沈みきった夢の中。
私は、所詮いてもいなくても構わない存在でしかなかった。
もちろんそんなことはわかりきっていたつもりだった。涙なんて流すくらいなら、全ての感情を何処かに流してしまいたかった。
自分が醜く浅ましく、誰かに縋るなんて、微かに残った消え去りそうなくらい小さなプライドが許さなかった。
でも、一人だけ、縋ってしまった。
彼女なら大丈夫じゃないかって思ってしまったから。彼女なら、私の存在を認めてくれるんじゃないかって思えたから。
彼女に泣いて、縋って、助けを求めた。
彼女は何も言わずに私の嘆きを聞いてくれた。私が縋りついた浅ましい腕を振り払う事なく、静かに頷いてくれたのだ。
私は、ただ救われたかったのだ。
ただ、それだけだった。
でも、結局彼女は私が思っていたような人じゃなかった。
私が泣いて縋った事を笑いながら皆に話していた。それに同じように笑って反応する皆。
私の嘆きは、皆の話の種にしかならなかった。
悲しい、というのだろうか。
この感情は。
胸が裂かれる程に痛くなる。痛くなって、お腹の中から熱いものが込み上げてくる。鼻がツンとして、喉がつまる。目頭がお腹の熱いものを受け取ったように、同じように熱くなった。
でも、涙は出なかった。
悲しみと同じくらいの絶望がまた私を覆っていたのだから。
人は、耐えきれない絶望に出会うと、何も出来なくなるのだと初めて実感した。今までの苦しさがただのオードブルでしかなかったのだと、嫌になるほど理解できてしまった。
目の前が真っ白になり、ただ立っているだけなのにその両膝は小刻みに震えるのだ。
無くなった感情から発せられるものは何もなく。
私の嘆きを言い触らした彼女にも、何も感じることはなかった。
ただ、そうなのだという事実のみが私の中を駆け巡った。
それに対して何かアクションを起こそうという気にもならず、ただ立ちすくむしか出来なかった。
でも、どこかすっきりとした自分もいた。
私は、何処かでまだ自分を助けてくれる存在がいるのだと信じていた。
そんなものは、どこにだっていないのに。
それを受け容れたくなくて、受け容れる事が出来なくて、私は意地を張り続けていたのだ。
諦めと受容はどこか似ているような気がする。
私のこの感情が、どちらに属するかはわからない。
(溺れる直前に見えたのは
あなたの笑顔でした)
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