05


※暴力・流血表現がございます。
 ご注意ください。




振り向いたとき、
私の視界を横切った何か。

そして、私の視界から消えた

リーマス


「え…?……っ!!」


横を見ると、大きな影に押さえつけられているリーマスがいた。


「う、ぐ…あ!!」

苦しそうなリーマス


「や、やめ…」

怖くて大きな声が出ない。
やめて、やめて、やめて、
リーマスを離して…!

「…やめて!」

近くにあった石を、その大きな影に投げつけた。こちらを向く影。

「…!!」

影の正体は、狼。
でもその狼の腕や方に何か布切れが引っ掛かっている。あれは…洋服?

これ、狼じゃない。

人狼だ…!


このままじゃ駄目、リーマスが咬まれたりしたら…でも怖くて体が言うことを聞かない。

お父さん、お母さん助けて!
そう言いたいのに、声が出ない。

すると人狼は私に向かってゆっくり歩き出した。

ザッ、ザッ、

やめて、いや、怖い、

リーマスは倒れ込んだまま。
咬まれては、いないはず。
リーマス、起きて、起きてよ。


ザッ、ザッ、ザッ、


「ぃ、ゃ…っ」

ザッ!

狼が私に向かい大きく腕を振り上げた。
「ぅあっ…!!」

そして左肩に感じた衝撃。
熱い、痛い…!

なおも殴られ、蹴られる。
痛い、痛い、痛い…


しばらくして動かなくなった私に人狼は満足したのか、私から離れた。


そして今度はリーマスに向かって歩き出す。

リーマスは気を失っているのか動かない。駄目、やめて…

「リ、…マス……にげ…」

逃げて、リーマス。
危ないの。逃げて…!


人狼の大きく上げた腕が、リーマスに向かって振り下ろされる。

「ぐあ……っ!」


いや、いや、いや、
やめてよ、やめて!!

どうして体は動かないの。
リーマスがやられてるのに!

そのとき、リーマスに人狼が覆い被さった。まだ9歳になりかけの私でもこのあと何が起こるかなんて簡単に分かってしまった。

やめて、やめて!!


ガッ…!

「ぐあああ……!!」

「いやああああああ!!!」




その刃は確かに
(私の大切な人へ)





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