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Zauber Karte

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逃亡する怪盗


「…コナンくん、室蘭の方向は?」
「今探してる…あった!ちょうど函館から札幌へ向かう航空路が、室蘭の近くを通ってる…方位は023度だ!」
「023度、了解」


私はツマミを回し、スイッチを押した。


「山越えになる!高度は5000以上だ!」
「分かったわ」


あ、意外と冷静に動かせる…。
この調子なら、何とかなりそうね。


「乗客には、千歳に向かうと言って下さい!」
「はい…」
「それと、2階席の全員を下へ移して下さい…」
「え?」
「女子高生が操縦してると知ったら、パニックになりかねないでしょ?」


そう言ってる快斗も男子高校生じゃん…。
あ、でも今は新庄さんか。


「キミ達も、キャビンに戻ろうぜ?」
「「「え〜っ!?」」」
「ここにいても、キミ達にできる事は何も無い…それよりもキミ達には、他の子供達が騒ぎ出さないように見張ってて欲しいんだ…無理なら他の人に頼むが…どうだ?出来るか?」
「わかりました!」
「やってみる!」
「任せとけ!」
「よし!頼んだぞ!」
「「「ラジャー!!」」」


あはは…。
快斗、子供の扱い上手すぎでしょ…。
保育士とか意外と向いてるんじゃない?


「私達は残るわ!何かあった時、優月を助けられるのは私達しかいないから!」
「そうよ!大事な親友が頑張ってるんだもん…傍にいてあげたいわ!」
「…いいだろう」


蘭、園子…。


「優月、頑張ってね!」
「私達はすぐ後ろにいるからさ!」
「2人とも…ありがとう…」


もう…。
そんな事言われたら、涙が邪魔で操縦出来ないじゃない、バカ…。


「ねぇ、そろそろ室蘭だけど…高度はどうすればいい?」
「2000フィートまで下げよう…」
「了解」


私は操縦桿を少し押した。


「見えた!明かりよ!」
「ホントだ…」
「室蘭港だ…崎守埠頭はもっと左…白鳥大橋の向こうだ…」


えっ…!?


「ね、ねぇ…暗くて何も見えないよ…?」
「ちょっと!あんな所に着陸するの!?」


ど、どうしよう…!
あんなんじゃ…墜落しちゃうよ!
でも…もうここしか着陸する場所は…。


パチン


「えっ…?」
「な、何を!?」
「なんかヤバそうなんで、俺は先に降りるぜ!グッドラック!」
「えっ!?」
「ちょっと!!」
「おい!待て!!」


快斗…。
一体何を…?


「わぁっ!!」
「優月!機首を下げろ!」


あ…危なかった…。


「ごめんごめん…快斗に気をとられてた…」
「ったく…気を付けろよな…」


ピーピーピー…


「えっ…何の音?」
「何でもない…それよりオメーは機体を安定させる事に集中しろ!」
「きゃ〜、新一さん怖〜い」
「オメーもうちょっと緊張感持てよな!」
「…何言ってるのよ…もう、十分緊張してるわ…」
「え…?」


ふざけてないと、正気でいられないのよ…。


「ねぇ2人共!」
「えっ…?なに?」
「新庄さん、キッドだったわよ!」
「今ね、ドアを壊して飛び降りて行ったのを見たのよ!」
「飛び降りた!?」


快斗…。


「墜落するのが怖くて逃げたのよきっと!あ〜あ!ファンだったのに最っ低!」
「園子姉ちゃん、まだ墜落すると決まったワケじゃ」
「違う!!」
「…え?」
「優月…?」
「キッドは…キッドはそんな卑怯な男じゃないわ!」
「「「………」」」


快斗は絶対にそんな男なんかじゃない!
きっと…何か考えがあって飛び降りたんだよ!


「ま、まさか優月…」
「えっ!?」


やばっ!
キッドと知り合いだってバレた!?


「あんた、実はキッドのファンだったの?」
「……」


ファンとかじゃないけど、まぁ強ち間違ってはいない…かな。


「と、とにかく、埠頭の周りを旋回して様子を見てみよう!」
「…そうね」


快斗…。
あなた、一体何をしようとしてるの…?


bkm?

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