見事にムードをぶち壊したこの人に若干の怒りを覚えつつも、何が何だか理解出来ずに汐留に強制連行された私。
向かう途中、依頼の詳細を聞かせてもらった。
女優の牧樹里さんが、小五郎ちゃんに指輪を守って欲しいと依頼してきた事。
小五郎ちゃんは、アルファベットのロミオ、ジュリエット、ビクター、ブラボーから連想して、今夜が楽日のジョゼフィーヌという劇で使うスターサファイアを、キッドが狙うと推理した事…。
うーん…残念ながら小五郎ちゃんの推理はハズレだと思うなぁ…。
快斗がそんな単純すぎるのを"張り切って"作ったとは思えない…。
「優月、予告状は解けたか？」
「それが…もうちょっとなんだよね〜…」
「何か引っ掛かるのか？」
「このアルファベット、どこかで聞いた事があるんだぁ…」
「えっ！？どこで聞いたんだ！？」
「それがね〜、遠い昔の様な気が…」
「遠い昔？ガキの頃か？」
「ガキ…？」
−パパー！−
−ん？何だい？−
−ひこーきの暗号やって！−
−暗号…？あぁ、無線通信か。いいよ−
−わぁーい！−
−コホン…。Sky J、732。Lima10 Romeo20 Alfa10…−
−わぁ！すごいすごーい！じゃあ飛ぶ時は？−
−Sky J 732,cleared for take off.Run way 14L.Take off!!−
−きゃー！パパすごい！−
「あっ！！」
だから快斗、お前なら解けるって言ったんだ！
「わかったのか！？」
「ええ！新一のお陰よ！」
「じゃあお礼に教えろよ！」
「もちろん！…あのアルファベット、聞き覚えがあったと思ったら、昔パパから何度か聞いた事があったの」
「オメーの父さん…？」
「私のパパの職業はパイロット…つまり？」
「そうか！フォネティックコード！」
「正解！あと、このカードは飛行機の便の事を意味しているの」
「飛行機…？」
「これ見て。スペードの2のカードが半分に割れてるでしょ？これは2で割りきれない奇数を示してるの」
「そうか！東京から出発する便は奇数、到着便は偶数…！」
「そう。26の文字が飛び交う中…。つまり、東京発の飛行機内で宝石を狙うって事ね」
「ああ！…でも飛行機って一体…？」
そういえば、ジョゼフィーヌは今日が楽日よね…。
ということは…。
「あっ！わかったわ！何故飛行機なのか！」
「何っ！？」
「キッドは私達を騙そうとしてるのよ」
「どういう事だ！？」
「もう！まだわからないの？今日は宝石を盗らないって事！この暗号、一見劇と関係あるように見えるけど、これは罠。小五郎ちゃんはその罠に思いっきり引っ掛かったのね」
「……」
「ジョゼフィーヌは今日が楽日。恐らく役者達は、打ち上げか何かで飛行機に乗って、何処かへ旅行にいくのよ！」
あれ？
じゃあ新一に変装して飛行機に乗るのかな？
「そうか！なるほどな！オメーはやっぱスゲェな！」
「…少しは新一も頭使いなさいよ！」
「ははは…。悪ぃ悪ぃ」
「ったく…。いくら私が新一より頭良いからって、すぐに頼りすぎよ！そんなんじゃ忽ちボケるわよ？」
「…オメー、俺にそんな事言っていいと思ってんのか？」
ヤ、ヤバイ…！
つい口が…！
「ご…ごめん、つい…」
「つい…何だよ？」
「あ、えっと…つい……本音が…」
「…そうか…。オメーはそんなに俺に犯されてぇのか…」
「あ…いえ…」
極限に近いドSオーラが…！
「備えあれば憂いなし…。灰原から解毒剤貰ってきといて良かったぜ…！」
「……」
持ってきたんかいっ！
「今夜は寝れねぇから、明日はお互い学校休みだな」
もう何で私ったらいつも新一を怒らせちゃうんだろ…。
はぁ〜…。
甘いの食べたいなぁ…。
明日新一が帰ったら蘭達とケーキ食べに行こっと…。
あ、快斗に予告状解けたってメールしとかなきゃ！