16


椅子に座ると直ぐに組分け帽子を被せられ、その帽子はというともぞもぞと話し始めた。


「ほう。あのヒュウガの娘か…全ての寮の血が混ざっているが純潔…頭も良いな…協調性もあるし、勇気も持ち合わせている…」



うーん、と唸る組分け帽子。

早く決めてくれ、大広間からの視線に耐えられない。


決めあぐねているのなら是非リリーと同じグリフィンドールに!と言おうと俯きぎみだった顔を上げようとしたとき、帽子が叫んだ。



「レイブンクロー!!」



この叫びにレイブンクローの先輩方は歓声と拍手をしてくださったが、私はというといきなりの大きな声に驚いたのとリリーと寮が離れてしまったことに呆然としてしまってなかなか椅子から立ち上がれずにいた。

するとそんな私の背中をあの厳格そうな女の先生がそっと叩いた。


「ミス・ヒュウガ。ほら、早くレイブンクローの席にお行きなさい。」

「はっ、はい!」


急いで帽子を先生に渡してレイブンクローの空いている席へと向かう。

リリーと違う寮…上手くやっていけるかしら。


不安な気持ちを胸一杯に抱えながら席へと座ると、右隣に座っていた綺麗なブロンドヘアの女の子が笑顔で私に話しかけてきた。


「私、リア・ジョーンズっていうの。仲良くしましょ。」

「わ、私はセン・ヒュウガ!宜しく。」

「ふふっ、宜しくね。」


そう言って笑った女の子はすごく可愛かった。そしてその子と握手を交わす。

なんだか凄く急なことだけど、とりあえず新しく友達ができたみたい。

上手くやっていけそうな気がするなんて思っている私は、凄く単純なんだろう。


「センと呼んでもいい?」

「ええ。私もリアと呼んでも?」


「ええ!友達ができて嬉しいわ!私せっかく列車で仲良くなった子と寮が別れちゃったの。」

「本当に?私もよ。だからあなたが声かけてくれて私も嬉しいわ!」



ふふっ、一緒ね!なんて二人で笑いあっていたらある名前が呼ばれた。



「ルーピン・ジョン・リーマス!」



リーマスだ…!

思わずそちらに目を向けてしまう。ここからじゃ遠くてあまり見えない。ぎゅっと袖の下の手首を掴んだ。そこには隠してあるリーマスから貰ったヘアゴムがある。


「セン、あの子と知り合いなの?」

「あ、ううん!違うわ。」


何故誤魔化したのかは自分でもよくわからない。

だけどリアに気づかれぬようリーマスから目を離した。リーマスはどこの寮になるのだろう。隣で話すリアの声を聞きながらも組分け帽子の声に聞き耳をたてる。

すると帽子が叫んだ。



「グリフィンドール!!」



ああ、リーマスはグリフィンドールなんだ。リリーと一緒の。

でとこれで良かったのかもしれない。

リーマスはきっと私に会いたくなどないのだから。



そのあとに行われたセブルス君の組分けはスリザリンだった。



それぞれに
(歩き始めよう)





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