「ナマエ、本当に行かなくて大丈夫だったの?」

「もう、大丈夫だって言ってるでしょう?それに行ってない人なんて他にも沢山いるもの。」


大晦日の夜、私は恋人のリーマスと年を越そうとリーマスの家に泊まりに来ていた。


しかし先程仕事場の同僚たちから都心の広場で一緒に年を越そうと誘いの電話が来たのだ。

私はもう既にリーマスとの約束があったため断った。

だがそれを聞いたリーマスが仕事の仲間の誘いを断っていいのかと心配しているのだ。


「そういうもんなの?」
「そういうものよ。それにあのメンバーは皆恋人のいない人達だし…恋人のいる人は皆行ってないわよ?」


それに私はリーマスと居たいの。といって台所から用意していたホットチョコレートを両手に持って、1つをリーマスに渡す。


ありがとう、とソファーに座りながらとても嬉しそうな笑顔で受け取るリーマスの隣に私も腰を下ろす。


どんなに真剣に話していたって(今回は別に真剣な話でもないけど)リーマスは甘いもの、特にチョコレートを差し出されればそちらに意識がいってしまう。


まあそんなところもこの人の魅力なのだけど。


そしてホットチョコレートを一口飲んだリーマスが顔を輝かせた。


「ねえナマエ。このホットチョコレート変えた?」
「ああ、うん。仕事場の先輩から頂いたの。有名なんだっていってたけど…美味しい?」
「凄く美味しい!」


笑顔のリーマスに促され、私も一口飲むと暖かい甘さが一気に広がった。


「わ、美味しい」
「でしょ?次からは僕らもこれにしようか。」
「うん!どこに売ってるのか今度聞いてくるね。」


他愛のない話をしながらホットチョコレートを飲む。

こんな何気ない普通のことが、とても幸せ。


ホットチョコレートも飲み終わり、二人でテレビを見ていると、よく知るテレビの司会者が年明け3分前だと大きな声で言っていた。


それを聞いて私は隣に座るリーマスの太ももに寝転がるようにして頭を預けた。
顔はテレビではなくリーマスの方を向く。


「うーん…」
「どうしたの?ナマエ」


リーマスはそう言って、優しく笑いながら頭を撫でてくれる。


「もう一年終わっちゃうのかあなあって…」
「まあ何だか今年は早かったよね。」

「ねえリーマス。」
「ん?なんだい」


尚も撫で続けてくれているリーマスの手とは逆の手に、自分の手を乗せた。


「来年は、長いお休み取って旅行でも行こう。」
「ああ、いいね旅行。ナマエはどこ行きたいの?」

「うーん、日本とか」
「日本?」

「うん、春になると桜の花がすっごく綺麗なんだって。」


私がそう言うとリーマスは春だったらすぐだね、と言って笑った。


「リーマスは?どこか行きたいところある?」
「そうだなあ、ベルギーでチョコレート巡りの旅とか。」
「ふふっ、リーマスらしいわ。」


私が笑っていると、私の頭を撫でていた手が止まった。

リーマスの顔を見上げると凄く優しい笑顔でこちらを見ているリーマスと目が合う。


「でもねナマエ」
「ん?」

「君と一緒ならどこでもいいよ。」



そう言って笑みを濃くしたリーマスに、私の体温はぐっと上がってしまった。

急に恥ずかしくなって思わず体を起こして顔を手で覆う。

そんな私を見てリーマスは更に笑った。


「もう、笑わないで!」
「ごめんごめん。それよりナマエ、気づいてる?」
「…何を?」


火照る頬を押さえながら少し睨むようにリーマスを見る。

するとリーマスは優しく笑いながら言った。


「年越しちゃったよ。」


「え、うそ。」


勢いよくテレビを見ると、テレビのなかの人たちが新年の挨拶を交わしていた。

「本当だ…もう、せっかくカウントダウンしようと思ってたのにな。」


そう言って肩を落とした私の腰にリーマスが手を回して引き寄せた。

そしていつもの優しい笑顔で言うのだ。


「じゃあ来年は一緒にカウントダウンしよう。」



その言葉に、私がどれだけ喜びを感じたか貴方は知っているのかな。

カウントダウンは確かにしたかったけど私が嬉しかったのはそこじゃなくて…。

貴方から"来年一緒に"っていう言葉が出て、泣きそうなくらい嬉しかったの。


昔から人狼ということを気にして大概の人と距離を取って生きてきた貴方が、私と一年後も一緒にいることを当たり前のように言ってくれたことが。


凄く、嬉しかったの。



私は大きく頷いて、リーマスの頬にひとつ口付けをした。


「今年も一年よろしくね」
「こちらこそ」


リーマスは優しく私を抱き締めて、優しく私の唇にキスを落とした。



Happy new year
(よい一年になりますように)


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一万打企画◎どっち様

この度は企画に参加して頂き本当にありがとうございました(*´ω`*)

リーマスとのんびり年越しとのことでしたが…あえなく撃沈←

そもそもリーマスの家にテレビあるのでしょうか…←

素敵なネタを頂けたにも関わらずこんな駄文しか書けないとは…ご希望に添えることが出来なくて申し訳ございません(T_T)


今後もどうか宜しくお願い致します!


今回は参加して頂き本当にありがとうございました。

また機会がありましたらぜひリベンジさせてくださいませ(^^)


日向繊