05
只今タソガレドキ城に帰っている途中である。
結構遅くなってしまった。尊奈門くんに悪いことしたなあ。
「ねえ繊ちゃん。」
「はい?」
なんだろうかと組頭を見ると先ほど保健室では見れなかった真剣な顔をしている。
何かあっただろうか。
曲者?いや、気配は感じない。
なんですか、と聞こうとしたら組頭が言葉を発した。
「君が見ず知らずの人間にああも簡単に名乗るとは、珍しいね。」
ああ、そういうことか。
「年齢だって言ってしまったし、どうしてだい?」
だってそれは、
「組頭が、信用されてるようでしたから。」
「……え?」
「ふふ、…組頭は城の外ではずいぶんと気を張ってらっしゃるはずなのに、今日は違いました。」
「……。」
「武器だって普段なら袖に仕組んでいるのに、懐に入れてましたし…」
「……。」
「何より、雰囲気が穏やかでした。」
まあ、私の勝手な解釈ですけど。と笑っていうと頭を大きな手で包まれた。
「…まったく、私もいい部下を持ったなあ。」
「ふふ、ありがとうございます。」
「繊ちゃんがそんなに私を理解してくれてるなんてねえ…このままお嫁に来るかい?」
「な、!…遠慮しますっ」
「あらら、赤くなっちゃって。」
「組頭…!」
ばっ、と組頭を見ようとしたら大きな手で頭を撫でるようにして下に向けられた。
でもごめんなさい、組頭。
私見えてしまいました。
貴方の赤く染まった頬。
「…組頭」
「……何だい」
「…夕日が綺麗ですね。」
「…ああ、そうだね。」
貴方の名誉に関わるでしょうから
その染まった頬は
この沈みゆく、
太陽のせいに致しましょう。
貴方を信頼してるから
(あの違いに気づいたんですよ)
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