04
「誕生日おめでとう!」
「ありがとう!」
カチン、とジュースの入ったグラスをリーマスと当てる。今日はリーマスの家で3日早いけど私の誕生日パーティーだ。
「ちょっと早いけどね。」
「でも嬉しいわ。」
2人でにこにこと笑い合う。
「おじさんとおばさんも来れて良かった!」
「うん!」
そう。この間のお誘いを家に帰ってお父さんとお母さんに話すと喜んで是非お邪魔させていただこうとなったのだ。
お父さんとお母さんはリーマスのご両親と楽しげにお酒を飲んでいた。
するとリーマスが立ち上がって私の手を握った。
「ねえ、セン!外に星見に行こう。」
「星?」
「うん、ほら綺麗だよ。」
リーマスが指差した窓の外を見ると確かによく晴れた綺麗な夜空だった。
「ね、行こ!」
「うん!」
私もリーマスの手を借りて立ち上がる。
「お母さん!ちょっとセンと庭に行ってくる!」
「庭?」
「星見てくるんだ。」
「そう。遅いんだから庭の外に出ちゃ駄目よ。」
はーい、と2人で返事をして気をつけるのよというおばさんの声を背中に受けて玄関を出た。
「うわあ……」
「綺麗でしょ?」
「うん…!」
そこには満天の星空が。
「あっちに行こ!」
リーマスに手を引かれて玄関の前から庭へと移動する。
そこに2人で寝転んで見上げる夜空には幾多もの星と大きく輝く満月。
「綺麗だね」
「うん、綺麗」
しばらく2人でただ黙って星を見ていたがそろそろ戻ろうとリーマスに言われて起き上がる。
「リーマス、今日は本当にありがとう。楽しかったわ。」
「僕もセンと星が見れて良かったよ。」
それに、センの誕生日だから僕もちゃんとお祝いしたかったんだ。というリーマスの言葉が素直に嬉しかった。
「リーマスのお誕生日は私がお祝いするね。」
「じゃあ来年のセンの誕生日は僕がまたお祝いする。」
「じゃあ来年のリーマスのお誕生日も私がお祝いする。」
「じゃあ…あはは」
「ふふっ」
「ずっと、お祝いしようね。」
「うん。ずーっと。」
2人で手を繋いで約束。
ずっと一緒にお祝いしようね。
「さて、戻ろう!」
「うん!」
家の中からお父さんたちの楽しそうな声が聞こえる。最近お仕事忙しそうだったから楽しんでるといいな。
さて、と立ち上がり玄関に向かって歩き出そうとしたとき庭の外…草むらから音がした。
振り向いたとき、何かが視界を横切った。
暗闇に紛れる、陰
(それは、何?)
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