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Zauber Karte

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運命の相手


私は探偵事務所で一夜を明かした。
でも未だ、私の記憶は戻らない…。
私はどうすればいいんだろう…。
このまま記憶が戻らなかったら、私はどうすれば…。


「ボディーガード?私の?」
「高木刑事から、犯人に狙われてるかもしれないって聞いてよ!」
「私達、少年探偵団で優月お姉さんを守ることに決めたの!名付けて…」
「優月姉ちゃんを守り隊ーっ!」
「おいおい…」
「俺、唐辛子入り水鉄砲持ってきた!」
「僕はブーメランです!」
「私は手錠よ!」


ふふっ!
可愛いなぁー…。


「お前らなぁ、そんな子供騙しのオモチャで…」
「ありがとうみんな。とっても心強いよ!」
「えへへ…」
「あ、何かおやつ食べるかな?上においで!」
「「「はーいっ!」」」


私と蘭さんで、子供達におやつを出していると、園子さんがアルバムを持って来てくれた。


「ほら、これがバイオリンコンクールで優勝した時の写真よ。覚えてない?」
「私ってバイオリンが弾けるんですか…?」
「まぁね!あんたは『ただの趣味だ』って言ってたけど、結構色んな賞貰ったりしてるのよ?」
「へぇ…」


あ、そういえばバイオリンケースが自宅にあったような…。


「あ、新一と写ってる写真ならここにいっぱいあるよ!」


そう言って蘭さんが見せてくれた写真には、楽しそうに笑ってる蘭さんと園子さん。
そして…新一さんと私。


「ふふっ…」
「何か思い出したの?」
「あ、いえ…。何だか、心が暖かくなった気がして…」
「ああ、だってあんたの将来の旦那だもん!」
「え?もう決まってるんですか?」
「そうよ!新一ったら小2で優月にプロポーズしたんだからー!」
「ええっ!?そんなっ、嘘でしょ!?」
「ホントよー!」


やだ、そんな昔から!?


「…でも」
「えっ?」
「私、この人になら、自分の人生捧げてもいいなって…思います…」
「「……」」


新一さんは、同じように思ってくれているかな…。


「なんか…照れるわね…」
「うん…」
「ねぇ、新一さんに会えば思い出すんじゃない?」
「そうだよ、連れて来いよ!」
「それが出来れば苦労しないの!!」


確か、事件の捜査が…って言ってたし…。
高木刑事や周りの話では有名な探偵らしいから、きっと忙しい人なんだな…。


「そういえば、優月さんと同じ高校生探偵で、全国の難事件を解決してるんでしたね」
「えっ?私が探偵…ですか?」
「そうよ!アメリカでは優月の右に出る者はいないってラディッシュ警部が言ってたもん!」


ラディッシュ…。
思い出せないけど、何だかとても懐かしい響きに感じた。
それと同時に胃のあたりがムカムカと…。


「夫婦揃って探偵なのよあんた達は!…ったくアイツ、優月が大変だってのに一体どこほっつき歩いてるんだ!?」
「あ…昨日、電話しましたよ?」
「えっ!?そうなの?」
「うん…。昨日、優月がちょっと思い出した事があって…」
「ちょっと待って!何であいつ来ないのよ!?」
「何か事件の捜査で忙しいみたいです…」
「あの男…!今度会ったら蘭とギッタンギッタンにしてやろう!」
「もちろんよ園子!」


な、何か新一さんって色々大変なんだなぁ…。
その後みんなとバイバイしてから部屋に戻り、自宅から持ってきた写真を眺めていた。
新一さんと私が、抱き合いながら微笑んでる写真。
とっても、幸せそう…。


コンコン


「あ、コナンくん…」
「優月姉ちゃん、ご飯の…」


何となく感じてたけど、やっぱりコナンくんって、本当に昔の新一さんに似てる…。


「ねぇコナンくん…」
「え?」
「新一さんは、私に…自分の人生、捧げてもいいって…思ってくれてるかな…」


…バカみたい。
何で私ったら、コナンくんに聞いてるんだろう。


「うん、思ってるよ。きっと…」


コナン、くん…。


「…私の記憶が、一生戻らないとしたら?」
「戻らなかったら、また2人で色々な思い出を作っていけばいい…って思ってると思うよ」


また、2人で…。


「…そっか。会いたいな…」
「えっ…?」
「工藤新一さんに、会ってみたいな…」
「……」


今、どこにいるんだろう…。
何で、会いに来てくれないの…?
会いたいよ。
新一さんに…。


「あのさ、優月…」
「え…?」
「実は…俺…」
「…コナンくん?」
「ほ、本当は…!」
「ちょっとコナンくん!?」
「えっ!?」
「あ、蘭さん…」
「夕飯出来たから優月呼んできてって頼んだのに!コナンくん遅いから私が呼びに来ちゃったよ!」
「あ、ご…ごめんなさい…」
「ら、蘭さんごめんなさい!私がコナンくんに新一さんの事色々聞いちゃってたの…」
「あ、そうだったの…?」
「はい…。あの、だからコナンくんを怒らないであげて下さい!」
「…ふふっ、分かったわ!じゃあ夕飯食べよ?」
「はいっ!あ、そういえばコナンくん、さっき何を言おうとしてたの?」
「えっ!?あ、いや…何でもないよ…」
「そぉ?」


実は俺、本当は…何だったのかな?


bkm?

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