17
※リーマス視点
その名前を聞いた瞬間耳を疑った。
でもすぐにああ、そうだよなって納得した。
「ヒュウガ・セン!」
久しぶりに見たセンは髪が伸びて、少し大人びていた。そりゃそうだ、最後に別れたのは2年ほど前のことだもの。
なかなかに長い組分けの末センの寮はレイブンクローに決まった。
帽子に寮を叫ばれても動こうとしないセン。先生に背中を軽く叩かれてやっと椅子から立ち上がった。
少しおっとりしているところは昔から変わっていないのかもしれない。
僕は自分の頬が緩むのを感じた。
いけない。そう思って直ぐに無理やり顔を引き締める。
僕はもう彼女に近付かないと決めたんだ。
僕には新しい親友ができたじゃないか。彼らに僕が人狼だなんてバレてはいけない。
それにあのとき僕のせいでセンは怪我をした。
僕とセンが一緒にいたらきっといいことなんて起きないんだ。
僕たちは一緒にいてはいけないんだ。
僕のためにも、センのためにも。
センなんか嫌いだ、大嫌いだ。
センなんか……
そう思い込むべきなのに、何故だろう。センを嫌いだと自分に言い聞かせるたびに僕の心が酷く痛む。
これはきっと久しぶりに会ったから心が揺らいでいるだけだ。直ぐに慣れる。
そんな言葉を、センが席に座るまで見つめ続けていた自分に投げ掛けた。
それから暫く経って自分の名前が呼ばれた。
組分けをされる椅子に向かう際、わざとセンの方は見ないようにした。
目が合ってしまったら、きっとまた心が揺らいでしまうから。
そして僕の被った帽子は叫んだ。
「グリフィンドール!!」
よし、シリウスと同じ寮だ。
僕は早足でグリフィンドールの席に向かった。
「やったなリーマス!同じ寮だ!」
「うん、凄く嬉しいよ。それに、シリウスおめでとう!」
「ああ!スリザリンじゃないなんて夢みたいだ!」
そうしてシリウスと肩を組ながら笑った。
その後の組分けで列車で仲良くなった四人はなんと皆グリフィンドールだった。
凄く嬉しくて皆で笑いあったけど、本当は心の隅の方で何故かレイブンクローじゃなかったことへの落胆と安心感が渦巻いていた。
センと寮が違ったことは嬉しいはずだ。これで良かったんだ。
僕には新しい親友がいるじゃないか。
そんな言葉を、また自分に言い聞かせた。
喜べ、自分
(これで良かったんだよ)
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