「いただきまーす…」
1人での寂しい夕食にもやっと慣れ始めた。
でもやっぱり、1人は嫌い。
NYでは毎日が目まぐるしかったし、ラディッシュもいたから寂しくなかった。
でも今は、静寂が怖い。
だから、無意味にテレビをつけっぱなしにしたり、音楽を常に流してないと落ち着かなくて…。
今夜も、枕を濡らしながら1人で眠りにつく。
愛しい人の夢を見たいと、願いながら…。
「…ぅ、ん」
……あれ?
新一の匂いがする…。
私が落ち着く、大好きな匂いが…。
ああ、今日の私は、すごくラッキーだ。
こんな幸せな夢を見れるなんて…。
やっと、会えたね…。
「…はよ。優月」
自分の頬に何かが当たる感触。
…………え?
「し、新一!?」
「見りゃわかんだろ?…約束通り、帰ってきたぜ」
目を開くとそこには、久しぶりに見る恋人の姿があった。
し、新一が…。
やっと…やっと!
「し、新一ぃ〜!」
「お、朝から随分積極的だな!」
「何よっ!帰ってくるなら連絡ぐらいしてよ!今までどこにいたのよ!?」
新一がいる!
ここにいる…!
やっと会えたっ…。
「…悪ぃな。少し、時間出来たから寄ったんだ…」
「……また、行っちゃうの?」
「…ああ。ごめんな…」
また、私は置いてけぼり…。
いつも私だけ、待ってる立場。
何で私に…居場所を言ってくれないの?
「…新一は…狡いよ…」
「……」
「私だけ…いつもっ…狡いよぉ…!」
「…ごめんな…ツラい思いさせちまって…」
ダメだよ…。
新一を困らせたらダメ…。
「……新一?」
「ん?」
「……愛して」
「…え?」
「…いっぱい、愛して?」
「…ああ。会えなかった分、嫌と言う程に愛してやるよ」
久しぶりに感じた新一の体温は、私が心の底から求めてた温もりだった。
力一杯、新一の身体にしがみついて…。
その愛しい温もりを、肌で目一杯感じ取った。
「…っ…新、一…?」
「はぁっ…ぁん?」
「…ねぇ」
聞かせてよ。
「……ん?」
「…何で…言わ…ないの?」
「…え?」
新一が…
「私って…何?」
「…優月?」
「新一の…何、なの?」
「は?何って…婚約者だろ?」
言わなかった…
「じゃあ何で黙ってるのよ!?」
「…優月?」
理由を。
「何で…?何でコナンの時に"工藤新一は俺だ"って言ってくれなかったの!?」
「っ!!……な、何言ってんだよ?俺がコナンなワケ」
「私を甘く見ないで!」
「……」
「私は…新一にとって、何?そんなに頼りない?何で…?ずっとずっと打ち明けてくれるの、待ってたのに…!!」
「優月…」
何でっ…。
私に黙ってたのよ…?
「ふぇっ…うぇっ…」
「…ごめんな」
気付くに決まってるじゃない…!
「…ふっ…ひっく…」
「ほんとに…ごめんなっ…!」
私達…
「…うっ…うわぁ…っ…!」
お互いが、お互いの一部、なんでしょ?
苦しみも、悲しみも、全部共有するべき存在でしょう…?