────羽田空港
「いや〜すみませんなぁ…私らまで打ち上げにお招き頂いて…」
「皆さんのおかげで宝石が無事だったんですから、当然ですわ!」
だから快斗は今日盗むんだってば…。
「なぁ優月…」
「うん?」
「キッドは誰に変装するんだ?」
「それがね、快斗ったらいつも教えてくれないの…」
「ふーん…」
−これはゲームだ!俺を探し出せたら何か奢ってやるぜ!−
なーんて言って楽しんでるもん、あいつ。
何気に快斗もSっ気があるのかしら?
「いつも樹里さん、駐車場の車の中で、なつきさんにメイクしてもらってるんです」
「大女優ともなると大変なんすなぁ…」
「大変なのはなつきちゃんよ!」
「そうなんですか?」
「ああ、樹里に重宝がられて付き人の様な事までさせられてるからな…」
「へぇ〜…」
樹里さん、我が儘そうだもんね…。
なつきさん、ちょっと可哀想…。
「はぁ〜い!お待たせ皆さん!」
うわ、さすが女王様…。
荷物を全てなつきさんに持たせてる…。
「新庄さんなら体調が悪いので、キャンセルすると電話が…」
新庄さん来ないんだ…
イケメンだから女の子とデートとか?
「あの…他の役者さんは来ないんですか?」
「当たり前じゃない!端役の連中呼んだって何のメリットもないし」
うわ〜性格悪いなぁ…。
「ねぇ新一…」
「ん?」
「樹里さん、性格悪すぎるね…」
「はは…」
その時、嫌な感覚が背筋を通りぬけた。
…何?今の…。
「し、新一…」
「…オメーも感じたか?」
「うん…」
「……」
何なんだろう、今の…。
「えーと…私の席は…。あーあ…残念」
1番後ろとかツイてない…。
「替わるわ…」
「え?あ、哀ちゃん…」
「…工藤君の隣がいいんでしょ?」
「哀ちゃん…!ありがとう!」
何て優しいのこの子っ!
「…ねぇ」
「うん?」
「あなた…どう思ってるの?」
「え?何が?」
「……いえ、何でもないわ」
え?何?
全く話の筋が見えて来ないんだけど…。
「あ、優月が隣か?」
「えへっ!哀ちゃんが替わってくれたの〜!」
「へぇ〜…アイツなかなか気が利くな」
「そうね…あ、哀ちゃんがね」
「え?」
「あなた、どう思ってるの?って突然聞いてきたんだけど…何なんだろ?」
「……」
「ねぇ、何か知らない?新一」
「えっ?あぁ、知らねぇなぁ…」
「…そう」
何か2人して、私に隠してる…?
「英理っ!?」
「あ、あなた!?」
えっ?
「英理ちゃん!」
「あら、優月ちゃん…」
「ど、どうして…」
「あれれ〜?もしかしてお母さんも函館へ?」
「……」
なるほど、蘭が仕組んだのね…。
「やっぱりお父さんとお母さんて縁があるんだね〜!」
「何言ってるの?樹里さんからご招待受けたけど…お父さんが行けないから代わりに来てくれ、ってあなたが…」
「蘭!またお前…」
「ま、まぁまぁ…とにかく座ってよ2人共…」
「「冗談じゃねぇ(ないわ)!何でコイツ(この人)の隣なんか!」」
あははは…。
この2人は相変わらずなんだね…。
私と新一はずっと仲良しでいられるかな…。
「はぁ〜…」
「…どうした?」
「何かさ…人間ってわかんないなぁって思って」
「え…?」
「一度は愛を誓い合ったのに、何で壊れるんだろうなって…」
「……」
私と新一だって、もしかしたら…って。
そう考えると、何だか悲しいな…。
「…なぁ優月」
「…え?」
「男は退屈から結婚し、女は好奇心から結婚する。そして双方とも失望する…ある人物の格言だ…」
「……」
「じゃあ…失望しないようにするには、どうしたらいいと思う?」
新一…。
「…クスッ。ありがとう」
「元気出たか?」
「うん。新一とならずっと仲良くいられる気がする…」
「ったりめーだろ?喧嘩したら話し合って解決すりゃーいいんだし」
「そうだね…」
新一はすごいな…。
私の考えてる事、すぐわかってくれる。