忘れた筈の想い
『すっかり、暖かくなりましたね。
こちらは元気で過ごしています。
前、怪我をしたといっていた右足首の捻挫もすっかし治ってしまいました。
年甲斐もなく、子どもたちはしゃぐのも、そろそろ考えなくてはいけませんね。
さて、私たちが別れてからもう三年以上経ちました。
貴方は相変わらず、その大きな瞳で世の中を見ているのでしょう。
また、大きな夢を持ち、歩んでいるのでしょう。
そんな貴方を見ることが出来ないのは、とても残念でなりません。
こうして、手紙に書くことでしか気持ちを伝えられない私を、貴方はお笑いになるのかもしれませんね。
以前お渡ししたお手紙の、貴方からのお返事を覚えていらっしゃるでしょうか。
覚えていらっしゃらなくても構いません。
ただ、それが私をとても臆病にしてしまいました。
貴方のせいではありません。
でも、貴方をとても遠く感じてしまいました。
もう、私たちの間には、昔のような親しいものは無くなってしまったのでしょうか。
少し、それが寂しいのです。
鬱々と、長くなってしまい申し訳ありません。
また、貴方に会える日を楽しみに、この決して届かない手紙に心を刻みます。
追伸
貴方の瞳で見る私は、どんな風にうつっているのでしょうか。
それが良きように願っています』
(貴方の温度が
忘れられない私を責めた)
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