しばらくジェームズと2人で男のロマンを堪能しているとそこにとんでもない邪魔者が入ってきた。

見たことのない男子生徒…きっと他寮のやつだろう。そいつがあろうことかセンに話しかけた。

俺の隣ではジェームズがあーあ、と言っているがあーあ、どころではない。

センは笑顔で対応しているがその男の視線はチラチラと透けたワイシャツに向けられている。


「……もう我慢できない!!」
「…え!?ちょ、シリウス!」


ついに我慢の限界に達した俺は脱いでいたワイシャツを引っ付かんでセンもとへ向かう。





「夏休み入ってからでいいからさ。」
「えっと…でも遠いじゃない?」
「僕がそっちに行くさ。」
「うーん…「セン」

話しているのを遮ってセンに俺のワイシャツを被せた。何するの、と言ってワイシャツをどけようとするセンに

「透けてる」とだけ言うと顔を真っ赤にしてそのワイシャツを握った。

するとさっきまでセンと話していた男子生徒が少し怒ったように俺の肩を掴んだ。

「おい、ブラック。センは今僕と話してるんだ。」
「知るかよ。センを変な目で見やがって、変態か。」
「なっ…!変な目でなんか見てない!」
「どうだか。」


すると男子生徒は舌打ちをすると顔を赤くして校舎の方へと戻っていった。


「えっと…シリウス?」
「ん?」
「ありがとう。」

振り向くとサイズのあっていない俺のワイシャツを羽織ったセンが少し頬を赤くしていた。

それにしても…でかいワイシャツって、やばいな。

さっきあの男に言った"変態"は俺にも当てはまるかも、なんて思った。


「いや、別に…逆にお節介だったなら悪い。」
「全然!むしろ困ってたから、助かっちゃった。」
「そうか。」


1対1で話すのは久しぶりなもんだから緊張してしまう。何か話題を、と思っているのに何も出てこない。するとエバンズのセンを呼ぶ声が聞こえた。


「あ…」
「行けよ、呼んでるぞ。」
「うん。」
「ワイシャツは後でいい。」
「…わかった。本当にありがとう!」


そう言ってセンは俺に背を向け走っていく。

が、俺が追いかけ細い手首を掴んだ。


センが驚いて俺を見る。

「シリウス…?」
「…あの、さ」
「うん?」


あー、もう。言ってしまえ。


「…ああいう格好、他の男の前ですんなよ!」


じゃあ、と言って俺はジェームズのもとへ走った。

やばい、何言ってんだ俺!
絶対好きだってバレた!

ジェームズのもとへ戻ると赤い顔を指摘されたが今はそれどころじゃない。


あー、明日からどうしよう。




******

「センー?って、あなた顔真っ赤じゃない!どうしたの?」

「リリー、どうしよう。期待しちゃう、かも。」




2人がくっつくのも時間の問題。
きっかけは、変態の独占欲。







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