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Zauber Karte

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再入院


翌日、私は英理さんに銀座へ買い物に行こうと誘われた。
小五郎さんと英理さんは仲が良くないみたい…。


「あ、電車来たわよ」
「コナン君、来…」


ドンッ!


「きゃっ!?」


背中に衝撃が走ったとほぼ同時に、私の体は線路へ放り出された。


「痛っ…」
「優月っ!!」


コナンくんの声が、ホームに響いた。
それと同時に、自分の体が強い力で引っ張られる。


「あ…コナン、くん…」
「はぁ、はぁ、はぁ…」


コナンくんが、私を助けてくれた…?


「優月ちゃん!コナンくん!」
「あ…」


そうだ…。
私、今…誰かに…背中を…!!


「や…」
「優月ちゃん?」
「いや…いやぁーーー!!」


確実に、自分の命が狙われている。
その事実を身をもって知った私はパニックを起こし、いつの間にか到着していた救急車に乗せられ、病院に戻された。
そして強制的に注射を打たれ、次に目を開けると、白い天井が見えた。


「優月?」
「目、覚めた?」
「蘭さん…園子さん…」
「気分はどう…?」
「…大丈夫です」


病室で少し話した後、3人で病院内にある談話室に行った。


「でも、ホント怪我がなくてよかった!」
「ありがとうございます…」
「先生ももう退院してもいいって!」
「あ…蘭さん、園子さん?」
「もう…親友なんだから呼び捨てでいいのよ?」
「あ、はい…。あの、コナン君って、どういう子ですか…?」
「「え?」」
「いえ…。私の事、命懸けで助けてくれたから、気になって…」


ただの小学生には見えないもん…


「うーん、そうねぇ…子供なのに結構勘がいいし、機転が利くし…不思議な子かな?でも私に言わせればただの生意気なガキンチョよ!」
「あはは…。私はコナン君って何となくアイツに似てるなぁ、って思う時があるよ?」
「アイツ?」
「新一よ新一!まぁアイツとコナン君は親戚だから似てても不思議じゃないんだけどね…。コナン君見てるとさ、昔のアイツ思い出しちゃってつい苛めたくなっちゃうんだー」
「まったくあんた達、顔を合わせればいつも口喧嘩だもんね?」
「あれはアイツが突っ掛かってくるからよ!」
「昔の、新一さん…」


うん、やっぱり顔は似てるかも…。
でもあたし、何か大事な事忘れてるような…。
私は何となくテレビに目を向けた。


「あっ!?」
「…えっ?」


あのお城…!


−今年のトロピカルランドは、新たに野生と太古の島が加わり、今まで以上に訪れるお客さんを楽しませてくれること間違いありません!−


「私、あそこ知ってます!」
「トロピカルランド…?あっ!そうよ!優月、高1の時に新一と2人で行ったのよ!!」
「…えっ!?」


───心療科・診察室


「なるほど…。優月さんの記憶はかなり戻りかけていますね」
「ほんとですか!?」
「先生!実際にトロピカルランドに行けば記憶が戻るんじゃないっすか!?」
「うーん…。確かにその可能性はありますが…」
「…私、明日行ってみます!」
「…え?」
「待って!!私は反対!また犯人に狙われるかもしれないし、事件の事を思い出せばあなたが苦しむ事になるわ!」
「いえ…。それは無いと思います」
「えっ!?」
「記憶の中の自分が、私に思い出して!って言っている様な気がするんです…。多分、探偵としての自分が…。探偵だから、犯人を捕まえたいっていう信念みたいなものがあるのかなと…」
「優月ちゃん…」


それに、新一さんの事も…。


「優月さんは凄いですね…。その気があれば行っても大丈夫でしょう」
「それじゃ、せめて明後日にしない?明日はどうしても抜けられない用事が…」
「心配するな!俺がついて行く!俺が命を懸けても優月を守る!」
「あなた…」
「優月!私も行くわ!」
「私も行く!」


みんな…。


「ありがとう…。あ、でもコナンくんには内緒にしてもらえませんか?」
「…え?どうして?」
「コナンくんに言ったら、絶対ついてくるし…。もう、危険な目に遭わせたくないんです…」


今日だってそう。
下手すればコナンくんが死んでいたかもしれない。
記憶の中の私は、きっとコナンくんに無茶して欲しくないんだと思う…。
これは私の事件だから…って、そう言っているような…。
そんな気がする…。
明日、何がなんでも記憶を取り戻して、自分が犯人を追い詰める。
そう思っているはずだ。


bkm?

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