じゃあ早く教えてあげなきゃ!帰ったらちゃんと電話してあげなよ?」
「うん、わかった…」


未だにこーゆーやり取りって慣れないなぁ…。


「あ!それより蘭だって関東大会優勝したじゃない!そっちの話も…」
「アンタねぇ…蘭はこの前みんなで盛大にお祝いしたからいいの!話逸らさない!」
「は、はい…」


み、みんなの視線が痛い…。


「はぁー、食った食った…」
「もう園子ったら…」


お嬢様なんだから少しは気を付けようよ…!


「…あれ?優月姉ちゃん、」
「うん?」
「食欲ないの?あんまり食べてないね…」
「あ、何か食べる気しなくて…」
「…そっか…」


私は体調が悪いと何も食べられなくなる。
ご飯を残す行為なんてなるべくしたくないんだけどな…。
どうしても咀嚼する気になれない。


「どうしました?」
「なんか船に酔っちゃったみたいで…」
「いやぁ!俺もスッカリ酔っちまって…」
「お父さんはお酒の飲み過ぎ!」
「あちゃ、キビシー…」
「……」


小五郎ちゃん、完全に出来上がっちゃってる…。


「すいません…失礼して、部屋に戻って休みます…」
「大丈夫かね?」
「部屋に薬があるんで…」
「お大事に〜」
「……」


そんな簡単に船酔いするほど揺れてないじゃない…。
日下さん、三半規管が弱い人なのかな…?


「もうお父さんったら…普通こんなになるまで飲む!?」
「ほんとよね!ちょっと小五郎ちゃん、本当に大丈夫?」
「毛利小五郎、大丈夫でありやす!」
「ダメだこりゃ…」
「はぁ…」
「大丈夫だよ優月姉ちゃん、蘭姉ちゃん…あとはベッドに寝かせるだけだから」
「…コナンくんいい子だねっ!」
「わっ!」


コナンモードの新一って何て可愛いのっ!


「じゃあコナンくん、お父さんのことお願いね?」
「うん」
「博士大丈夫?私も手伝おっか?」
「いや、ワシ1人で大丈夫じゃよ優月くん…」
「優月ちゃんダイジョブダイジョブ!」
「「はぁ…」」


蘭が不憫すぎて泣けてきた…。


「じゃあコナンくん、おやすみ!」
「うん、おやすみ〜…」


部屋に戻った私は、勢いよくベッドに沈み込んだ。


「…柔らかい」


具合が良くない時は何もしたくない。
でもメイク落とさなきゃ肌が大変な事になるし…。
それに、お風呂入らなきゃ落ち着かないし…。


「……」


コンコン


「…ん?あっ!」


あっぶなーい…。
半分意識飛んでた…。
ってゆーかこんな時間に誰?


「はーい…」


ドアを開けると目の前には誰もいない。
いつものクセで下を見る。


「あ、新一どうしたの?」
「ほら、これ飲んで早く治せ」
「…え?これなぁに?」
「博士が作った風邪薬だ。オメー具合どうだ?何か欲しいモンあったら売店で買ってきてやるぜ?」
「…」


今、最高に抱き締めたい。
でも体が重くてそれどころじゃないのが現状なワケで…。
ちょっぴり切ない、かも。


「…ううん、大丈夫よ…ありがとうわざわざ…」
「…」
「…じゃあおやす」
「俺、今日オメーの部屋で寝るわ」
「え…?」
「着替え持ってくっから待ってろよ?」


何で新一がこういう事を言うかなんて、そんなの聞かなくてもわかる。


「…ふふっ、ありがと新一!」
「バーロ、当然の事だろ」


あのトロピカルランドぶっ倒れ事件の後から、新一は私の異変によく気付くようになった。
蘭が何か言ったのかな?
よくわからないけど、新一の中で色々と変わってきてるのは確かなんだ。


bkm?

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