翌日、コナンくんが朝早くから出かけて行った隙に、みんなでトロピカルランドへ向かった。
「うわぁ…!私、ここ覚えてます…!」
「そりゃあ新一くんとラブラブデートした場所だもんね?」
「あ…。でも誰と来たのかまでは覚えてないんです…。ただ懐かしく感じただけで…」
「そうなの?はぁ…やっぱ愛の力でもダメか…」
「あはは…」
記憶を戻すのに愛の力とかって関係あるのかな…。
「あ、そういえば新一、言ってたよ!」
「え?何をですか?」
「うんとね、『優月がアトラクションの仕掛けを現実に起こってる物だと勘違いしたんだぜー!可愛いヤツだよな!』って!」
「ええっ!?」
私ってそんなバカだったの…!?
「じゃあ私達も乗ってみよう!もっと何か思い出すかもしれないじゃない!」
そう言って連れて行かれた先は…。
「優月達は前だ」
「あ、はい…」
ジェットコースターかぁ…。
何だか懐かしいようなそうでも無いような…。
−なぁ優月、ホームズがさ…−
「…えっ?」
−モリアーティ教授にこう言い放ったのは覚えてるか?−
新一さん…?
「優月?」
「…あっ、ご、ごめんなさい!何でも、ないです…」
何だろう、今の…。
園子さんが、新一さんに見えた…。
「はぁはぁはぁ…」
「あのー…大丈夫ですか?」
小五郎さん、絶叫系嫌いなのかな…。
「優月、コーラ飲む?」
「あ、はい!」
「ったくぅ…誰だ!あんなモン作りやがったの…」
「あ…」
昨日、テレビで見たのと同じお城だ…。
確か私が持ってた写真の背景にも、あのお城が…。
ピトッ
「ひゃっ!」
−やっぱ蒸し暑い日は炭酸だよな!−
「えっ…?」
い、今のって…。
「はいよ!コーラ!」
ああ、何だ。
園子さんか…。
「ありがとう…」
何だか飲む気が無くなってしまった私は、コーラをリュックにしまった。
今見えたのって、コナンくん…?
でも眼鏡かけてなかったし…。
じゃあ、小さい頃の…新一さん…?
ズキッ
「っ、痛…!」
また頭がっ…!
−やっぱ…予感……−
なに…?
−やっぱり予感的中…!−
予感…?
−か……が犯人……!−
犯人…!?
だ、誰なの!?
−か…と…犯人…た!−
聞こえないよ!
−…ざ…が犯人…だった…!−
あともう少し…!
お願い…!
聞き取って!!
−風戸が犯人だった…!−
か、風戸…先生が…!?
−し、新一に…伝えなきゃ…!−
頭の中で私が呼び掛けてくる。
その声に従わないといけない気持ちに駆られ、急いでケータイを取り出し、コナンくんに電話をかけた。
プルルルルル
プルルルルル
「もしもし優月姉ちゃん?」
「コ、コナンくん…!し、新一…さんに…っ!」
「えっ!?何か思い出したの!?」
「は、犯人がっ…。あの…えっと…頭に…私が…っ」
ふ、震えてうまく話せない…!
「落ち着いて優月姉ちゃん!犯人は!?誰なの!?」
「は、犯人は……か、風戸先生…」
「何っ!?あいつが…!?」
「あ、あのね…」
「えっ!?」
トロピカルランドにいる事を伝えようか迷っていると、小五郎さんがいない事に気づいた。
「あ…ま、またかけるね…」
ピッ
「優月、電話終わった?」
「あ、はい…。あの…小五郎さんは?」
「あ、聞いて優月っ!お父さんが今犯人を捕まえてくれたの!」
「えっ!?」
「ホント良かったね!これで安心して遊べるわ!」
風戸先生、やっぱり私を殺しにここへ…!
でも、もう捕まったんなら良かった…。
もう大丈夫だよね!
「ねぇねぇ優月!蘭!悪魔の実験室行こ!楽しいぞぉー!!」
私達は、犯人が捕まった安堵から心置きなくトロピカルランドを満喫した。