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Zauber Karte

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甦る記憶、愛しい貴方


───科学と宇宙の島


私達は、見覚えのある広場みたいな場所まで逃げてきた。
ここは確か…えっと…


「ヤツだ!」
「えっ!?」


チュインッ!


も、もう追ってきたの!?


「ここで終わりにしようじゃないか、コナン君…それにもう、君たちには…逃げ場が無い…」


えっ、何で真ん中まで行くの!?
隠れられないじゃない!


ドシュッ!


「あ!コナン君!?」


コナン君が撃たれたっ!


「だ、大丈夫…腕を掠めただけだから…」
「言ったろ?もう逃げ場が無いって…」
「い、今…ここで優月を殺すと、友成真さんの無実が証明されてしまうんじゃないのか?」


ど、どうしよう…!


「そうなんだよ…友成は、逮捕前に消すつもりだったが仕方がない…」


もう逃げられないっ…!


「さて、やはりここは、レディーファースト…かな?」


そう言って、風戸は私に銃口を向けた。
万事休す…なの?
誰かっ…!!


「10…9…8…7…6…」


諦めかけていたその時、コナンくんが腕時計を見ながらカウントをし始めた。


「フン!何かのおまじないか?」
「5…4…3…2…1」


ザザザザザザッ!!


「うおっ!?」


勢い良く噴き出した水の隙間から銃口が見えた。
その瞬間、頭の中で色々なものが弾けた気がした。


「あっ……!!」


佐藤刑事、懐中電灯、傘にあいた穴、拳銃。
そして、犯人の顔も…!
記憶が、まるで…噴水のように。
次から次へと怒涛のように、流れ込んでくる。


−よし!間に合った!−
−新一ぃ、ここ何?ただの広場だよ?−
−まぁ見てろって!−


そうだ…。
ここは去年、新一が連れてきてくれた場所…。


−3…2…1…−
−わぁーっ!凄い!−


まるで手品師みたいに思えた。
新一のカウントで、噴水が勢いよく噴き出したから。


−ここさ、2時間おきに噴水が出るんだ。お前こーゆーの好きだろ?−
−うん、大好き!でも何でわざわざ…−
−オメーこの前、バイオリンコンテストで優勝しただろ?だから俺からのプレゼントだ!−
−えっ!?何で知ってるの?新一に言うの忘れてたのに…−
−バーロォ、トロフィーが1つ増えてたらすぐにわかるっつーの!俺の観察力、ナメんじゃねーよ!−


新一は、覚えててくれてたんだ…。
あんな素っ気ない返事だったけど、ちゃんと…。


「優月!俺から離れろ!!」


突然新一が、私のリュックから缶を取り出した。


「噴水が止まれば終わりだ!もう諦めるんだな!」


諦める?
バカにしないでよ!
新一は絶対にあんたを捕まえるもん!


「……ん!?」


噴水が徐々に弱まっていくのを見計らったかの様に、コーラが宙を舞った。


「フン!子供騙しか!」


ドシュッ!


「そこか!?」
「っ!!」


バレた…!!


カチッ…


あ!そっか!
キック力増強シューズで…!!


「死ねーーーっ!!」


新一…!


ドカッ!


「ぐおっ!!」


新一が蹴り上げた缶は風戸の顔面にめり込み、思いっきり吹っ飛ばした。
…どうせなら股間狙えば良かったのに。


「ふーーっ……」


当たり前だけど、新一は小さくなっても、やっぱり新一だね…。


「新一…」


ありがとう、守ってくれて…。


「優月…」


ばきっ!


「あっ!!」


し、新一が風戸に押さえつけられた…!!


「くそっ!貴様から片付けてやる!!」


ぷつん、と自分の中の何かが、切れる音がした。


ばきっ!


「よぉ風戸…テメェが佐藤刑事を撃った事、やっと思い出したわ!ついでにアメリカのパートナーから護身用にMMAの技をしごき抜いてもらっていた事もね!」
「MMA…?しごき…?」


素早く風戸の背後に回る。
関節技からお見舞いしてやる!


「おらぁぁぁっ!」


バキバキッ!


「ぐああぁっ!」


グキィッ!


「ぎゃあぁぁっ!」


ボキパキィッ!


「ギ、ギ、ギブギブっ!」


まだ喋れるか…


「じゃあこれは…どうだぁっ!」


連続回し蹴りぃっ!!


バキッ!、グキッ!、ドカッ!


「ぐぁっ…あぶっ…ぶべっ…」


私の新ちゃんを撃った制裁よ!!


「とどめは…オラァッ!!」


走り飛び蹴りっ!!


ドカッ!!


「…………」
「あーあ。もうのびちゃったの?つまんない…」


にしても…MMAマニアのラディッシュから教わっといて良かった!
あ、それより!


「し、新一ぃっ!!」
「優月っー!!」


きゃーっ!
新一が私の胸に飛び込んでくるなんて久しぶりっ!
可愛すぎるーっ!!


「ごめんねっ…!新一にあんな事っ…!」
「オメーは何も悪くねぇよ…!俺が…俺が悪かったんだ…ホントにごめんな…!」


あー新一の匂いだぁ…
ってゆーか新一が可愛く見える…!


「あ、そうそう!」
「ん?どうした?」
「あのね、うちに帰ったらいい物あげるっ!」
「…へ?いい物?」
「うんっ!新一がとーっても喜ぶ物よ!」
「え…?」


うふふっ!
守ってくれたご褒美だよっ!


「優月ちゃんっ!」
「優月ー!」
「あ…!」


毛利一家と園子っ!


「英理ちゃんっ!」
「優月ちゃん…記憶が戻ったの!?」
「えぇ!心配かけてごめんね?」
「お、俺の事は!?」
「父親同然の小五郎ちゃん!」
「…よ、よかったぁー!」


こ、小五郎ちゃんが泣いてるの見るの、初めてかも…


「優月!私達は!?」
「ふふっ!私の一生涯の親友、毛利蘭と鈴木園子っ!」
「うっ…うぐっ…優月ーっ!!」
「わぁっ!」
「優月ーっ!」
「のわぁっ!」
「よかったぁっ…!思い出してくれてっ…」


きゃーっ!
なにこのハーレム!
もう嬉しい!


「もう2人共、大好きっ!」


幸せっ!!


「あ!あのね、コナン君が守ってくれたの!」
「あのガキンチョが?」
「うん!私の恋人よ?」
「あ〜!新一に言っちゃうぞ〜?」
「えへへ……あ!」


新一の顔に傷が…!


「コナン君!」
「え?」
「可愛いお顔に傷がっ…!」
「あぁ、別にこれ位平気…」
「平気じゃないっ!私の可愛いコナン君に…!あの髪の毛鳥の巣野郎め…!ぶっ殺してくる!」
「わーっ!ダメダメ!」
「…嘘よ!もう新ちゃんったら可愛いんだから!」
「オメーなぁ…」
「みんなぁ!佐藤さんの意識が戻ったぞーっ!もう心配無いそうだ!!」
「わーっ!良かったぁ!」
「だな!」


生きててホントに良かった…!


「先に真実を明らかにしたのは、どうやらキミの方だったな…キミは一体…」
「Need not to know…僕はただの小学生だよ!」


コ、コナンくん…。


「新ちゃん…」
「え?」
「可愛すぎて食べちゃいたいっ!!あむあむ…」
「だあぁーっ!食べるな!」


新ちゃん、ありがとう!!


bkm?

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