06


タソガレドキ城についた頃にはもう夕日もほとんど沈んでしまっていた。

もともと此方を出た時間が遅かったこともあるがそれでも学園に居座りすぎたな。

「組頭、今日は残業ですよ。」
「えー…」
「組頭の判を待っている書類がいくつもございますから。」

心底嫌そうな声をだす組頭の一歩後ろに着き屋敷の中を進んでいく。


「要はそれを終わらせれば帰っていいんだよね。」
「はい。」
「よし、ちゃっちゃと終わらせよう。」
「そのいきです。でも書類の内容はご確認くださいね?」
「わ、わかってるよ……」



それでは、と言って組頭の執務室の前で別れる。

私もこの間の任務の報告書を書かないと…。と、思っていたら後ろから元気な声が。


「繊さーん!!」


振り向かなくても分かる。この声は私の可愛い後輩くん。

つい彼を振り向く頃には頬が緩んでしまう。

「尊奈門君。」

そう彼の名を呼ぶとニコニコして駆け寄って来てくれる。そしてこういうのだ。

「繊さん、おかえりなさい!」

可愛いなあ、もう。
なんかこうギューってしたくなる。

「ただいま。遅くなってごめんね。」
「いえ!お迎えお疲れ様でした。」
「ありがとう。でも尊奈門君こそ大変そうね。」

尊奈門君は腕にたくさんの巻物や書類を抱えている。何故忍である彼がこんなものを持ってあるいているのかというと、はっきり言えば人手不足だからだ。

ここ数年さらに戦続きで悪名ばかり高くなったこのタソガレドキ城に、就職したいと望む者は少ない。いたとしても"戦がしたい"という理由だったりで、優秀な人材は中々見つからない。特に庶務希望がほとんどいないため、忍軍のことは忍軍で全て賄うことになっている。たとえ書類仕事であってもだ。

とくに尊奈門君は19歳とまだまだ若いので使われやすい。私も尊奈門君が入ってくるまではそうだった。


「どこに持っていくの?私も手伝うよ。」
「え!そんな、繊さんに手伝ってもらうわけには!」
「いいのよ。私がやりたいの。」


よ、と言って尊奈門君の腕の中から適当に巻物と書類を取り上げる。

きちんと鍛えないと部下が育たない、と言うけれど尊奈門君はもう立派だもの。
他の人たちからだってとても可愛がられてるし。


尊奈門君も諦めたようにこっちです、と歩き始めた。


「すみません…ありがとうございます。」
「本当に気にしないで。どうせ帰ってもやることなんて報告書だけだったの。」
「でも組頭のお迎え、大変でしたでしょう?」
「うーん…まあたまには息抜きでいいかもね。」


でも毎回は疲れちゃうよね、というと尊奈門君は本当に疲れた顔で「はい、」と言った。その反応にクスクスと笑っていると何か思い出したように尊奈門君が「あ、」と声をあげる。


「ん?どうした?」

と私よりも高い彼を覗き込む。
すると真剣な目をして問われた。

「繊さん、忍術学園まで行ったんですよね?」
「うん…」

「土井半助に会いましたか?」

「ど、い…さん?」

いや、私が会ったのは善法寺さんだけだよなあ。会ってないよ、というと尊奈門君は安心したようにそうですか、と言った。


「その土井さんて方とお知り合いなの?」

そう聞くと今度は嫌そうな顔をした。

「知り合いと言うか…まあ。」

よくわからないがきっと知り合いなんだろう。

「来週末ね、私が在学中お世話になった先生にご挨拶に行くの。」
「え!学園にですか?」
「うん、だからそのとき土井さんという方にも…「だっ、駄目です!」

え?と尊奈門君を見ると少し顔を赤らめてこっちを見ていた。


「土井半助には挨拶しちゃ駄目です。」
「でも…、尊奈門君の知り合いの方なんでしょう?」
「いや、でも!…駄目なものは、駄目なんです。」
「どうして?」

わけがわからない。理由を聞くと尊奈門君は顔をさらに赤くするだけで答えてくれなかった。なんだなんだ、気になるじゃないか。でも彼は答える気はないようで、口を真一文字にしている。

答えたくないならしょうがない。


「うーん、まあいっか。あ…じゃあ尊奈門君も来週末、一緒に行く?」
「…え?」
「その土井さんがどんな人だか分からないけど…もしあぶない人なら、尊奈門君が守ってくれるでしょ?」
「…は、はい。」

それにさ、息抜きがてらに。
と言うと尊奈門君はあの可愛い笑顔で大きく返事をしてくれた。




そうと決まれば
(有休の届け出にいこう)



――――――――――――――

意味わからなくてごめんなさい

尊奈門は土井先生が繊さんに惚れたら嫌だから合わせたくない。っていう可愛い独占欲。が、書けない!

最近尊奈門が可愛い。

暫く話進みません←







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