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いってきます、


いってらっしゃい、


おかえり、


ただいま、



なんて言葉をプロのくの一になってから使うだなんて思わなかった。

任務は仕事な訳だし、しかもいつ命を落とすかわからない。


そんな平和な言葉は、私達にはとても似合わないね。なんて10年も前に卒業した学舎で級友と話した覚えがある。


その友人に教えてあげたい。
私の上司はそんな平和な言葉を使うのだ。

私の上司、雑渡昆奈門さん。
タソガレドキ忍軍の組頭だ。



一応これでも在学中くの一教室の筆頭であった私は、その腕を買われこのタソガレドキ城からスカウトがきた。

でもタソガレドキは戦好きの、ましてや評判があまり良くない城であったから先生方から酷く反対されたのだ。

それが何故、今タソガレドキに仕えているのかというと1人の先生だけ


お前が力を試したいのなら
やってみなさい


そう言ってくれたから。



ああ、先生はお元気かしら。


卒業してからというもの学園には一度も顔をだしていない。

今度の休みにでも行ってみようかなあ。



「繊さーん!」

私を呼んで駆けてくるのは6つ年下の諸泉尊奈門くん。

可愛い私の後輩だ。


「尊奈門くん。…どうしたの?」


「組頭が…また…」


ああ、また…

「屋敷の屋根は?」

「いません。」

「中庭の大きな木の上は?」

「いません。」


うーん、今日はどこでさぼっているのかしら。


「あ、あの繊さん。」

「ん?」

「どこにいるのか、今日はもう分かってるんです。」


あら、じゃあどうして迎えに行かないの?そう聞くと尊奈門くんは困ったような、疲れたような顔をして これを… と一枚の紙を渡してきた。




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今日は忍術学園に行ってくるよ。
まあ…私がいなくても大丈夫でしょ。

あ、それから私を迎えにくるのは繊ちゃん以外駄目だからね。

尊奈門とかが来たら私帰らないから。


それじゃあ行ってきます


雑渡昆奈門

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うちの組頭はこんなに駄々っ子だっただろうか。


「なんか…尊奈門くんごめんね。」


「い、いえ…!あの、お願いしても宜しいですか?」


「うん、行ってくるね。」


それにしても忍術学園かあ…
何か手土産でも買っていこうかな


と思いつつ歩き始める。


「あ、繊さん!」

「ん?」

まだ何かあったのだろうか。

振り返り聞き返すと彼は少しはにかんだように手を振りながら言った。


「行ってらっしゃい!」


ああ、もう可愛いなあ。

組頭、あなたの教えはきちんと伝わっているようですね。




「行ってきます。」



さあ、行こうか
(可愛い後輩の頼みだもの)










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