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Zauber Karte

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操縦士、交代


「コナンくん!大丈夫!?」
「ああ、何とかな!」
「ねぇコナンくん、エンジンが取れちゃってたよ…」
「わかってる!心配すんな!残りのエンジンで着陸するさ!燃料もまだ十分に……っ!?」
「どうした?」
「燃料がほとんど無くなってる!!」
「ええっ!?」
「何っ!?」


な、何で!?


「それってどーゆー事よ!?」
「もしかしたらエンジンが落ちてしまったから?」
「それは無いわ!普通4つのエンジンには、それぞれ別のタンクから燃料が配給されるし……あっ!」
「どうした!?」
「ちょっと!クロスフィートバルブが開いてるわよ!!」
「何っ!?」


私はスイッチを押した。


「何だよその、クロス…なんとかって?」
「クロスフィートバルブよ、元太くん…」
「そのスイッチを押すと、燃料タンクを仕切っていたバルブが開いて、ひとつながりになってしまうんだ…」
「クソッ!いったいどうして!?」
「……あっ!さっき伴さんが中屋さんを運ぶ時にバランスを崩して、天井に手を!」
「…ったく、あのオヤジ!こりゃ一刻の猶予もならねーぞ!」
「優月姉ちゃん!そこに地図があるはずだ!取ってくれ!」
「わかったわ!」


えーっと…あった!


「はい、地図!」
「サンキュ!」
「クソッ!オーパイ、滑走路、燃料…おまけに無線までダメになっちまった!」
「えぇっ!?オーパイがダメ!?」


何でそんな事になってるの!?


「じゃあ今って、手動!?」
「ああ…」


こうなったら、何もかも自力でやらなきゃダメって事…か。


「残りの燃料は約3000ポンドか…」
「えっ!?それしかないの!?じゃあ、飛べる時間は10分しか…」
「ああ…どこかに着陸できる場所を探さねーと…」


そんな事言ったって、今すぐ着陸できる場所なんてそう簡単に…。


「新千歳空港は…」
「ギリギリだな、途中で燃料切れになる可能性が高い…」
「他の空港は?この近くには…」
「無いわ!」
「えっ!?」
「農場の離着陸場とか、自衛隊の基地ならあるかもだけど、滑走路の長さが足りない…」


どこか無いの…!?
絶対あるはずだよ!
どこか……どこか……


−ねぇ、パパ?−
−ん?何だい?−
−もし何かあって、空港に着陸出来ない事が起こったら、パパ死んじゃうの…?−
−優月……いや、大丈夫だよ。緊急に着陸できる場所を必死に探すさ…−
−え…?でも、空港以外にそんな場所があるの…?−
−ああ…あるよ。だが条件があるんだ。パパが乗ってる飛行機は重くてとても大きいからね…。道が長く、真っ直ぐな事。そして周りに何も無い広い場所。地盤の強度なんかも必要だな−
−…そんな場所、あるの?−
−ああ、場所によっては探せばあるよ。ただ…以前パパが緊急着陸した時は、さっきの条件に完璧に当てはまる場所が無かったんだ。だからやむを得ず、埠頭に着陸したよ−


「あっ!!そうよ!!」
「わぁ!ビックリした〜…」
「あ、ごめんごめん…」
「優月姉ちゃん、どこか場所知ってるの!?」
「埠頭よ!昔パパが、埠頭に緊急着陸したって言ってたのを思い出したわ!」
「何っ!?そうか!!よし……」


埠頭しかもう考えられない!
他に条件に当てはまる場所なんて無いし、かといって海への着水なんて、高度な技術を持ってても至難の技。
やるしかないよ!


「あった!崎守埠頭!長さは…1400メートルか。幅は恐らく30メートルだろう…」
「でも飛行機の幅は…」
「ああ、60メートル弱だ…しかし片方の翼を海に出せば何とか」
「無理ね…」


えっ!?


「距離が足りないわ…この飛行機の着陸滑走距離は2000メートルを越えてるはず。それに地盤の強度にも問題が」
「でももう燃料は残り少ないし、幸い乗客も少ないわ…」
「ああ、それに重量が少なければ、それだけ着陸距離が短くて済む…風向きによってはもっと短くなるかも…」
「あ!そういえば、羽田で見た天気予報だと、一晩中強い西風が吹くって言ってました!」
「本当か!?光彦!」
「光彦くん、さすがね!」
「いやぁ…えへへ」


じゃあ崎守埠頭に決定ね!


「この埠頭はだいたい東西に向かって伸びてる…西風に向かって、東から着陸すればギリギリ…」
「無理だ…」
「「え…?」」
「さっき管制塔にぶつかった時、左腕を強打してな…」
「えっ!?」
「今はほとんど、右手だけで操縦してるんだ…手動で着陸させるとなると、両手で操縦桿を握らなきゃならねぇ…」


快斗…。
じゃあ…どうすれば…。
誰が、やればいいの…?


「そこのお嬢さん」
「えっ?私?」
「視力はいくつ?」
「え…っと、両眼とも2.0…」
「持病は?」
「…無いわ」
「3サイズは?」
「えーとバストは……ってちょっと!」
「っし、合格だ!キミが機長席に座って操縦してくれ!」
「えっ!?」
「坊主から聞いたぜ?彼氏の父親にセスナの操縦教わったってな…」


新一ったら余計な事を…!
でも緊急事態だし…。
このメンバーの中じゃ、私くらいしか…。


「……分かったわ」


そう言い、席に座って操縦桿を握った。


bkm?

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