あの美意識押し売りクソジジィの事件も、脳内で色褪せつつある今日この頃。
久しぶりに堤向津川にやってきました!
「やっぱ快晴は最高ね〜!」
さて、バイオリン弾こうかな…。
♪〜♪〜♪♪〜♪〜
〜♪♪♪〜♪♪〜
♪〜♪♪〜♪♪〜……
「はぁ…」
うん、調子いい感じ!
「お姉さんすごぉい!」
「えっ?」
振り替えると、小学生ぐらいの男の子2人と女の子1人が無邪気な笑顔を浮かべて駆け寄ってきた。
「お姉さんすごいね!バイオリンとっても上手!」
「すごく心に響いてきました!」
「あら!どうもありがとう!」
わぁ〜!何この子達!
可愛い!
「あ、コナンくん!」
「こんにちは、優月姉ちゃん!」
「もう頭の怪我は大丈夫?」
「あ、うん…」
この子達、コナンくんのクラスメイト…かな?
コナン君の隣にもキレイな女の子がいる…。
「私達、帝丹小1年なの!」
「本当?私も帝丹小に通ってたのよ!」
「お姉さんもなんだ?」
「ええ。2年生でアメリカに引っ越したんだけど、去年戻ってきたの!」
私は右手を女の子に差し出した。
「私は花宮優月!帝丹高校2年生よ」
「あ、私は吉田歩美!」
「円谷光彦です!」
「俺は小嶋元太!」
「………灰原哀よ」
みんな可愛いなぁ〜!
哀ちゃんって子、随分大人びてるけど、そこもまた新鮮でいい!
クールビューティーって感じ!
「ねぇねぇ優月お姉さん!」
「うん?」
「優月お姉さんって、蘭お姉さんの幼なじみで、新一お兄さんの婚約者さんなんだよね?」
「えっ?何で知ってるの?」
「以前からずっと、コナンくんから聞いていました!」
コナンくんから…?
「…ええ!私が新一の運命の相手よ!」
なーんて、偉そうに言ってみるけど運命の相手かどうかなんて、本当にあるのかどうか私には分からない。
多分、一緒に長い時間を過ごして初めて分かるものだと思う。
「きゃー素敵ぃ!あ、でも…」
「うん?」
「……新一お兄さん、今行方不明なんでしょ?優月お姉さん、可哀想…」
「……」
行方不明、か…。
「…ううん。違うよ」
「え?」
だって、新一は…。
「新一は…ずっと私の傍にいるよ?ずっと"ここ"に…」
私は指輪を歩美ちゃんに見せながら言った。
「…優月お姉さん、素敵な女性ね!」
「え?」
「全くです!こんな素晴らしい女性を放っておくなんて、新一お兄さんもいけない男ですね!」
光彦くんって、敬語使うんだ…。
小学生にしては珍しいなぁ…。
「ふふっ!ありがとう!」
「…ねぇ優月姉ちゃん?」
「なぁに?コナンくん」
「今弾いてた曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、第5番「皇帝」でしょ?」
「あら、よく知ってるわね!この曲、私のお気に入りなの!」
「…さすがね」
「え…?」
哀ちゃんって、微笑むと益々キレイ…。
「この歳でストラドを自分のモノにするなんて…。さすが、代々音楽家の血を引き継いでるだけあるわ…」
「えっ…?」
「は、灰原っ…」
何で知ってるんだろ…。
うーん、苗字でわかるのかな?
パパはママの家に婿入りしたわけだし…。
「…お誉めに預かり光栄だわ。でも、自分のモノだなんて…私はまだまだよ?」
上には上がいっぱいいるんだし。
「あ、そういえばみんなは何でここにいるの?」
「僕達、たった今事件を解決してきたんです!」
「じ、事件?」
「そう!今回もコナンくんがいっぱい活躍したんだよ!」
「コナンくんが…?」
「えっ!?あ、アハハ…」
「へぇ〜!さすがコナン君ね!」
「あ、ありがと…」
「僕達、少年探偵団なんです!」
「少年…探偵団?」
今って、そんな遊びが流行ってるのかな?
「優月さんも仲間に入りませんか?」
「えっ?私も?」
「コナンくんから聞いてます!優月さんってアメリカではもちろん、数々の難事件をあっさりと解決できる、女版シャーロック・ホームズなんですよね?」
「あ〜…。まぁ、そんな風に言われてるかも…」
参ったなー…。
「どうだ!?仲間に入れてやるぜ?」
「ねぇ!仲間になろう?」
「みんな可愛いなぁ〜!…でも、ごめんなさいね。私は遠慮するわ…」
「えー!?何で何で!?」
だって…
「私ね、今大事な事件抱えててね、大変なんだ…」
「えっ!?どんな事件なの!?優月姉ちゃん!」
コナンくん…。
「…ふふっ、それはね…」
「私と同じ高校生探偵、工藤新一っていう、突っ走り推理マニアが帰って来ないっていう事件よ」
「えっ…」
「折角のお誘い、断ってごめんね?少年探偵団のみんな…」
「…ううん。新一お兄さん、早く見つかるといいね!」
見つかる…か。
「うん、ありがとう!見付かったら仲間に入れてくれるかな?」
「「「もちろん!」」」
探偵団、かぁ…。
私も引っ越す前、よく新一に探偵ごっこ付き合わされたっけ。
「じゃあ私はそろそろ帰るわ。またね?少年探偵団のみんな!」
「「「ばいばーい!」」」
ねぇ新一…。
いつになったら、今いる場所、教えてくれるの?