smaragd | ナノ

Zauber Karte

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極めたバカップル


「キレイなオレンジ色だね〜…」
「ああ、そうだな…」


オレンジ色の太陽が水平線に沈んでいくのを新一と一緒にこんな近くで見れるなんてロマンチック…


「まるで太陽が海にキスをして照れてるみたい…」
「……」


……あれ?
新一ならここで、「バーロォ!夕日が赤くなる理由はなー、太陽光線が大気中を斜めに通って波長の長い赤い光だけが残って届くからだ!」……とか何とか言ってくると思ったんだけど…


「ねぇ新一」
「ん?」
「早くあれやろうよ!」
「…マジでやんのかよ?」
「うん!その為に何回もあれ見せたでしょ?」
「オメーなぁ、あれをマジでやるなんてバカップルの極みだぜ?俺はやだね…」
「じゃあもうNY帰」
「わぁーったよやるよ!やればいーんだろ!?」
「えへっ!新一大好き!」
「ったく…」
「じゃあ英語でやろ?その方が盛り上がるし!」
「へいへい…でも身長差あるぜ?どーすんだよ?」
「そんなの逆にすればいい話よ!」
「ちぇっ…情けねーな…」
「じゃあいくよ?あ、有希ちゃんの息子ならちゃんと演技してよね?適当にやったら海に突き落とすから!」
「……」
「じゃ、私はここで景色眺めてるからね?」
「へーい…」


───────


「Hello, Jack…(ジャック…)」
「……」
「I changed my mind.(考え直したの)」
「……」
「Fabrizio said you might be up…(やはりここに…)」
「Sssshh. Come here.(手をかして)」


私は新一の手をとる。


「Close your eyes.(目を閉じて)」
「……」
「Step up.(さあ。ここへ)」


新一の手を取り、船の先端へ向かう。


「Hold onto the rail. Keep your eyes closed…Don't peek.(手を手すりに。覗くなよ)」
「I'm not.(いいわ)」
「Step up on the rail. Hold on. Hold on. Keep your eyes closed.Trust me(手すりに登って。そのままそのまま…つかまって。僕を信じて)」
「I trust you.(信じるわ)」


私は新一を抱き上げた。


「Okay. Open them(よし、目を開いて)」
「Oh…I'm flying!Jack!(空を飛んでるわ!ジャック!)」


さ、さすが新一!
本家大元に劣らずの名演技っ!


「Come Josephine in my flying machine...(ジョセフィ−ン、空飛ぶマシ−ンで僕の所へ…高く高く大空に舞って…」


新一は私の方に振り返り、互いに熱い口づけをした。


───────


「はいカーット!!新ちゃんお上手に出来たね!」


やっぱり船ときたらタイタニックごっこでしょ!


「……」
「…何?…えっ!?ちょ…」


新一がおでこコッツンしてきたって事は…。


「…やっぱりな」
「…もしかして熱ある?」
「ああ、微熱だけどな…オメー大丈夫なのか?」
「うん平気よ」
「ならいいけど…無理だけはすんなよ?」
「分かってるって!さて、目的達成出来た事だし、デッキに戻ろっか…」
「おー」


それにしても、熱があったなんて全然気付かなかったなぁ…。
ちょっと顔が熱いかなって感じてたけど、夕陽のせいかと思ってた…。


「…でも新一すごいね!」
「へ?」
「だって軽くキスしただけで熱があるって分かっちゃうんだもん」
「バーロ、………ねぇよ…」
「え?何?よく聞こえなかった…」
「「「あーーっ!」」」
「えっ?」
「見たぞ!コナン!」


あ、少年探偵団のみんなだ!
それに蘭と園子も…


「は、早く降ろして!優月姉ちゃん!」
「…フフッ、はいはい」


もう恥ずかしがっちゃって可愛いなぁ〜!


「見たぞ見たぞ!」
「また優月さんに甘えてましたね?」
「バッ、バーロォ!んなんじゃねーよ!」
「顔、赤いよ?コナンくん!」
「なっ、何言ってんだ!夕陽のせいだよ!」
「クスッ…」


今日はうまく誤魔化せてよかったね、新一。
それにしても、コナンの姿でこのセリフ聞くとあの頃を思い出すなぁ…


「あの時と同じ…」
「えっ?」
「何が?」
「蘭、あの時ってどーゆー事?」
「え?ううん、何でもない!」
「ちょっと何よ〜、気になるじゃない…」
「そうよ、教えなさいよ!」
「何でもないったら…」
「……」


また2人しか知らない思い出、か…


bkm?

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