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Zauber Karte

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バカップルパワー上昇中


月日はあっという間に流れ、私達は無事2年生へと進級。
今年もドSな新一&親友2人と同じクラス。
みんな一緒で良かった!
で、今は新一と仲良く下校中。
…の、はずなんだけど……。


「フフフフ…」
「……」
「フッフッフ…」
「……」
「ねぇ、聞いた?またあの高校生探偵お手柄なんだってー!」
「ククク…」
「……」
「まさに彼こそ、日本警察の救世主と言えましょう!」
「ハーッハッハッハ!」


ドスッ!


「ってーな!!」
「バッカみたい!ヘラヘラしちゃって」


ナイス、蘭!
でも痛そー…。


「ね?優月もそう思わない!?」
「バカとは思わないけど」
「優月!オメーだけだわかってく」
「全力で気持ち悪いと感じるかな!」
「さすが優月!」
「……ひでぇ」


ずーっと朝から新聞片手にこんな感じなの!
別にいいよ?
新一は目立つの大好きだし!
でも気持ち悪いのよっ!


「っつーか、何で蘭まで怒ってんだよ?」
「別に?新一が活躍してるせいで、お父さんの仕事が減ってるからって怒ってなんかいませんよーだ!」
「あれー?蘭の父さん、まだ探偵やってたのかよ?」
「ちょ、新一やめなよっ!」


この人、学習能力ないんじゃないの!?


「だってよー、仕事が来ねぇのはあの人の腕のせいで俺のせいじゃ…」
「ホホホ…」


や、やばいっ!


ドゴッ!!


「だから怒ってないって言ってんでしょー!?」
「さ、さすが空手部…」
「女主将…」


で、電柱が…!
こ、怖すぎるよ蘭!


「ボールとってー!」
「ん?ほらよ!」
「きゃー新一かっこいいっ!」
「何言ってんだよ、優月だって可愛いぞ?」
「…相変わらず健在ね。その見てて暑苦しくなるバカップルぶり…」


だってかっこいいんだもん!


「でも新一ったらこんなに上手いのに…。サッカーやめちゃったなんてもったいないなぁ…」
「そうよ!やめてなかったら今ごろは国立のヒーローだったのに…」
「サッカーは探偵に必要な運動神経をつける為にやってただけだよ。優月だってスケボーの腕は俺以上だし。な?」
「ま、まぁ…。探偵は運動神経良くなくちゃ危ないし…」


物心ついた時には既に新一からスケボーのスパルタ指導されまくってたからねぇ…。
アメリカに行ってからも練習しまくってたし。
……あ、思えばあの頃からドSの素質あったかも。


「それにほら、ホームズだって剣術やってたし!」


出た…。
出たよホームズ!
新一が自称、私の次に愛してるホームズの話題が!


「でもあれは小説…」
「でもみんなが知ってる名探偵だ!いつも冷」
「冷静沈着!溢れる知性、教養!観察力と推理力は天下一品!おまけにバイオリンの腕はプロ並!コナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズは、世界最高の名探偵だ!」
「「…」」
「…でしょ?」
「あ、ああ…」


毎日毎日同じ事聞かされてたら嫌でも覚えちゃうよ!


「優月も苦労してるのね…。この推理オタクのせいで!」
「苦労してるわよ!毎日毎日同じ事聞かされてもうウザいの何の!」
「…あ、オメーもしかして妬いてんのか?」
「……」


誰か。
この自意識過剰な彼氏、どうにかして下さい…!


「オメーもホームズに負けねぇ位最高の探偵だと俺は思うけどな?」
「……新一大好きっ!」
「俺も大好きだぜっ!」


もうっ!
嬉しい事言わないでよねっ!
……あたしって本っ当単純。


「…コホン!私がいるの、忘れてないかしら?そこの探偵バカップル!」
「「あ…」」
「ま、仲が良いのは結構だけど?週末の約束忘れてないでしょうね?」
「……あ!」
「え?約束って?」


なに、なに!?
何も聞いてないよ!?


「まさか新一!あんた優月に言ってないの!?」
「あはは…。すっかり忘れてた…」
「ねぇ、何?約束って」
「うん。私、この前空手の都大会で優勝したでしょ?」
「あ、うん!蘭かっこよかったよー!」
「もう優月ったら本っ当可愛いんだからぁ〜!」
「えへへ」


蘭にギューされるの大好きっ!


「でね、優勝したご褒美に新一がトロピカルランドに連れてくって約束したのよ!」
「トロピカルランド!?行きたい行きたいっ!」
「…俺は優月としか行きた」
「何か言ったかしら?工藤新一くん?」
「い、いや…」


き、今日の蘭、何かいつもより怖い…。


「ね、ねぇいつなの?トロピカルランドに行くの」
「今度の土曜日よ!」
「ええっ!?土曜日!?」
「優月も行くだろ?」
「あー…。ごめん、ちょっと予定が…」
「ええっ!?行けないの!?」
「うん…」
「何か予定あんのか?」
「実はね、明後日からアメリカに帰ろうと思ってて…」
「「はぁ!?」」


ちょっ、いきなり2人で囲まないでよ怖いからっ!!


「ま、まさかオメー…」
「また昔みたいに日本から出ていく気なの!?」
「ちちち、違うよっ!1週間だけNYに」
「「何でっ!?」」
「な、何でって…。叔母さんの」
「「えっ?」」
「め、命日だから…」
「…命日?」
「うん。お墓参りに行こうと思って…」


叔母さんが亡くなってもう3年。
毎年欠かさずしていたお墓参りを引っ越したからって疎かにしたくなかった。


「…そっ、か」
「もう!ビックリさせないでよ優月!」
「ご、ごめん?」


あたし悪い事してないと思うんだけど…?


「じゃあ日にちずらすか?」
「んー…。でも私、当分予定空いてないんだよね…」
「あ、いいよ2人で行ってきて」
「「はぁ!?」」
「え?」


な、何故怒る!?


「オメーなぁ!何で俺が蘭なんかと行かなきゃいけねぇんだよ!」
「そうよっ!2人で行くなんて絶対い・や!」
「えーいいじゃん、たまには友情を深めれば」


2人で話したい事とかあると思うし、いい機会だと思うけどな。


「…オメーまさか、まだ俺と蘭がどうこうとか思ってねぇだろうな?」
「違うよー!今更そんな事思う訳ないでしょ!?新一と蘭がそーゆー関係になるなんて有り得ないし!」
「おっ、妙に自信満々じゃねぇか?」
「…だって」
「ん?」
「……新一、私の事すっごく大事にしてくれてるってよくわかってるから」
「…オメー本っ当可愛」
「だから蘭と行ってきて?」
「…へいへい。ったく、オメーには敵わねぇなぁ…」
「ふふっ!……新一」
「……優月」
「はいはいそこのバカップル!人の前でキスしようとしないっ!」


あ、あはは…。
蘭がいた事忘れてた…。


「ご、ごめんね蘭?」
「…まぁ今に始まった事じゃないからいいけど!」
「えへへ」
「でもちゃんとお土産買って来てよね?」
「もちろん!」
「…蘭の分なんか買わなくてい」
「うるさいわよ!新一!」
「あ、あはは…」


bkm?

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