私が忍術学園に来る理由

一、サボり
二、伊作くんに会いに
三、伏木蔵くんに会いに


それから…君に、会いに来てるんだ。
名前ちゃん。


今日もなんだか急に会いたくなって仕事を抜け出した。
尊奈門、ごめんね。

忍術学園の保健室の天井裏に忍び込んで室内を覗く。するとそこにいたのはお目当ての人物。

天井の板を外して声をかける。

「名前ちゃん。」

「きゃあっ!!」

すると名前ちゃんは驚いて手に持っていた包帯を床にばらまいた。うん、今日も不運だねえ。

って、今のはわたしのせいか。


「いきなりごめんね。大丈夫かい?」

ばらまかれた包帯を拾いながら声をかける。


「あっ、雑渡さん!」
「やあ、こんにちわ。」


挨拶をしたときの名前ちゃんはとても可愛らしい。

だってほら、

「こんにちわ!」

とびきりの笑顔をくれるのだ。

やっぱり名前ちゃんの笑顔はいいなあ、なんて思っていたら不思議そうに顔を覗き込まれた。

「雑渡さん、どうされたんですか…?」

まったく、上目遣いなんてどこで覚えたの。わざとやってんのかな。

「んー、ただ名前ちゃんが可愛いなあと思っただけだよ。」


そう言うと頬を赤く染める名前ちゃん。

「もう!雑渡さんてば、やめてください。」
「冗談じゃないんだけどなあ。」
「やめてくださいっ…どうぞ。」

恥ずかしがりながらもお茶を出してくれる。ありがとう、といって包帯をずらして啜ると濃さも温度も丁度いいお茶が口に広がる。

「今日もおいしいねえ。」
「あ、ありがとうございます。」


名前ちゃんはもう六年生。このお茶も来年には飲めなくなるのか…と考えたときふと疑問に思うことがあった。

「名前ちゃん進路は決まったの?」

すると名前ちゃんは急に元気がなくなった。

「まだ、決まらなくて…」
「あら。そうだったんだ。」

「はい…私、ご存じの通り不運なもので試験のときに色々やらかしちゃって。」
どこまでも不運な子なんだろう。

「不運仲間のはずの伊作君もこの間決まっちゃって…」
「なるほどね。……良かったらひとついい所を紹介できるんだけど。」

すると「え!」と言って目を輝かせた。

「私、もう先生に紹介してもらえるところ殆ど無くて困ってるんです!」

「そうかい。こっちは名前ちゃんみたいな子を欲しがっているんだ。」


是非紹介してくださいとねだる名前ちゃんは本当に可愛い。

「あのね、」
「はい!」

「うちに、来ないかい?」
「え…」


さっきまでの輝いた表情はどこへやら、また最初の落ち込んだ表情にもどってしまった。どうしたの、と声をかけるとそれはそれは申し訳なさそうに名前ちゃんは言った。

「私、タソガレドキを受けられるほどの良い成績じゃないんです…」

とても受かりません、と続けた君は何か勘違いをしているようだね。

「違うよ、名前ちゃん。」
「え…?」

「私が言ってるのは、タソガレドキの忍者隊じゃない。」
「…?」


「私のお嫁さんに来ないかい?」


私の言葉を理解するのに時間がかかるのか、しばらく固まっていた。

が、意味を理解した瞬間顔を見たことないまでに真っ赤に染めた。

こんなおじさんにもそんな可愛い反応してくれるなんて嬉しいねえ。


「どうかな、私本気だよ。」
「え、や…!あのっ、」

真っ赤な頬に手を当ててこちらを向かせる。微かに首筋に触れている指に速い脈が感じられる。嬉しい限りだ。

顔をギリギリまで近づけるとさらに脈は上がり、名前ちゃんは目をぎゅっと閉じた。

このまま接吻を


やめておこう。
楽しみは取っておくものだ。

でも何もないのは寂しいから、おでこに唇を落とした。勿論包帯はずらしてね。

「あ……」

目を開けた名前ちゃんはやっぱり赤い顔。

「おでこじゃ不満だったかい?」
「いっいえ…!!」

「でも…次は唇を奪いに来る予定だから、さっきの話は真剣に考えといて。」
「…………は、い。」


君は今頷いたからね。
次来るときには返事をくれるだろう。

それじゃあ、と腰を上げる。
いつもなら笑顔で送ってくれる君の表情が今は切なそうだ。

これは、期待してもいいのかな?



その差、21歳。
(犯罪級の愛だけど)



――――――――――――――

*あとがき*

相互お礼で夢野様へ
雑渡さん夢\(^^)/

お誕生日に間に合わせたかったのですが
先週は切羽詰まりすぎて書き終わらず…(T_T)

そして雑渡さんの口調とか
いまいちわかんない…←
わかんない癖に夢野様に押し付けちゃう
性格悪い私をどうか許してください!

私雑渡さんなら年離れてても
お嫁にいきたい!!

ああ、でも最近山田先生とか
厚着先生もキテます!←

大人メンズが熱い今日この頃。

それでは、夢野様
相互ありがとうございます!

夢野様だいすきです!!←


日向 繊 2011.09.19