smaragd | ナノ

Zauber Karte

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一緒なら怖くない


私は2人と夕飯を食べ終え、待ち合わせの映画館へ向かった。


「あっぶなーい…1分前。ギリギリ…」


どんなに急いでもいつも時間ギリギリなんだよねぇ…。
待ち合わせってこれだからイヤなんだ。


ピリリリリリリリ


「もしもしコナン君?」
「優月姉ちゃん!今すぐそこから出て!!」
「え?何言って…」


ドオオォォォン!!!


「きゃっ!!」


とてつもない風が、突然私の体を包みこんだ。
あ、携帯が…どっかに飛んじゃった!
今の何!?
爆発!?
ど、どうしよう…!


「あっ!」


新一…。
新一は!?
爆発に巻き込まれたりとかないよね!?
と、とりあえず携帯探さないと…!


「あったー!」


…うん、壊れてないみたいね。


♪〜


「もしもし新一!?」
「優月!大丈夫か!?」
「私は大丈夫!新一は!?」
「俺も大丈夫だ。今…瓦礫で塞がれた非常ドアの前まで来てるんだ…」
「えっ!?」


あ、あそこに…!?


「ここまでは何とかっ……瓦礫の隙間を抜けて来られたけど、っ…。爆発のショックで…ドアが、変形したらしくてな…。どうしても開ける事が出来ねぇんだ…」


新一の息が切れてる…。
走って、来てくれたんだ…。
でも折角そこにいるのに…。


「ところで優月、ロビーの中に変なものないか?」
「変なもの?」


えーっと…。
あ、あの紙袋…。
こ、これは!?


「しししし新一!!」
「どうした!?」
「Bomb!Bomb!」
「日本語で言うなよ!?周りがパニックになるからな!」


ば、爆弾じゃないですかこれは!!


「わ、わかった…」
「時間は!?」
「…えっと、42分7秒!」
「そうか…」


っ、まさか!


「ねぇ!これ仕掛けた犯人って…まさか…」
「ああ。森谷帝二だ」
「…あの美意識野郎!」


ああーもう!
私とした事が!!
何で気付かなかったのよ!
こーゆー所が抜けてるなんて自分で自分がムカつくっ!!
……あ、そっか!


「動機がわかったわ!」
「お、さすがだな!で?何だと思う?」


この人、随分暢気ね…。


「…シンメトリーじゃないから…でしょ?」
「ああ。全く…人騒がせにも程があるぜあのジジィ」
「さすが新一!毒舌は相変わらずね!」
「ハハハ…」


…となると、これを解体するのは私か。


「…ねぇ新一?」
「ん?」
「私が解体する!」
「は!?オメーわかんのか!?」
「設計図とか新一持ってるんでしょ?」
「ああ…」
「じゃあ大丈夫!アメリカで死ぬほど解体したから」
「…オメーどんな探偵生活してたんだ?」
「え?探偵ってこーゆーの普通じゃないの?」
「普通ではねぇな…」


そうなんだ…。
アメリカはダイナミックな犯罪が多かったから小さな強盗事件から爆弾は当たり前だったし何なら化学薬品撒き散らすクレイジーな犯人もいたけど、さすがに日本はこういうの日常茶飯事じゃないのね。


「オメー、ハサミ持ってるのか?」
「ハサミは無いけどバタフライナイフならあるよ!」
「な、何でそんな物騒なモン持ってんだよ?」
「え?だってアメリカでは普通だよ?他にもスタンガンも持ってるし!」
「ここは日本だろーがっ!」
「いやぁ〜、何か常備しとかないと落ち着かなくて…えへっ!」
「…まぁ役に立つからいいけどよ」
「えへへ…」


でも電話持ったままじゃ出来ないよね…?


「新一?」
「ん?」
「振動感知装置はついてる?」
「ああ。ちょっと待ってろ…」


ドアまで持っていけば解体出来そうね…。


「いや、ついてねぇな」
「良かったぁ!じゃあドアまで持っていくね!」
「慎重にだぞ!」
「分かってますー!」


うわ、結構重たい…!
こんなの爆発したら一発で粉々ね…。


「新一!聞こえる?」
「ああ、良く聞こえるぜ!オメーの可愛い声がな!」
「ふふっ。私も新一のかっこいい声聞こえるよっ!」


あはは…。
こんな時に何やってるのよ私たちは…。


「じゃあ、まずカバー開けるね!」
「オメー、ヘマすんじゃねーぞ!」
「はい開けた!最初は何色?」
「……黄色だ」


ブチッ


「切ったー」
「じゃあ次は…」


今じゃこんな手の込んだ物、ネットで調べれば素人にも簡単に作れちゃうんだもんね…。
まったく、あのクソジジィ!!


ブチッ


くっだらない理由で他人を巻き込まないでよね!!


「緑切った!」
「よし、何とか間に合いそうだな…あとは黒だけだ!」
「黒ね!」


ブチッ


……あ、あれ?


「止まらない!」
「えっ!?」
「タイマーが止まんないよ新一!!」


何で?どうして?!


「まだ2本ある…」
「何色だ!?」
「赤と…青」


どうしよう…!
どうすればいいの!?


ボーン ボーン


えっ…?


ボーン ボーン


あ…。
4日に、なったんだ…。
あと、3分。
3分で…。
私がもし、間違えたら…。
死んじゃう…んだよね…。


「…新一?」
「あん?」
「…産まれて来てくれて、ありがとう…」
「…え?」
「私の…彼氏になってくれて…とっても幸せだった…」
「優月…」
「…ねぇ、去年、トロピカルランドに行った時の事、覚えてる…?」
「…ああ、覚えてる」
「私さ、その時新一に怒ったよね…?新一と、2人で…一緒に生きたいって…」
「…ああ」


生きたかったけど…


「でも…今なら私、新一と一緒なら…死んでもいいって、思うんだ…」
「優月…」


新一となら、死なんて怖くない。


「…切れよ」
「…え?」
「好きな方を切れ…」


な、何言って…。


「でも万が一…」
「フッ、バーロー…。約束しただろ?」
「…え?」
「ずっと、一緒だ」
「……新一」
「俺達は…」
「……」
「生きてる時も…」
「……」
「死ぬ時も…」
「「ずっと一緒…」」


新一…。
ありがとう…。


ゴゴゴゴゴ……


「えっ!?」


ガラガラガラガラ!


「きゃっ!」


あ、危なかった…。
あ…ドアが、塞がっちゃった…。


「……」


私が…やらなきゃ。
私の判断でやるしかないんだ。


「ありがとう、新一…」


あなたに、また会えて。
本当に良かった…。
また、来世で会えるなら、その時は…。


「さよなら…新一…」


bkm?

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