「全く…博士もずっと私に隠してたなんてひどいよぉ!」
「す、すまんのぉ…」
「怪しいと思ったのよ!新一の事聞くといつもキョドっててさ」
「おいおい博士…隠す気あったのかよ…」
「ははは…」
私をたっぷり虐めてご満悦なドS新一様は、タイムリミットが来て昔の可愛い姿に戻った。
…人間が縮むとこ、初めて見たけどあれは衝撃的だわ…。
色んな意味で。
だってあらゆる所が縮んでいくんだよ!?
まぁでも、中学生くらいの新一が一瞬見れたから得した気分かも。
新一曰く、骨が溶けるような痛みって言ってたけど、骨が溶けた事ないからイマイチわからない。
「ねぇ、博士?」
「な、何じゃね?」
「1つお願いがあるんだけど…」
「えっ!?」
「私にも変声機作ってー!」
「えぇっ!?」
「あと、あのターボエンジン付きスケボーも!」
「お、おい優月!」
「だってあれ便利そうなんだもん!ね?いいでしょ?」
新一の蝶ネクタイ型変声機とスケボー弄ってたら欲しくなっちゃったんだもん!
「あ、ああ…優月君の頼みなら仕方ないのぉ…」
「やったぁー!博士大好きっ!」
「…おい優月、あんまり博士困らすんじゃ」
「あら、何か言ったかしら?」
「……いや」
ふんっ!
みんなで私を騙した罰よ!
「……それで?」
「え?」
哀ちゃんが喋った!
「…あなたはどうするの?」
「何が?」
「…愛する工藤くんをこんな目に合わせた、ジンやウォッカを追うの?」
「…」
しかし、コードネームをカクテルで合わせるなんてなかなか洒落てるよね…。
博士が組織に入ったら…あ、『いいちこ』とか似合いそう。
「…私は遠慮しとくわ」
「えっ!?何でだよ!?」
「これは新一の事件であって、私の事件じゃないわ」
「優月…」
「…私は黒の組織には近づくつもりは無いし、調べるつもりも無い…。新一だって、本当は私に口出しされるのは望んでないでしょ?」
色々突っ込むの大好きな新一がやればいい話よ!
「フッ…。なるほどね」
「へ?」
「…工藤くんが、何故あなたに夢中なのか分かる気がするわ」
哀ちゃん…可愛いっ!
「フフッ!ありがとう!」
本当は一緒に助けてあげたいんだけどね…。
私は無事を祈る位しか…。
♪〜
あ、ラディッシュからだ…。
「はいはぁい?」
「あ、優月か?」
「何かわかったの?」
「いや…実はな、これと言った事は分からなくてな…。何せ謎に包まれている組織だからなぁ…」
「…やっぱり」
そう簡単には分からないよねぇ…。
残念…。
「しかしな、1つ分かった事があるんだ!」
「え!何!?」
私はラディッシュから話を聞いた。
「…というわけだ」
「分かったわ。じゃあよろしく」
「すぐに送る」
ピッ
こういう時のラディッシュって、結構仕事が早いのよね…。
「ラディッシュ警部か?」
「ええ。…あ、早いわね」
私はメールを開いた。
「こ、これは…!?」
NYで会った人…!
「優月?」
「…哀ちゃん」
「何?」
「…この人、知ってる?」
私は哀ちゃんにケータイを見せた。
「っ!!シュウ…!」
「…やっぱりね」
「おい!どうしたんだよ!?」
「…さっき新一から話を聞いた後、急いでラディッシュに黒の組織について調べて貰っていたの」
「え!?」
「あの人こーゆーの調べるの得意だからね〜。意外と仕事が早くてビックリしたわ。でも結局、謎に包まれてるだけあって正体はわからなかった」
「……」
「…でも、1つだけ分かった事があってね」
「な、何だよその分かった事って!?」
…新一、焦りすぎ。
さっきまでの新一とは大違いね…。
「大した事じゃないわ。FBIの人間が、組織にスパイとして入ってたっていう情報よ」
「ス、スパイ!?」
「…赤井秀一」
「あ、赤井…秀一…!?」
「…宮野明美さんの元恋人よ」
「何っ!?」
新一にケータイの画面を見せた。
「宮野…明美の…!?」
「…その様子だと知ってるみたいね?哀ちゃんの姉という事も…彼女がもう、この世にいない事も…」
「…ああ」
「ま、私が出来る事はここまでね。後は自分の力で追い詰めるのね。平成のシャーロックホームズさん?」
「優月…」
「本当はね、私も一緒に追い詰めてあげたいの。でもそれじゃ新一の…いえ、探偵としてのプライドが許さないじゃない?」
「…優月ー!」
「わぁっ!」
「オメーはやっぱ俺が選んだ相手なだけあるぜ!」
「はいはい…」
ホント、調子いいんだから…。
「でも、死なない程度に頑張ってね?新一なら、絶対に解決出来るよ…。私はそう思う…」
「優月…」
「新一…」
小さい新一とチューするのって、昔を思い出せるから結構好きかも…。
「…どうでもいいけど」
「「…へ?」」
「…私達がいる事忘れてないでしょうね?平成のバカップルホームズのお2人さん?」
あ、忘れてた…。
「ご、ごめん哀ちゃん…」
「は、博士も悪ぃな…」
「ワ、ワシはもう慣れとるから平気じゃが…」
「あら、研究に没頭して周りが見えなくなる博士が見慣れてるほど、この2人は所構わず人目を気にせずにイチャついてるのね?」
「「ス、スミマセン…」」
哀ちゃんって、結構グサリと言い当てるんだね…。
「…でもホント!新一が可愛くなっちゃって嬉しいなぁ〜」
「か、可愛いとか言うなよっ!」
「ん〜この姿を思う存分堪能できるなんて幸せ〜!」
頬っぺた…美味しそう…。
「わっ!ちょ、食べるな!」
「あむあむ…」
ん〜新ちゃん美味しいっ!