恋々


 私は、人魚だった。

 声を発することは出来たけれど、貴方へ愛を謳うことは出来なかった。


 苦しいまでの愛情も恋慕も、私の心の中に降り積もっていくだけ。


 頑張って手を伸ばした。
 届けと願い、祈った。



 でも、私の思いは貴方に伝わる事はなく。
 貴方のすぐ隣を歩いているのは、貴方によく似合っている可愛らしいふわふわとした砂糖菓子のような少女。


 そして、私の恋は貴方に伝わる事はなく終わってしまった。

 降り積もった貴方への想いに溺れてしまいそう。




 私は、人魚。

 脚はあれど、愛を謳えず溺れた、人魚。



(そうして私は
ちていく)



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