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Zauber Karte

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言われたくないコトバ


私は、米花サンプラザホテルで行われる、白鳥警部の妹さんの結婚を祝う会に出席するため、蘭、園子、新一、小五郎ちゃんとホテルで待ち合わせた。


「優月すっごく可愛い〜!」
「ひゃー…。あんたがこういうパーティードレス着るとフランス人形みたいねぇ…」
「おおっ!さすが美男美女の花宮夫妻の娘だけあるなぁ…」
「……」
「ありがとうみんな!」


パパとママって、娘の私から見てもかなりレベルが高い美男美女夫婦だったんだよね…。
…生きてたら、どんな夫婦だったのかな。


「…優月姉ちゃん?」
「えっ!?」
「優月どうしたの?ボーッとして…」
「あ、ちょっとね…」


パパとママは、私が新一と結婚するって言ったらどんな反応するんだろう…。
ま、もういないから聞けないんだけど。


「しかしなんだなぁ…。白鳥の妹も間が悪いというか…。何もこんな時に結婚披露パーティーしなくたって…」


それは仕方ないよ。
日にちの関係もあるだろうし、友人主催なんだから…。
でも、友達がこーゆー企画してくれるなんていいなぁ…。


「ねぇねぇ、新郎の晴月さんてどんな人?」
「画家だって言ってたわ」
「頭に"売れない"がつくな…」


へぇ…。
でも奥さんが養えばいいわけだしね!
色んな形の夫婦がいて当然!


「売れない画家かぁ…。こりゃ友人関係の男はあまり期待できないな〜」
「園子ったら…」


相変わらず彼氏探してるのね…。
園子、可愛いんだから色んな人寄ってくると思うんだけどな…。


「あんたはいーわよねぇ、新一くんがいるんだからさ…」
「あはは…」
「あ、そういえば優月、最近新一に会った?」
「えっ!?えーっと…」


実は、私の隣にいる江戸川コナン君が、あの工藤新一でーす。
解毒剤飲んでないから、"工藤新一"には会ってないでーす。


「あ〜…最近会ってない…かな?」


なーんて言えるはずもなく…。


「ったく、優月放って事件事件って…。帰ってきたら半殺しじゃ済まさないんだからっ!」
「…蘭は優月の事になるとすぐ頭に血が昇るわよね」
「当たり前よ!私の優月にツラい思いさせてるんだから!」
「あ、あははは…」


コナンくん、顔青くなってるよ…。


「相変わらず、ぶっきらぼうな字ね」
「…え?」
「お母さん!?」
「お前も呼ばれたのか…」
「ええ…。沙羅さんは弁護士の卵だから、その関係でね」
「英理ちゃーんっ!」
「あら優月ちゃん、久しぶりね。相変わらずの熱いハグありがとう」
「えへへ!英理ちゃんったらいつ見てもキレイ!」
「あら、そういう優月ちゃんも以前より一段とキレイになってるわよ?」
「またまたぁー!」
「新一くんとは相変わらず仲良くて?」
「あ〜…最近ちょっと…」


狼になりきれずに目が血走ってますのよー…。
このドS、法廷で裁けないかしら……って、あれ?


「あの傘…」
「ああ…オメーも気になるか?」
「うん…。何で」
「優月ー!がきんちょー!早く来ないと置いてくわよ!」
「あ、はーい!」


ま、いいか!
園子の掛け声で急ぎ足で会場内に入ると…。


「すごーい!沢山来てる!」


うわぁ、すごい人…。


「おっ!警部殿も来ているぞ」


あ、そっか。
そりゃあ警察関係者も来るよね。
一応目暮警部に挨拶しといた方がいい、かな…?
まぁでも、後でいっか。
今お話し中みたいだし…。


「警察関係者は一目でわかるわね。目付きが悪いし、重苦しい雰囲気だわ…」
「確かに…」
「例の事件の捜査で、パーティー所じゃないんだろう」


ああ、あれね。
警察ばかりを狙ってるっていう事件…。
新一が何度も何度も言ってたから詳細覚えちゃったよ。


「でも、佐藤刑事はいつも明るいわ…!」


佐藤刑事と高木刑事って付き合ってる…のかな?
いつも一緒にいるし。
いいなぁ、職場恋愛!


−皆様お待たせしました。新郎新婦のご入場です。どうぞ、盛大な拍手でお迎えください−


わぁ…!
新婦さんキレイ!
結婚かぁ…いいなぁ。
私も早く結婚したい…。


「ねぇ新一…」
「ぁん?」
「私達は何歳になったら結婚しよっか?」
「…そんなの知らねーよ。当分先なんじゃねーの?」


ムカッ。
まーた可愛くない事言ってる…。


「あーあ。早くウェディングドレス着たいのになぁ〜。やっぱり女の憧れよね!あ、ねぇねぇ。式場はどんな場所がいい?」
「…」
「今って海外とかでやるのも流行ってるんでしょ?いいよね〜ハワイとかサイパンとか!…あ、そういえば新一ってさ、式場ではどんな演出したい?私はやっぱり風船を飛ばすのがいいなぁ。あ、でも在り来たりかな?う〜ん…今度雑誌買って見てみようか?…なーんて、まださすがに早いよね!あははは、は…」
「……」
「ねぇ!さっきから黙ってるけどちゃんと聞いてるの!?」
「だぁーーくそっ!さっきからうっせぇなー!俺はテメーとの結婚なんか考えてねーんだよ!ちったぁ黙ってろ!!」
「…え?」


新一から発せられた意外な言葉に思考が止まった。
…今、この人…何て、言ったの?


「…な、何よそれ…」
「あ、わ、悪ぃ優月…」
「私と結婚したいって言ったのは嘘だったの…?ひどい!じゃあ今まで私と一緒にいたのは何だったの!?」
「あ、えっと、違うんだ今のは」
「言い訳なんか聞きたくない!新一がそんな事思ってたなんて…!子供の頃の約束を律儀に守ってたのは私だけだったって事じゃん!」
「だから最後まで」
「もういい!近頃私に対して冷たい態度をとると思ってたらそういう事だったんだ!?ホントは私と一緒にいるのが苦痛だったって事でしょ!?さっきのが新一の本心なんでしょ!?」
「…ああそーだよ!誰がテメェなんかと結婚なんかしてやるか!!っざけんじゃねーよ!俺はな、テメーみたいな女が1番大っ嫌いなんだよ!」
「え…」


今…大嫌いって、言った…。
何で…?
どうして、そんな事言うの…?
言わないって…。
喧嘩しても、絶対に言わないって…。
約束したじゃない!


「…っ!!」


居たたまれなくなって、会場の外に飛び出した。


「うぐっ…ひっ、く…」


とりあえず息をしようと思っても、うまく呼吸ができない。
胸が、ズキンズキンして、痛い。
もう、立っていられない。


「な…んで…」


足に力が入らなくて、ガクッと地面に崩れ落ちた。


「ひどいよぉ…!」


止まらない涙を抑えようと、一生懸命顔を覆ってみたけど、止めどなく溢れてくる。
…どうしてなの?
いつからこうなっちゃったの?
何で…どうしてこんな結末になるの?
そんな疑問が、ただひたすら頭の中で、グルグルと渦巻いていた。


bkm?

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