工藤夫妻に華麗な放置プレイをされた後、必要な物の買い出しをしにスーパーへと行った。
改めて部屋をじっくり観察すると、有希ちゃんの配慮なのか、私と新一が写ってる写真が何枚か封筒に入れられ、机の上に置かれていた。
途中立ち寄った雑貨屋で写真立てを買い、スーパーで買った重たい荷物を携え新しい我が家へ入った直後、携帯が鳴り響いた。
「はいもしもし」
「おお、優月くんかね!?私だ、目暮だ」」
「えっ、目暮警部!?」
電話の主は、どこかラディッシュに似ている目暮警部。
この人からかかってくる時は、99.9%の確率で事件の呼び出しだと私の中で勝手に解釈している。
「ちょっとキミに頼み事があってなぁ…」
「…何ですか?」
「実は事件が起きたんだが、工藤君と連絡が取れないんだよ」
ま、まさか…。
「だから優月くんに」
「嫌です。絶対!!」
NYで散々ラディッシュに振り回されたのに何で日本でも振り回されなきゃいけないのっ!
「頼むよ!そこを何とか!」
「無理です」
「そうか…。折角アイドルスターに会えるというのに…」
「アイドル!?」
「実はな、沖野ヨーコさんの自宅で事件が起きたんだよ」
「ええっ!?」
あ、あのトップアイドルのヨーコちゃん!?
「行きます!行かせて頂きます!」
「よかったよかった!じゃあ工藤家まで迎えに」
「あ、すみません警部。私引っ越したんです!住所は…」
あのアイドルに会えるなんて夢みたい!
会わない訳にはいかないよこれは!!
「じゃあ5分後にマンションの前で」
「はい!よろしくお願いしまーす!」
わーい!
ヨーコちゃんの為ならエンヤコラよっ!
警部に迎えに来て貰い話を聞くと、ヨーコちゃんの部屋で男の人が死んでいた…という事らしい。
うんうん、可愛いアイドルなら有り得る事件ね…。
「警部!お疲れさまです!」
「うむ。優月くん、この部屋が現場だ」
「お邪魔しまーす」
25階建ての高級マンションなんて、さすがトップアイドルね〜。
それよりヨーコちゃん、ヨーコちゃん!!
「沖野さんなら事情聴取している最中だから今は握手、サインは厳禁ですよ」
「えー!?」
何それ!
じゃあ私、警部に騙されたって事!?
もう!警部のバカ!!
「あ!小五郎ちゃん!」
「おお!優月じゃないか!久し振りだなぁ!」
「あれ?何で小五郎ちゃんがここに…?」
呑んだくれだけど、一応探偵だから目暮警部が呼んだのかな?
「あれ?優月!?」
「蘭!!」
「1週間ぶりね!会いたかったぁ〜!」
「ただいま!私も会いたかったよ〜!」
うん?
蘭の後ろに誰か隠れてる…。
「ねぇ、蘭の後ろにいる子は誰?」
「あ、紹介まだだったよね?ほらコナンくん!」
「コナン?変わった名前…」
蘭の後ろに隠れてた男の子が、顔を伏せながら照れ臭そうに現れた。
「うちで預かってる江戸川コナンくんよ!阿笠博士の親戚なんだって!コナン君?この人は花宮優月さん!私の幼なじみで、新一の恋人よ!」
「あ…は、初めまして…優月姉ちゃん…」
こ、こ、こ、こ、こ!
この子!
「………い」
「……優月?」
「何この子!めちゃめちゃ可愛い!!」
「わっ!」
「めちゃめちゃ可愛いんだけどっ!何この顔本っ当新一にそっくりー!!」
「……」
何だか昔の新一に会ってるみたい!
「ねぇ蘭!」
「うん?」
「この子、今日うちに連れて帰っていい!?」
「「えっ!?」」
「だってー!私が日々求めてた昔の新一みたいで可愛いんだもんっ!」
「日…日々…?」
「べ、別に私は構わないけど…」
「コナン君!うちに泊まりにきて!?ねっ!?」
「う、うん…」
やったぁー!
これで警部に騙された恨みはチャラにしてあげようっと!
そうだ!
じゃあ帰りにあれ買っていかないとっ!
「あ、そういえば何で蘭がここに?」
「あ、実はね…」
蘭に色々聞くと、どうやらヨーコちゃんが小五郎ちゃんにストーカー相談に来て部屋を調べようとしたら死体があった事らしい。
「なるほどね…」
「あ、優月姉ちゃんはどうしてここに…?」
「え?ああ、どっかの突っ走り推理オタクがヘタレになってるから目暮警部に呼び出されたのよ」
「へ、ヘタレ…?」
さっさと突っ走り精神で組織なんか潰しちゃえばいいのにっ!
「優月くん、取り込み中悪いんだがそろそろ現場検証を…」
「あ、ごめんなさーい…。じゃあコナンくん!私はちょちょいのちょいで片付けてくるから待っててね?」
「は、はーい…」
もう!
両手挙げちゃって本っ当可愛い!
顔は昔の新一にそっくりだけどあんなに可愛げないもんね!
さて、さっさと事件終わらせてコナン君とラブラブしないとっ!!